沖縄から“外”に連れていってくれる「お菓子とカメラとペチャクチャナイト」 — ペチャクチャナイト宜野湾スポンサー球銘菓くがにやあ

水澤 陽介
pechakucha ginowan
Published in
7 min readFeb 17, 2017

球銘菓くがにやあ(以後、くがにやあ)は、「後世に残るような本物の琉球菓子を目指して」を理念に、2010年に創業。

店主の新垣實(あらかきみのる)さんは、琉球菓子メーカーの名のもとに、王朝時代の丸型を再現し、古来の製造方法である燃焼式窯で作られた「くがにちんすこう」などを製造・販売に取り組んできた。

第26回全国菓子大博覧会金賞と平成26年度沖縄県推奨優良県産品に選ばれた「くがにちんすこう」は、保存料などの添加物、着色料を使わずに素材本来の味に仕上がっています

代表の三女で、現在は営業企画としてくがにやあを支える新垣尚香さんは、東京とニューヨーク、その後沖縄で活躍する写真家であり、ペチャクチャナイト宜野湾#16からイベントフォトを担当。さらに、イベントスポンサーとしてお菓子の詰め合わせを提供するなど、ペチャクチャナイト宜野湾に深く関わりをもつ尚香さんに話を伺った。

「琉球菓子という伝統を守りたい」還暦パパからはじまった夢とは?

— 尚香さんからいつも、いつもお菓子をいただき、味がおいしいことは知っていて。そんな、くがにやあには創業当時から関わっていたのですか。

那覇空港からモノレールで約20分、古島駅から徒歩3分という好立地に「くがにやあ」はあります

尚香:そのとき私は、東京でカメラマンやスタジオ向けに機材の販売、レンタルする仕事を行なっていました。だから、父が60歳を迎えたときに「お菓子をやる」といって、ちんすこう屋をはじめていた。もう、ドキッドキッでしたね笑

— 家族だとなおさら心配ですよね。實さんは何とおっしゃっていましたか?

尚香:「市場に出回っているちんすこうは、王朝時代から続く伝統を守ったものでない」と、父はとことん本物にこだわっていて。だから、商品開発に3年の歳月をかけて、当時の技法に忠実で、製造方法も工夫しつつ、よりおいしいものにしたいとはいっていましたね。

— 2010年だと、もう沖縄の定番としてちんすこうは定着していますよね。お父さんが奮闘する姿をみてきて、稼業を手伝おうと思ったんですか。

尚香さんが手がけるお菓子の包装紙デザイン。沖縄らしい原色の色使いが特徴です

尚香:私は2015年から人手が足りないからと、くがにやあのお菓子の写真やショップカード、WEBサイトを作ってきました。本当のことをいうと、18歳から写真を撮りはじめ、東京、アメリカに行き、アートスクールに通ったりしてきたなかで、ふと沖縄の写真を撮ったことがないに気づいたんです。

— 灯台下暗しですね。沖縄の写真には、ご家族の写真も含めてですか。

尚香:それは、どうかな(笑)まあ、沖縄の写真を撮りつつ、理想な味を追い求めて工場長をやっている兄と父、そして私も混じって言いたい放題ですけどね。

「写真とは、私を遠くに連れていってくれるもの」

— 東京・ニューヨーク・沖縄と写真を撮られてきて、ペチャクチャナイト宜野湾とはどのような出会いがありましたか。

尚香:過去、高校の同級生と3年間限定のアートグループ「KYUNA」を行なっていまして、奇しくも父が創業した2010年に沖縄で展示会をすることになって。そのときに、ペチャクチャナイト宜野湾の会場になった「COTONOHA artspace+café」を使わせてもらったことがきっかけです。

— 写真をきっかけに、ご縁を紡いできた、と。

尚香:はい。2005年にキヤノンの写真新世紀優秀賞を受賞したときも、当時の写真が東京から大阪、福岡と私がいないけど展覧会として巡回していくさまをみて、不思議な感覚を覚えました。私にとって写真とは、私自身をどこかに連れていってくれるものなんです。

— ペチャクチャナイトも東京からはじまり、“PechaKucha”という表記が世界900ヶ所以上に広がった経緯と似ていますね。当日、イベントフォトを担当されてみて、印象に残っていることはありますか。

ペチャクチャナイト宜野湾#16にて尚香さんが撮影したポートレート

尚香:私事ではないですが、私の妹と旦那さんに遊びにきてくれて、登壇者の話しを聞いて、ビジネスイメージが浮かんだといっていて。

— うれしい、感想ですね。

尚香:この場にいる作家さんやアーティストのトークをきっかけに、インスパイアされることは考えられますよね。

幸せが訪れるお菓子をきっかけに人と人との縁結び

— ペチャクチャナイト宜野湾は、これから#17、#18と続いていく中で、参加者のメッセージはありますか。

尚香:イベントには、アート好きな人が集まりますので、何か1つでも情報を持って帰って、自分の生活に落とし込んでほしいです。

— 会場ではお酒を飲みながら、ワイワイやることがコンセプトですから、楽しみながら得てほしいですよね。

尚香:私も、会場でパシャパシャと写真を撮っていますからお声かけていただければ。カメラって、やっぱり外に出してくれるツールだと思うんです。例えば、ポートレートを撮りたいなと思っていても、カメラを持っていれば許してもらえる。被写体さんとの関係性が、この場で写真という表現で生まれる。

ペチャクチャナイトも、外に連れていってくれる場として、海外にアピールするきっかけをつかんでほしいと思います。

— あと、会場にはくがにやあさんのお菓子もありますからね。

スポンサー提供していただいた「琉球ぽるぼろん」は、スペインの伝統菓子ポルボロンを沖縄風にアレンジしたもの。口に入れて溶ける前に3回「ぽるぼろん」と唱えることができれば、幸せが訪れるという言い伝えがあります

尚香:当日は、私たちが丹念に作ってきたお菓子「琉球ぽるぼろん・沖縄の塩味」を持っていきますので、「ほっとする、素朴で豊かな味わい」で楽しんでほしいですね。

— あっ、僕も食べたい。

【インフォメーション】

株式会社くがに菓子本店

ホームページ:http://kugani.com

住所:沖縄県那覇市銘苅1–14–19

電話番号:098–860–7274

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水澤 陽介
pechakucha ginowan

おきなわダイアログ管理人×フリーライターで沖縄カルチャーをお届けします。