ケンです。男子しか参加しない『余った牛乳の取り合いじゃんけん』にたったひとり女子が手を上げた。その目的とは?

給食の決闘

いつもは男子しか参加しない、余った牛乳の取り合いじゃんけんに、恵美が手を上げた。

担任の若林先生でさえ、少しうろたえた。恵美の目がギラギラとしていたからだ。

恵美はいじめられていた。いつもいじめられて、抵抗できず、小さくなってイジイジしている恵美が、牛乳じゃんけんに参加する理由が誰にも分からなかった。

「ざわざわするな。いくぞー、じゃん、けん、ポン」

若林先生のかけ声でじゃんけんが始まった。ひとり脱落、ふたり脱落と、勝負は進み、恵美は最後のふたりまで残った。皮肉にも相手の男子はイジメの主犯格。教室は静まり返っている。

もうだれも牛乳の取り合いだとは思っていない。恵美の手が震えているし、男子の目はソワソワと泳いでいる。

誰かが「恵美がんばれ」と呟いた。それが引き金になって、他の何人かが続いた。

「それじゃいくぞ、じゃん、けん、ポン!」

恵美がグー、男子がチョキ、一瞬の沈黙のあと、恵美が「よし」と呟いて、そのまま席に座った。

「恵美、牛乳取りにこい」

先生に言われ、恵美は「いらないです」と応えた。給食の終わりを告げるチャイムが鳴った。

《No.85 お題:給食》

あとがき――プロは道具を選ぶ

「プロは道具を選ばない」「弘法筆を選ばず」

そういう言葉をよく聞く。この言葉を否定する気はないが、プロならば、あるいはプロを目指しているならば、最良の道具を使うべきだ、とわたしは思う。

たとえばフォトショップが1番いいと信じていながら、「安いから」という理由だけで、安価なソフトで我慢している写真家がいるとしたら、ずいぶんもったいないと思う。

「まだ自分の腕にはもったいないから」

そんな言葉も聞くが、使わなければ成長しない。買えるなら買ってしまい、サッサと成長すればいい。

だからわたしは道具にはこだわるし、使うソフトウェアも(手が届く範囲で)最良のものを選ぶようにしている。

手が届く範囲で「最善を尽くす」のがプロの取るべき姿勢であり、最善を尽くすべき対象は当然、道具も含まれる、ということだ。

お願い!

こうして書く活動で生きています。
 気に入って頂けたら、♡マークを押すなど応援をお願いします。

このPublicationをフォローすると、短編の物語がほぼ毎日届きます。

《原稿用紙1枚で書く物語》

日刊ケネミックFacebookページTwitternoteMedium

One clap, two clap, three clap, forty?

By clapping more or less, you can signal to us which stories really stand out.