細胞の内側の内側は外側である

kenshi.miyazawa
分子栄養学実践講座
3 min readAug 2, 2016

フェルメールの研究家としても著名な生物学者である福岡伸一博士のセミナー行ってきました。

「GP2」の話は「生物と無生物のあいだ」で、「フェルメールとフック」の話は飛行機の中で読んだことのある内容でしたが、それでも改めてご本人から伺うとすごく面白かった。

2時間ずっと身を乗り出して聞き入ってしまいました。

さて、そんな先生のお話の中でも私が一番心を奪われたのは、エクソサイトーシスの説明でした。

エキソサイトーシスとは、分泌顆粒や小胞が細胞膜と融合し、その結果内容物が細胞外へ放出される過程のことです。

先生は、「細胞の内側の内側は外側だ」とおっしゃっていました。

これはどういう意味でしょうか。

細胞の外側と内側は強固な細胞膜で隔てられており、両者の環境は全く異なります。

神経伝達物質やヒスタミンなどは、分泌され他の細胞の受容体に結合するのが仕事です。

ですから、細胞外環境で適切に働くように作られなければなりません。

では、どうやって細胞内環境の中で細胞外環境適応物質を作るのか?

それは、「細胞の内側にさらに膜を隔てて細胞外環境を確保する」のです。

ここなら細胞外物質を作りおきしておくことができます。

しかも、命令が来たら膜を融合させれば「内側のさらに内側」は「外側」と一体化します。

この巧妙なシステムによって、分泌物は強固な細胞膜をいとも簡単にすり抜ける事が出来ます。

細胞内に細胞外環境を作っておくことが、エキソサイトーシスという複雑なシステムのカギです。
分泌顆粒や小胞体の内側は細胞の外側なのです。

以上の事がわかると、

「タンパク輸送は小胞体膜の流動性に依存する」という事実の理解や

「小胞体ストレスの解消にフィッシュオイルが有効」という臨床応用の発想が容易になります。

実践講座はあくまでも臨床に直結する情報提供を第一に考えていますが、このような基本事項を抑えておくことで、思考のフレームワークが強固になります。

というわけで、第7期実践講座は、基本に立ち返って細胞のしくみやビタミン・ミネラルの性質をやります。

といっても講座では、臨床応用情報主体でやっていきたいし、皆様のアウトプットにできるだけ時間を使ってほしいので、これらの基本情報は、メール講座という形でご提供致します。

プレ講座も含めると10回講義あり、メール講座ありで今回も大変お得になっています。
新規の講座はすべて録画配信致しますので、すべてに出席する必要はありません。
東京4回もしくは、関西4回分の内容で十分理解できるような構成になっています。

http://www.bunshieiyou.com/

p.s.
今回は医師向けの講演だったのですが、福岡先生は、「エクソサイトーシス」という専門用語は使わず、中学生にでもわかるような本当にわかりやすい説明をして頂きました。

誰にでもわかるように説明を出来るという事こそが、物事の本質をわかっているという事だと思います。

先生、さすがです。

私も見習いたいです。

この講演会、続編もある様です。

一緒の撮影会もありましたので、特にファンの方にはとてもお勧めです。

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