これ以上は魚が進めないとされる『魚止めの滝』の上に、父が行こうと言う。

『魚止めの滝』

この沢で釣りをするのはもう5年ぶりになる。久しぶりの父子での釣行だった。

「どうして仕事をつごうと思った?」
「東京に行ったら田舎の良さも分かってさ」

細い沢を釣りながら登っていく。昔は山ほど釣れたこの沢も、ずいぶん魚が減った。

しばらくして大きな滝が見えた。通称魚止めの滝。少々の滝なら登ってしまうイワナも、この滝は登れない。だからこの滝より上には魚がいない。

「今日は帰ろうか?」
「いや、この滝を越えるぞ」
「だって、魚はいないし……」

父は黙って滝の右側から崖を登った。慣れた足取りだった。

「見てみろ」と父は流れる汗を拭きながら沢を指差した。

「イワナ?」
「そうだ」
「でも、魚止めの滝があるのに……」
「俺の親父、つまりお前の爺さんはこのあたりの猟師だったんだ。冬は熊、夏はイワナを獲ってたんだよ。でな、趣味の釣り人が増えたのを危惧して、下の沢で釣ったイワナをあの滝の上に放流して、秘密の釣り場にしたんだ」
「これ、爺ちゃんが放したイワナなの?」
「そうだ。俺もお前も猟師じゃねぇけどな。まぁ、ここのイワナもお前のもんだ。ちゃんと守ってけ」

この日、釣りをするのも忘れて、ただ沢を見ながら歩いた。イワナが多く、まるで子どもの頃の源流を見ているようだった。

《No.149 お題:滝》

あとがき――キノコの同定

いや~、難しい。

最近、山菜やキノコに興味があるんです。山に釣りに行ったときに、その場で山菜やキノコを採れば、土産も増えるし、なんならその場で食べられるな~、なんて妄想しているんです。

で、勉強がてら山菜とキノコの図鑑を机に出しておいて、仕事の合間に時々パラパラ捲ってみるんですよ。

そんなとき、庭にキノコが生えているのを見つけたんですよ。ちょっと老いてるキノコで、いわゆる老菌ってやつ。もう食べられないけど、「こりゃ~いい練習材料だ!」と思ったわけです。

キノコ図鑑を持ってきて、キノコの特徴を見ながら、「あれでもない、これでもない」ってやってたんですが、どれだけやっても結論は出ず……。

どうもシロハツってやつに見えるんだけど、図鑑によると

「シロハツモドキというよくにた有毒種もある」

なんて書いてある。そもそもクサハツにも見えるし、クロハツモドキにも見えるし、カワリハツにも見える。今ここに挙げたもの意外にも、似ているやつはいっぱいいて、もはや大混乱。

だいたい、上に挙げたもののうちシロハツとカワリハツ意外は全部有毒。

老菌になると特徴が消えるとも言われているし、仕方ないのかもしれないけど、ちょっと一人でキノコを採って食べるまでには、時間がかかりそうです。