【じぶん図書館のつくりかた】誰でも「図書館」ができる時代【第1回】

意外と知られてないマイクロライブラリー活動とそのノウハウ

森哲平
ナガヤ図書館 おとなり3
6 min readJul 6, 2017

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人生はじめてのことなんですが、昨日はFM徳島に、ラジオの収録に行きました。どうやらぼくがやっている「私設図書館」の活動に興味を持ってくださったみたいです。

番組はぜひぜひ聞いてもらえればと思うのですが、今日お話したいのは「図書館」のこと。

そもそもこの「私設図書館」って活動が、「やってます」というと「そら珍しい!!」という感じで、皆さん結構食いついてきてくださるんですよね。でも、自分としてはそんなに珍しい活動をしているつもりはない。

というのも、実は①私設図書館=いわゆる「文庫」活動には結構歴史があるし、②全国には無数の私設図書館があるからです。今回から何回かかけて「図書館ってどうやってはじめるの?」「どうしたらできるの?」という話をしたいと思います。

全国に無数にある「マイクロライブラリー」

じゃあ何冊あれば図書館なんだ?って話があるので、まあ定義は曖昧なんですが、自分の本、あるいは自分が集めた本を開示して、他の人の閲覧、貸出しに供する活動を「図書館」とするなら、全国には既に無数の私設図書館があります。

最近ではこうした図書館を指す言葉として「マイクロライブラリー」という言葉もよく使われています。

これらの本の巻末についているマイクロライブラリーの所在地リストを見ると、全国には900箇所くらい私設図書館があると。でも、これでも「一部」だと思います。ひっそりとやってる方、結構いらっしゃるんで。

全国のマイクロライブラリーが集まって交流し、その活動を発表する「マイクロライブラリーサミット」なんてイベントも毎年一回、開催されています。

2年くらい前ですが、ぼくも登壇し活動報告をいたしました。そこでも「図書館なんて誰でもできる」という話をさせていただいたので、興味のある方は『コミュニティとマイクロライブラリー』をお読みください。

図書館のつくりかた〜簡単なノウハウ

図書館の作り方、ものすごい簡単です。必要なのは①場所、②本。これだけ。

言ってみりゃ、ダーっと本を並べて、「図書館です」と言えば、もう図書館です。ミニマムにいうとほんとこれだけなんですね。

「場所」というのも文字通り「場所」、土地と受け取ってください。

というのも世の中には「建物すらない」図書館すら存在するからです。阪南中心に開催されているグラス@まちライブラリーでは、定期的に皆が自宅から本を持ってきて、公園の芝生に集まるという活動をしています。

そうなんです。図書館というと大量の蔵書や、自己所有の土地や建物が必要と思われがちですが、実際はそれすら必要ない。場所なら公園があるし、本なら参加者に持ってきてもらえればいいし。本当に今すぐにでもはじめられる、それが私設図書館、マイクロライブラリー活動のよいところです。

どこか尖った、ヘンテコな図書館にしよう

というわけで、「やってみたい」と思った方。迷ったり考えたりするほど大したことでもないんで、もうとっととやっちゃえばいいなと思うんですよね。

そうだなあ。特に思いつかなければ、場所は自宅で。本は自分の蔵書で。1冊から。そんな感じで、なんでもいいじゃないですか。すぐ始められます。まずは始める。始めた後から「よくする」をしていけばいいので。

ただ、どうせなら「どこにでもある」「誰でもやってる」「とりたてて魅力のない」図書館よりも、「個性がある」「変わってる」「他になかなかない」そんな図書館を目指してみたほうがおもしろいんじゃないかとは思います。

一番個性出せるのは蔵書じゃないですかね。「障害関係の本に特化」とか「絵本に特化」「クックブックに特化」みたいな。そうすると資源や予算も集中できるし、目立つし、利用者からしても「何が読めるのか」期待しやすいのではないでしょうか。

実際、香川県にはこんな図書館もあります。サーカス専門図書館。

蔵書以外にも、場所や活動方針や、何かちょっとしたヘンテコを用意すると、「存在意義」みたいなのが感じられるようになっていいなと。まあ別にいらんのですけどね、存在意義なんて。楽しいからやってる、だけでいいんですけど、せっかくなんで。

というわけで、「じぶん図書館のつくりかた」。いかがでしたか。次回は気になる「貸出管理システム」について説明します。

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森哲平
ナガヤ図書館 おとなり3

1979年兵庫県生まれ。2011年より徳島に移住。2015年から徳島市沖浜町にて私設の図書館や子ども向けプログラミング教室を運営している。