Kindle Unlimitedの不満

日本でKindle Unlimitedが利用できるようになってもうすぐ1ヶ月になる。つまり1ヶ月無料期間が終わるということで、そろそろ継続して利用するかどうか決める時期になってきている。結論から言うと、かなり不満がある。ただ完全にこれはいらないというものではなく、改善すれば随分魅力的になるのに、というものだ。

読みたい本を探しにくい

これはUnlimitedに限ったことでなくAmazon全般に言えることだが、目的の本のタイトルがはっきりわかっている、あるいは著者名がわかっているなら簡単に検索できるが、「なにか面白そうな本はないかな」という探し方はできない。

「なにか面白そうな本」という漠然とした条件では探せないにしても、推理小説が読みたいと思っても、文学・小説とかコミックとかのものすごく大きい分類しかないので、例えば文学・小説に分類されているおよそ2万冊あまりの本の中から、ひとつひとつ確認しながら自分の読みたい本を探さなければいけない。全然現実的ではない。

例えば泣けるような物語がよみたいとか、読者に挑戦状を突きつけてくるような推理小説が読みたいとか、そういった探し方は無理としても、せめて推理小説とかSFとかファンタジーとか、その程度の分類さえない。

もっと細かい分類をしてくれさえすれば、Unlimitedの契約を続けても読みたい本が探しやすいし、Unlimited以外で本を購入する際にも探しやすく、買いやすくなるはずだ。

対象出版社が少ない

文学・小説ジャンルだけで2万冊以上あるのだから読みたい本がすぐ見つかるかというと、そうでもない。例えば、カドカワや新潮社、集英社などはこのジャンルの出版社一覧には名前がない。逆に目立つのは1200冊以上の本を用意しているフランス書院だが、特定のジャンルしかないのでこういった出版社が数を押し上げてもその分野に興味がない人には意味がない。

次に多いのは600冊近い本を用意している講談社で、幅広いジャンルの本を出版している会社で多くを用意している唯一の存在だ。それ以外はほとんどがせいぜい100冊程度だ。

ユーザーにとっての不満であると同時にAmazonにとっての不満でもある。

まだ始まったばかりのサービスで様子見というのもあるだろうが、全然出していない出版社というのは思考が硬直しているのかなと思ってしまう。いろいろ事情はあるのだろうが、企業の内部事情なんかユーザーからは見えはしない。ポーズだけでもつけておくべきではないか。

読み放題なんかしたら売れなくなると思っているのかもしれないが、電子書籍は娯楽だ。ライバルは他業種と思った方がいい。出し惜しみしていると、電子書籍なんか見向きもせずに他のことにお金を使うだけだ。そういう意味では消費者の可処分所得の一部を毎月確実に売上に計上できる定額サービスは魅力的なはずだ。

有料の試し読みでしかない

複数巻出ているシリーズ物の小説の1冊目をUnlimitedで読んで面白かった、続きを読みたいと思ったら、続編はUnlimited対象外になっている。つまり続きを読みたければ別にお金を払えということだ。それなら今まででも冒頭の一部分を試し読みできていたわけで、それが増量されただけだ。なのになぜ有料?

それだけではなくて、1冊読み終えたあとは似たような傾向の本を勧めてくれるのだが、そのほとんどはUnlimited対象外だ。つまり1冊読んだら次は別料金。もちろん勧められるままに買わなくても別のUnlimited対象書籍を選べばよいのだが、前述したように非常に探しにくい。

発想の転換が必要

Unlimitedというのは今まで電子書籍にたくさんお金を使っていた人が節約するものではなくて、今まで電子書籍にお金を使っていなかった人が新たに利用するものだ。

例えば、毎週のように図書館に通って本を借りて読んでいる人が、人気書籍を待たずに借りられて、交通費もかからず、いつでも利用できるとなれば月額980円は魅力的だ。

そう考えれば出版社はもっと気前よく本を用意できるし、Amazonももっと本を探しやすくできるのではないだろうか。

読み終えたあとのおすすめが有料ばかりと書いたが、実際はそんなことはなくてUnlimited対象書籍も含まれる。ただあまりにも対象書籍が少ないために出現率が非常に低いというだけだ。

まだ早すぎる、あるいはもう遅い

利用者が納得できる価格で、事業者が収益を上げるためには、定額制サービスはとても多くの人が利用しなければいけない。利用者が少なければ一人あたりの金額が割高になってしまうか、事業者が収益を見込めず撤退することになる。

そういう意味では、電子書籍がまだまだ普及しているとは言えない現在ではUnlimiedはまだ早すぎる。あるいは、電子書籍の黎明期に赤字覚悟で開始して一気に普及させておくべきではなかったのか。もしKindle登場と同時にUnlimitedが始まっていれば、もう本を読むならUnlimitedを利用するのが常識といった時代になっていたかもしれない。