細胞に目を向ける

kenshi.miyazawa
分子栄養学実践講座
4 min readJun 27, 2016

通常の栄養サプリメントは、肝臓にウコン、腸に乳酸菌、目にブルーベリーなど、全身や臓器を元気にする事を目的とするものが多いです。

それに対して、分子栄養学では細胞を元気にする事を目的としてサプリメント処方を行います。

人間は60兆個の細胞からできています

症例 37才女性 慢性疲労

・とにかく疲れやすい
・朝が起きられない、休みの日は1日中寝ている
・不妊症で治療中。これといった婦人科的異常はない。
・強迫神経症
車を運転するたびに人を引いてしまってないか心配になる

今まで不妊治療で婦人科に、強迫神経症で精神科に通院していたが、改善が見られず相談。

・慢性疲労
・不妊症
・うつ、強迫神経症

さて、この3つの症状に共通する事はなんでしょうか?

こたえは、「細胞機能障害」です。
特に細胞の中でも一番重要なエネルギー産生機能が障害されています。

細胞の中でエネルギーを作っている場所を「ミトコンドリア」といいます。
「疲れやすい」ということは、「細胞のミトコンドリアの働きが悪い」ということです。

ミトコンドリアは脳や筋肉、肝臓や心臓などの細胞に特に多い事が知られています。
なぜなら、それらの臓器はエネルギー需要が高いからです。

通常の細胞にはミトコンドリアが数百個ありますが、脳や心臓の細胞にはミトコンドリアが数千個あると言われています。

ですから、ミトコンドリア機能が低下すると、脳や心臓や肝臓の働きが大きく低下し、疲れやすくなります。
また、脳が疲れるのでうつ症状がでます。

もう一つ、ミトコンドリア機能の影響を大きく受ける場所があります。
それは、卵子です。

女性の生殖細胞である卵子はとりわけミトコンドリア数が多く、卵子ひとつあたり10万個ものミトコンドリアが含まれています。

排卵から受精まで、多くのエネルギー源を、ミトコンドリアでまかなう必要があり、ミトコンドリアの不調によって排卵、受精障害を引き起こします。

つまり、この女性は臓器別にみると、脳や筋肉、卵子などの障害ですが、細胞という観点から見ると、ミトコンドリア機能障害とひとくくりにすることができます。

ミトコンドリアは栄養療法の大きなターゲット

ミトコンドリアは二重の膜につつまれている

人間の3大アラームは、痛み、発熱、 疲労と言われています。
アラームとは、人体の機能が危機に瀕した時に警告を発して、体を休めるように促すシステムです。

この3つのうち、疲労は他の2つとは違う特徴を持っています。

一つは、「あまり危機感を感じない人が多い」ということです。

痛みや発熱があれば明らかに病気だろうという事で病院に行ったり、会社を休んだりする人も多いのですが、疲労に関しては別です。

「ちょっと疲れているんだろう」という事で、大事に思わない人も多く、会社も休みづらいのでしょう。

もう一つは、薬がないということです。

痛みには鎮痛剤、熱には解熱剤で対応ができますが、疲労に効果のある西洋薬はありません。(滋養強壮の漢方薬などは別です)

殆どの薬は、なんらかの代謝の阻害薬であるためです。
疲労を治すには細胞機能を修復する必要があるのです。

つまり、ミトコンドリアの修復は栄養療法の大きなターゲットになります。

実際のところ、ミトコンドリアは人間の活動に必要なエネルギーのほとんどを作り出しています。

全ての栄養素はミトコンドリアでエネルギーに変換される

ミトコンドリアの機能に関わる三大栄養素、そして、補酵素としてはたらくビタミン、ミネラルに関しては下記の動画で説明しています。

※5:39あたりから解説が始まります。

ミトコンドリアのしくみについてはこの動画を見てください。

‘’『ミトコンドリア内で生産されるエネルギー』 ‘’

ミトコンドリアを動かすのに必要な栄養素→

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