恨みが溜まっていた部長に復讐したぼくの結末は……。
『復讐の行く末』
役立たず、のろま、ゆとり、給料泥棒……。どれもこの5分の間に聞いた言葉だ。
「おい、聞いてンのか!?」
「はい……」
「俺に勝てるもんなんかなにもないんだから、聞いた通りに仕事しろ!」
放っておけば、延々と続く部長の罵声。入社してすぐ部長に嫌われたみたいで、事あるごとにこうして怒鳴られた。
――復讐してやる!
そう心に誓ったぼくは、ずっとチャンスをうかがっていた。それは想像以上に早く成功した。
ぼくは部長の妻を寝取ったのだ。会社のイベントに奥さんを連れてきた際に近付き、連絡先をもらった。聞けば部長は亭主関白で、威張り散らしていたようで、奥さんの愚痴は耐えなかった。
「部長! そうやって奥さんにも威張り散らしているそうですね!」
部長は口が止まった。部長室の個室を閉じ、ぼくの顔を見た。
「なんでそう思う?」
「奥さんから聞きましたから――」
ぎゃふんと言わしてやる。と、ぼくは部長を睨み付けて言ってやった。
「奥さんは部長よりもぼくのほうがいいそうですよ。昨晩、言ってましたよ、ベッドの上でね」
部長の顔は固まった。怒りに狂うかと思ったが、数秒おいて、なぜか笑い出した。
「お前はやっぱり詰めが甘い」
部長は机の下からICレコーダーを取り出した。
「妻が不倫しているのは知っていたんだよ。で、人に頼んで調べてもらったら、お前の名前が挙がったんだ。でも写真が撮れなかったみたいでね。良かったよ自白が録音できたから」
部長の高笑いが止まらなかった。
《№168 お題:罵声》
あとがき――あとがきがゆるくなります
この「あとがき」というのもなかなか書くのが大変でして、忙しくなってくると、これ自体が負担に鳴ることが少なくありません。
毎回、結構テーマを決めて、語ってみたり、何かを紹介してみたり、いってみればちょっとしたブログの記事でも書いているような気持ちで書いてきました。
が、今後はゆるゆる書こうと思います。