息子の部屋から聞こえる何かを叩く音。これが父と息子の意外な団結を生むことに。

『息子の部屋から打音が……』

息子の部屋から何かを繰り返し叩くような音が聞こえた。

「あの子なにやっているのかしら?」
「さぁ」
「ちょっと見てくるわ」

妻が見に行く。しばし音がやみ、妻が降りてくる。

「なんでもない、だってさ。反抗期でろくに喋ってもくれない」

妻は慣れた感じでテレビに視線を向けた。しばらくして、さっきよりも抑え気味ではあるが、同じような音が聞こえ始める。

「あなた見てきてよ。うるさいったらありゃしない」

しぶしぶ息子の部屋の戸を叩く。

「なに?」

声変わり途中のガラついた声が戸の向こうで答える。

「入るぞ」

中に入ると、息子が何かを隠した。机の上には漫画本が数冊。どれも表紙がボコボコと凹んでいる。中には破れかかっているものもある。

「お前、もしかしてドラムやってるのか?」
「なんでわかったの?」
「おれも学生の頃やってたんだ。漫画本を叩いて練習したもんさ」
「――うるさい?」
「まあいいさ。ただし俺たちが寝るまでだぞ」

決して友だちが多いタイプではない息子が、ドラムを始めた。それが嬉しかった。

「どうだった?」と妻がわたしを見る。
「まぁ、気にしなくていいんじゃないか?」
「まったく……、あなたも頼りにならないわね」

妻はテレビに目を向けた。

《No.129 お題:ドラム》

あとがき――大人の遊び

大人になると「無邪気に遊ぶ」という場面が減っていきます。

そんな中でもかなり無邪気に遊べる場面、それが『洗車』です。

天気がいい日に車を出す。バーッと水をかけ、タオルやスポンジで磨き上げていく。最初は身体や服が濡れないように注意しているものの、すぐに諦め、思い切って濡れながら洗う。

むしろ濡れるのが気持ちよくなって、ホースの水先を足下に向ける。洗車が終わる頃には全身がびっしょり。

これは確実に遊びですよ。楽しいですもの。

こんなに楽しい遊びを人に頼んでやってもらうなんてもったいない!

みなさんも休日に洗車遊びでもしてみては!?