謙です。絶対にフォークは使わない、というじいちゃんが孫の結婚式で出されたフォークを前にどうするか……?

箸しか使えないじいちゃんが結婚式で

ふと今日の披露宴での食事を思い出して、酔いが覚めた。

— — じいちゃん、大丈夫だったかな?

祖父は大のフォーク嫌いで、どんなものも箸で食べる。フォークを使わないだけでなく、出されただけで激怒する。

以前、祖父母が結婚記念日にフレンチレストランに入り、席に座った瞬間、フォークとナイフが出された。祖父は「俺は日本人だ」と唸るように呟いて、そのまま店を出たという。

今日の披露宴の食事もフレンチだった。

祖父のことを忘れて、みんな喜んでくれていると思い込んでいた自分が恥ずかしかった。

ちらりと時計を見てから、祖母に電話した。

「じいちゃんのこと思い出してさ」
「フォークのことでしょ?」

祖母は思い出したように笑った。

「あの人、ちゃんと外側からフォークを使って食べてたよ。あんまり真剣な顔で食べてるからおかしかった。でね、家に帰ってきておじいちゃんの部屋を見たら、テーブルマナーの入門書があったの。いっぱい線が引いてあって笑っちゃった」

「じいちゃん……、いまどうしてるの?」
「珍しくもう寝ちゃった」
「そっか。ありがとう、って伝えておいて」
「はいよ」

誰の「おめでとう」って言葉よりも、嬉しかった。

あとがき

「響由布子・武重謙 コラボ企画 第4弾」です。

お題は『箸』でした。いかがでしたでしょうか? 明日はゲストの響由布子さんが同じお題で、小説を書いてくれますので、そちらもお見逃しなく。

《コラボ企画の詳細はこちらをご覧ください》

さて、コラボ企画も後半戦です。ちょっと “小説バトル” って言葉を思いつくぐらいには消耗してきました。

ほら、ヒップホッパーとかがラップでバトルするじゃないですか。ああいうイメージ。

別にこのコラボ企画でバトルしているつもりはないのですが、やっぱり意識しちゃうんですよね。響さんならどうするんだろう? って。

結構、身を削られるような大変さがあります。

でもがんばりますよ。

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