PDAの話をしよう7・待望の日本語版PDAはWindows CEだった

伊藤浩一
PDAの話をしよう
3 min readNov 22, 2016

PDA、パーソナルデジタルアシスタントの話をしています。1994年発売のHP200LX、1996年発売のNewton Message Pad 130と使って来ましたが、実はどちらも海外版でした。日本語で使うために、苦労をしていました。日本語版PDAの登場を待ちわびていた1997年についに、日本においてPDAが発売になります。それは意外なことにマイクロソフトのOSを積んだPDAでした。

マイクロソフトは、業務用端末向けの組み込みOSとしてWindows CEを1996年にリリースします。例えば、お店などで注文を取るような端末など向けですね。このWindows CEベースのHP200LXライクなキーボードを搭載したPDAが、1997年より日本メーカーが急にリリースを始めました。PDAなんか見向きもしなかったメーカーが急にリリースをして驚きました。

私は、初代Windows CE機であるカシオのカシオペアA51を入手しました。スタイルは、ミニキーボード搭載ですが、スタイラスペン内蔵し、ペンタッチができる端末です。

Windows CEのコンセプトは、Apple Newtonが提唱したPDAとはちょっと違う、PCコンパニオンというものでした。単体での通信機能は搭載しておらず、PCとケーブルで接続して同期をして、あくまでPCのデータを持ち歩く端末、というコンセプトです。

しかし、PDAユーザーは、真逆の行動を取ります。このWindows CE機単独で、どこまでできるか、いろいろトライをしていきます。無線LANカードやPHSカードなどを内蔵させて、単体で通信を行い、さらに、ソフトによるカスタマイズをやり始めました。

このソフトによるカスタマイズは、メーカーではなく、ネット上の有志のプログラマー達が活躍しました。メーカーでは決して作ることができない、細かいニーズに対応したソフトが続々とリリースされていったのです。

Windows CE機、特に初代のカシオペアA51は、端末としてのクオリティは低いものでした。モノクロ液晶の視認性も悪く、ミニキーボードは、HP200LXとは比べ物にならないふにゃふにゃしたものでした。また、今では考えられませんが、バッテリーが切れるとフルリセットになったり、また、ちょっとした操作をした瞬間にフルリセットがかかってしまうこともありました。その場合は、最初から設定をやりなおしです。

それでも、有志達が続々とリリースするソフトを試す楽しみは、今のスマートフォンでは体験できない楽しい時間でした。PCコンパニオンではなく、PDAにユーザーの手でカスタマイズしていったのです。

このWindows CEは、キーボード型デバイスから、もう一つのPDAの雄であるPalmを意識して、Windows Mobileというキーボードレスな小型端末へと変化していきます。その話はまた次回。

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伊藤浩一
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ブログ「伊藤浩一のWindows Phone応援団(旧W-ZERO3応援団)」主宰。モバイルユーザーとしてレビューを毎日掲載しながら、日本のスマートフォンシーンの盛り上げを行い、アクセス数は月間30万を超えるブログとなっている。