ケンです。雪かきで毎年苦労している婆ちゃんに引っ越しを提案してみたのですが……。

『婆ちゃんにとっての雪かき』

婆ちゃんは寝しなに「明日は積もりそうだから、雪かきを手伝ってくれるかい」と呟いた。

「もちろん」

婆ちゃんは嬉しそうな顔で襖を閉じた。外を見ると月明かりを雪が舞っていた。すでにあたりは雪景色。朝にはずいぶん積もるだろう。

翌朝、婆ちゃんが茶を淹れる音で目が覚めた。お茶を飲むなり、婆ちゃんは半てんを羽織って外に出ていく。ぼくもあとを追った。

外は一面の銀世界……と言えば聞こえはいいが、歩くごとに膝まで埋もれ、年寄りじゃ外にも出られない。スコップで玄関から道路まで道を作る。家の前の歩道も人が通れるように道を作る。ひどく冷える日なのに、汗が止まらない。

「大変だね」
「そうじゃねぇ」

「町に越せば、雪かきしなくて済むんじゃない? 協力するよ。うちに来たっていいんだし……」

「――見てみぃ」

婆ちゃんがあたりを見る。近所の人らも雪かきをしている。

「大変やけどねェ……、みんな手伝ってくれるから」
「そうだね」
「あんたが毎年手伝いに来てくれると助かるんじゃけど」

婆ちゃんは周りの家まで聞こえるような声で、ハハハと笑った。ぼくは頭を掻いて「分かったよ」と答えた。

あとがき――自宅の居心地を良くすること

世界を旅するまで、わたしには変なこだわりがありました。

「家の居心地を良くしてはならない」

世界一周の旅をしたいと決意していたので、家の居心地が良くなって「ここを出たくない」と思うようになりたくなかったのです。変なこだわりだと思いますが、どういうわけかこのルールは固く守られ、ひとり暮らししていた家は何年経っても「最近越してきたばかり」という景観でした。

椅子も、ソファもない。テーブルもない。殺風景な部屋に、書き物用の手作りの文机がひとつあるだけ。

昨年、その旅を終え、この価値観は180度変わりました。家の居心地を良くしたい!

昨日のあとがきに書いたとおり、コーヒー作りの道具を揃えたのもそういう価値観の変化がきっかけかもしれません。

いまは家を快適にして、昼間はうまいコーヒーを飲みたいし、夜はうまい酒を飲みたい。

そのための手間も惜しまないし、むしろそれが楽しい。

みなさんは「家を快適にする工夫」ってしていますか? ぜひ教えてください。

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