膨れ上がった現状を打破するには

Happy Hippie(ハッピー・ヒッピー)論説

Haruo Nakayama
9 min readMay 10, 2015

マイリー・サイラス

去年の12月、トランスジェンダーの女の子リーラ・アルコーンが自殺しました。とても辛い出来事で、まるで知り合いが自殺したかのようでした。とても近しい人のように感じたのです。この一年ほど、ホームレスの若者を支援していますが、10代でホームレスである人達のうち40%が自分のことを LGBT だと認識していると、その活動を通じて知ったときはショックでした。トランスジェンダーな人にとって「生きていく」ことがどういったことなのか。それを知るにつれ、トランスジェンダーであることがホームレスになってしまうことにどう繋がるのかも、分かってきたのです。つまり、受け入れてもらうこと・存在を認めてもらうことが、若者がホームレスになってしまうことを防ぐ特効薬だということなのです。自分らしく、ありたい自分であることと、性別・性的傾向・体格・人種・年齢はまったく関係ないのですから。

LGBT の人達に対する差別問題については、これまでにも色々と発言してきました。そういった人達が周りから孤立してしまうと、働くこと、地域の一員として暮らすこと、家や家族を持つことがとても大変になるからです。結局のところ、それが彼ら/彼女らがホームレスに陥ってしまう原因になってしまうのです。LGBT のコミュニティで起きている様々な問題をもっと知りたいと思うようになりました。トランスジェンダーの女性に対する暴力、HIV/AIDS、家族に理解してもらえず逆に強く非難される LGBT の人達……世の中のすばらしいものが実を結ぶにはなんであれ時間がかかりますが、時間をかければきっと変えていけるはずです。だから、今日ここに Happy Hippie Foundation (ハッピー・ヒッピー財団)を立ち上げます。すべての人生には意義があって、自分の存在意義が何か分からず迷う人達も安心して暮らせるようにしていくべきだと信じているからです。

どんな絵だってはじめはまっさらなキャンバスにすぎません。明確な目的を持った人がその上に描くことで、初めて作品として成り立ちます。そして、私達一人一人はまさにキャンバスそのものです。自由に描いていいはずですし、ありたい自分をそこに表現すればいいのです!

正真正銘の自由といえる「表現の自由」を自らのキャンバスに描くアーティストになろうとする人達を、Happy Hippie Foundation は支援していきます。この自由が、ありたい自分である自由に繋がるはずだからです。自由を勝ち取るには、これからも戦っていかねばなりません。いまこそ手を取り合って、不公平さを正していきます。happy hippie(ハッピー・ヒッピー) な人達は、自分以外を幸せにする人だと思います。仮に相手が自分のような人ではなくても、それは変わりません。とはいえ、Happy Hippie Foundation のテーマはひとつではありません。私自身まだ若いですし、世の中には正すべきこと、学ぶべきこと、情熱を注ぐべきことがごまんとあるからです。若くしてホームレスになってしまった人達や LGBT であることで不利益を被っている若者の存在は、私達が直面する問題のなかでもまさに「今そこにある」問題なのです。この問題と戦う活動の一員であることを誇りに思いますし、事態が大きく変わろうとしているこのときに生きていられることがとても嬉しいです。ブルース・ジェンナーが、自らの知名度を使っていかに「善行を積む」か、世の中を変えていくかを話しているのを聞いたことがあります。素晴らしい内容でした。彼が語ってくれたことは、私が取り組みたいことそのものだったのです。

私達は変わらなければいけませんし、若い人達は変化を期待しているのです。本当の自分を隠したまま毎日を過ごしていると、生活そのものが耐え難くなってしまいますから。感情(最たる例は愛情。)がある人間の場合は特に。ですが、不毛な批判やそこから生じる悲しい出来事があまりに多すぎます。人にはみな感情がありますし、尊重されるべき権利もあるのですから。

本当の自分を隠すべき人なんて、誰一人いません。彼/彼女の名前・性別・地位・性的指向は関係ありません。そして、それこそが happy hippie な人達が存在する理由なのです。すぐそばにいて、「あなたの人生には意義があるのよ」と言い続けるのです。happy hippie な人達の役割は、自分達の人生の意義がわからず迷っている人達を受け入れ、愛されていると感じられるようにすることです。そういった人達もまた、大切な存在なのですから。

Happy Hippie がこれまでに集めて寄付した資金で、ロサンゼルスにある My Friend’s Place というホームレス用避難所にいる若者たちに食べ物や清潔な靴下・肌着を今後2年間提供していきます。「清潔な靴下・肌着」というと当たり前に思えるかもしれませんが、アメリカ国内で160万人にのぼるホームレスの若者達にとっては大切なことなのです。それすら持っていないわけですから。今後、6万食を超える食事も提供される予定になっています。

話は変わりますが、動物から愛され慕われること、自由に芸術を深めていけることは、私にとってとても大切なことです。ホームレスの人達がそれらに触れると、人生を築き直していくときに感情面での支えになったり、新たな技能を学ぶときの助けになったりといいことずくめであることがわかりました。何かを作ることの本質は、そこに良し悪しがないことだと思います。つまり、自分自身が感じたままを表現するということなのですが、ホームレスの若者の多くがそうは出来ずにいます。そういった人達に、自分自身をもう一度表現できるようになってほしいのです。Happy Hippie では、物資の提供を通じてそういった人達を支援していきます。それに加えて、動物と一緒に暮らすプログラムにも資金提供していきます。動物と一緒に暮らせば健康状態の改善に繋がりますし、動物が最高のパートナーになることだってあるわけですから。

先日、ニューヨーク州がホームレスの若者用予算を450万ドルに増やすかもしれない、という話があがってきたので、この話を支援するようお願いする文章をクオモ州知事・ヒースティ州下院議長・スケロス州上院議長宛に送りました。私のファンのみんなも嘆願サイトを通じて支援を頼んでくれて、予算がおりることが決まりました。まさにいま、何かが変わったのです!若者が若者のために立ち上がったのです!Happy Hippie では現在、支援の輪をネット上で構築するための取り組みを進めています。LGBT の若者達をネット以外の方法で支援するきっかけになってくれれば、と考えています。安心できる場所を技術の力で提供して、若い人達とその家族が居場所に関係なく協力できれば、といったところです。

Happy Hippie の取り組みも私自身の活動も、まだまだ始まったばかりです。けれど、何千もの人達が一緒に活動してくれています。受け入れてもらえず、不公平な扱いを受けている人達を助けるため、一緒に戦ってくれているのです!

既に、政界・テック業界・エンタメ業界の著名人とも活動を進めています。みんなが暮らしたくなるような世の中を一緒に築いていきます。ファンのみんなには「場」を提供したい。そこでしか知り得ないような問題が学べる場を。みんなが自由に質問できる場にもしたいですし、手を取り合って協力できる場であってほしいです。世代が変わろうとしているわけですし、もっと幸せで自由な世の中を作ってそこで暮らせるようにしたいのです。私達、まだまだ成長して、学んでいけるでしょ。世の中だってきっとそうです。この地球には数十億の人が暮らしているけど、誰もが幸せになっていいはずなんです。

Happy Hippie Foundation が昨日、ついに動き出しました!最初にお届けするのは #HappyHippiePresents の Backyard Sessions です!No Freedom と Different の2曲をジョーン・ジェットと一緒に歌った動画があるので、ぜひ見ていってくださいね。あと、ネット上に LGBT の若者とその家族達を支援するグループを作るための募金にもご協力ください。

Happ Hippie Foundation は、ホームレスや LGBT の若者をはじめとした弱い立場にある人達が甘んじている不公平さを正していくための組織です。詳細はこちらをご確認ください。

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Haruo Nakayama

ex-Medium Japan translator. Trying hard not to get “lost in translation”. 元Medium Japan翻訳担当。