Ken Takeshige
原稿用紙1枚の物語
4 min readMay 2, 2016

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アイドルのことバカにしてませんか?

謙です。アイドルを馬鹿にしていたバンドマンが、アイドルのステージに立ってしまって見たものは?

アイドルが見ている景色

コンサートの音響スタッフとして、洋介は働き始めていた。

学生の頃はバンドでプロになるのが夢で、その夢が叶わないと悟り、せめて少しでも音楽に近い仕事を、と就いた仕事だった。

「今日はよろしくお願いします!」

アイドルの高木祐子だ。歌なんて全然うまくないし、ダンスも付け焼き刃。「どうしてこんなのに客が集まるんだか……」と洋介は小声で呟いた。

コンサートが始まり、洋介は舞台袖に待機した。つまらないコンサートにあくびし始めた頃、無線が入った。

「声が来てない。予備に変えろ」

慌ててステージを見ると、高木祐子は客席を煽り、声が出ていないことをごまかしていた。

慌てて準備してある予備のマイクを手に、腰を屈めてステージに出て行く。

しかし高木祐子の数歩手前で、ちらりと客席を見て足が止まった。

熱狂に足がすくんだ。ぎらつく照明で客の顔こそ見えないが、一人ひとりの強烈なエネルギーに溺れ、海の底に沈められたようだった。

「早くしろ」

無線に声が届くと同時に、高木祐子がマイクを取りに来て、一瞬だけ背中に手を当て、舞台袖に押し戻してくれた。

気付けば舞台袖に立ち呆けていて、慌てて振り返ると、何もなかったようにステージが続いていた。

あとがき

最近、「あとがき」が音楽ネタばかりで、興味ない人には申し訳ないんですが、余暇の時間にハマっていることがそればかりなのでご容赦を。

いえね、ずっとGarageBandっていうAppleの作曲/録音アプリで遊んでいたんです。ずいぶん遊んだから、結構 “使いこなしている” つもりだったんですよ。

で、妻がYouTube用にBGMを作って欲しいというので、「よしきた!」とばかりにちょっと曲を作って、自分で録音してみたら、まったく使いこなせていないことを思い知らされました。

人に聞かせるクオリティを目指そうと思うと、もっと深くアプリのことを理解しなければならないし、繊細なクセを理解しないといけないんです。

で、格闘しつつ数時間かけて録音を済ませて、振り返ったとき、何週間もこのアプリで遊んでいた時間よりも、この「人に聞かせるために録った」数時間の方が圧倒的に成長しているんですよ

何が言いたいかというと、成長したければ、さっさと「人に見せるための活動」をすることですね

うまくなったら人に見せるではダメ。

人に見せるからうまくなるんです。

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Ken Takeshige
原稿用紙1枚の物語

小説書いてます。『池内祥三文学奨励賞』受賞。世界旅を終え、作家活動中。 noteやMediumで小説を連載。ブログ『日刊ケネミック』→ http://kenemic.com | Amazon著者ページ→ http://amzn.to/1sh7d1f