Ken Takeshige
原稿用紙1枚の物語
3 min readAug 13, 2016

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今まで妻が立っていた台所に、男4人が立っている。

『台所に男4人』

私が慣れない手つきで料理する姿を息子3人が見つめている。煮物と味噌汁。簡単だと思っていたが、作り始めるとなかなか難しい。

妻が急死し、息子3人と私の男4人が残された。1番下の子はまだ小学生に上がったばかりで、上の子は中学生になる。

1年ほどはただ悲しみに明け暮れたが、2年、3年と経つと、子どもにもちゃんとしたもの食べさせたいと思うようになった。しかし料理は妻に任せっきりだったから、ろくにできないし、子どもたちも母から料理を教わるような機会などなかった。

「お母さんの味はもう食べられないんだよ」

と長男が末っ子に言っているのを漏れ聞いたことさえあった。

ある日、末っ子が台所にある料理本を開いていた。

「お父さん、なんか書いてあるよ」

覗き込むと妻の文字で「お父さんには辛め、子どもたちに作るときは味醂で甘めに」など、家族それぞれの好みに合わせてメモが書いてあった。

メモを頼りに妻の味を再現させるのが家族の喜びになった。以前は妻がひとりで立っていた台所に、今は不器用な男が4人立っている。

あとがき――手ぬぐいの威力

わたしは手ぬぐいが大好きです。

デザインが洒落ているというのもあるのですが、機能美を感じるんですよ。たとえば、ちょっとした旅行で手ぬぐいを1枚持っていれば、かなりの用途に使えます。

頭に巻けば陽射しから頭を守ることができ、汗拭きタオルとして使え、手を洗ったあとのハンカチとしても使え、風呂に入れば身体を洗えるし、上がったときの身体拭きタオル代わりにも使える。

そしてなにより乾燥の早さです。上記のような用途で使って、必要ならその場でササッと洗い、適当な場所に干しておけばすぐに乾きます。手ぬぐいは両端が切りっぱなしなので、そこから水分が飛ぶんですね~。

高級なものでもないので、ガンガン使えるし、実際使ってみると分かりますが、長く使えます。

ぜひお気に入りの手ぬぐいを2~3枚、手元に置いておくのをオススメします。

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Ken Takeshige
原稿用紙1枚の物語

小説書いてます。『池内祥三文学奨励賞』受賞。世界旅を終え、作家活動中。 noteやMediumで小説を連載。ブログ『日刊ケネミック』→ http://kenemic.com | Amazon著者ページ→ http://amzn.to/1sh7d1f