謙です。アイドルを馬鹿にしていたバンドマンが、アイドルのステージに立ってしまって見たものは?
アイドルが見ている景色
コンサートの音響スタッフとして、洋介は働き始めていた。
学生の頃はバンドでプロになるのが夢で、その夢が叶わないと悟り、せめて少しでも音楽に近い仕事を、と就いた仕事だった。
「今日はよろしくお願いします!」
アイドルの高木祐子だ。歌なんて全然うまくないし、ダンスも付け焼き刃。「どうしてこんなのに客が集まるんだか……」と洋介は小声で呟いた。
コンサートが始まり、洋介は舞台袖に待機した。つまらないコンサートにあくびし始めた頃、無線が入った。
「声が来てない。予備に変えろ」
慌ててステージを見ると、高木祐子は客席を煽り、声が出ていないことをごまかしていた。
慌てて準備してある予備のマイクを手に、腰を屈めてステージに出て行く。
しかし高木祐子の数歩手前で、ちらりと客席を見て足が止まった。
熱狂に足がすくんだ。ぎらつく照明で客の顔こそ見えないが、一人ひとりの強烈なエネルギーに溺れ、海の底に沈められたようだった。
「早くしろ」
無線に声が届くと同時に、高木祐子がマイクを取りに来て、一瞬だけ背中に手を当て、舞台袖に押し戻してくれた。
気付けば舞台袖に立ち呆けていて、慌てて振り返ると、何もなかったようにステージが続いていた。
あとがき
最近、「あとがき」が音楽ネタばかりで、興味ない人には申し訳ないんですが、余暇の時間にハマっていることがそればかりなのでご容赦を。
いえね、ずっとGarageBandっていうAppleの作曲/録音アプリで遊んでいたんです。ずいぶん遊んだから、結構 “使いこなしている” つもりだったんですよ。
で、妻がYouTube用にBGMを作って欲しいというので、「よしきた!」とばかりにちょっと曲を作って、自分で録音してみたら、まったく使いこなせていないことを思い知らされました。
人に聞かせるクオリティを目指そうと思うと、もっと深くアプリのことを理解しなければならないし、繊細なクセを理解しないといけないんです。
で、格闘しつつ数時間かけて録音を済ませて、振り返ったとき、何週間もこのアプリで遊んでいた時間よりも、この「人に聞かせるために録った」数時間の方が圧倒的に成長しているんですよ。
何が言いたいかというと、成長したければ、さっさと「人に見せるための活動」をすることですね。
うまくなったら人に見せるではダメ。
人に見せるからうまくなるんです。
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