コンヴィヴィアリティのための道具

須永スタジオの備忘録(2016.03.16)

『コンヴィヴィアリティのための道具』イヴァン イリイチ (著)

須永ゼミ一同で『コンヴィヴィアリティのための道具』という本を読み、そこに書かれた知性を共有した。

本著は、近代合理主義(モダニズム)の次に訪れる社会の姿について言及し、それを自立共生(コンヴィヴィアリティ)という言葉で表現している。その他にも「超科学的技術機構(メガマシーン)」「二つの分水嶺」「Responsibly limited tools」「多元的均衡」などの魅力的な言葉が登場する。

“convivial” as a technical term to designate a modern society of responsibly limited tools.
道具が責任を持って限界づけられた現代社会を指す用語として“コンヴィヴィアル”という用語を選んだ。

須永先生はこの文章を特に大切にしていた。なぜならば、、現代は“unlimited”な道具が多いからである。例えば、日本の原発問題はunlimitedな道具によってもたらされた分かりやすい事例である。

そもそもなぜ、このようなデザインとは関係ないような本を読むのかという疑問が2016年の3月時点ではあったが、現在(2016年10月)では少し説明ができるようになった。Richard Buchananの「Four Orders of Design」の考えを使うと説明がつきやすい。

デザインの対象が「Systems:ビジネス、組織、教育、政府」まで拡張してるからこそ、このような本がデザイン基幹の拠り所になるのだ。だから、須永先生はゼミ生にこの本を読ませたのではないだろうか。

Interaction(3rd order)を支えた『誰のためのデザイン』D. A. ノーマン (著)にように、この本がSystems(4th order)を支える本になるかもしれないのだ。

驚くべきことに、原著は1973年に発行されている。2106年の現代社会が抱えている問題を見事に予見して点では、「予言の書」と呼べる。


2016年3月16日15:00〜18:00@藝大
須永、平野、瀧、鈴木、王、高橋、安村(多摩美)、青野(多摩美)、杉村(多摩美)