OBSを使ったオンライン勉強会の画面づくりの紹介 #2 フレーム画像の作成
こんにちは、かめねこです。
今回は、OBSでリッチなオンライン勉強会を開催するにあたって、画面全体を構成する「フレーム画像」の作成についてご紹介していきます。
概要
#1では、ちょっとリッチな配信を行うための全体像についてご紹介しました。
今回は、フレームレイヤーに配置する、フレーム画像のより具体的な作成方法についてご紹介します。
OBSで配信を行う場合、多くはフレーム画像を用いらずともある程度のクオリティのレイアウトを作ることは可能です。フレーム画像の作成は、より一層のクオリティを実現するために必要な要素なのです。
ただし、フレーム画像の作成にはスキルが必要で、全てがOBS上で完結しないため、相応のメンテナンスコストもかかります。それらを考慮した上で、フレーム画像を作成するのか、使わないのか判断しましょう。
要件
作成するにあたって、どんなものを作りたいのか要件を明確にしましょう。今回は以下の要件を満たすものを作成します。
- Zoom埋め込み(OBS側で制御)
- Twitter埋め込み(OBS側で制御)
- セッションタイトルや登壇者名を埋め込み(OBS側で制御)
- イベントタイトルやTwitterのハッシュタグを表示(画像に埋め込み)
- 各エリアは角丸四角を利用
ZoomとTwitter、セッションタイトルや登壇者名はOBS側で埋め込みますので、枠だけ用意します。また、ZoomやTwitterなどのウィンドウ向けの枠は透過して塗りつぶし、セッションタイトルと登壇者名は白などで塗りつぶします。
まぁ、テキストで説明しても分かりづらいので早速手順を解説していきましょう。
作成手順
作成に必要なもの
- OBS Studio
- Adobe Photoshop CC
主に画像を作成するに当たって、AdobeのPhotoshop CCを利用します。基本的には、Photoshop以外にもラスター系の画像編集ソフトであれば同様に操作ができると思いますが、細かい操作方法等はそれぞれのソフトウェアごとに異なるので、個別に調べてください🙏。
配置を構成する
まずは、簡単な配置を構成します。Photoshopを起動し、新規にファイルを作成します。内容は以下の通りとします。
- 幅/高さ: 1920/1080
- 解像度: 300 ピクセル/インチ
- カラーモード: RGB カラー
- カンバスカラー: 透明
基本的には幅と高さ以外はデフォルトです。なお、幅と高さは配信時の解像度以上にしておきましょう。FullHDでの配信であれば1920/1080、4Kなら3840/2160のようにしましょう。
作成したら、適当に背景画像を配置します。カンバス上にドラッグ・アンド・ドロップします。今回はZoom背景として公開されている石狩のサーバルーム画像を利用します。
続けて、レイアウト用の図形を配置します。「角丸長方形ツール」を使い、図形を配置しましょう。
今回は角丸長方形を描画するので、「角丸長方形ツール」を用いていますが、その他の図形であれば、それぞれにあった描画ツールを使用します。
また、Twitterやセッションタイトルなどの枠は自由サイズで問題ありませんが、Zoomやカメラ用の図形は16:9の比率作成します。雑に以下のように作成しました。細かいサイズなどは一旦無視してOKです。雰囲気で起きましょう。
また、レイヤーは以下のようにフォルダ分けしておきました。基本的には、背景画像が一番下にあることを意識しておけばOKです。
作成した図形のサイズを調整します。まずはスライド用の図形を選択し、属性パネルから縦横のサイズを指定します。それぞれ、16:9の比率で指定しましょう。
Photoshopであれば、そのまま図形の頂点をドラッグすることで比率を維持したままサイズを変更できるので、最初は適当な16:9のサイズを入力し、全体とのバランスはマウスでグリグリ調整するのがおすすめです。
そんな感じで、以下のように配置しなおしました。スライドとカメラは16:9で、その他は大まかに配置しています。なお、カメラとTwitterの間はハッシュタグを入れるため、セッションタイトルの下にはイベント名を入れるために空白を空けています。
さらに、各図形に枠を設定します。それぞれのレイヤーを選択し、属性パネルからボーダーカラー、太さを選択します。
今回は、カラーをグレー(#c4c4c4)、太さを5pxとしました。少し分かりづらいですが、以下のように枠が追加されました。
図形で切り抜く
続けて、いくつかの図形で背景を切り抜きます。今回、ZoomとTwitterについては、OBS側で埋め込むため、透過処理を行います。
ただし、単に図形に透過の塗りつぶし処理をするだけでは、背景画像が見えてしまうのでNGです。「図形で背景を切り抜く」処理を行います。この方法については以下の記事を参考にさせていただきました🙏
まずは、切り抜きたい図形のレイヤーを選択します。今回はスライドとTwitterのレイヤーを選択します。
レイヤーを選択した上で、「パスコンポーネント選択ツール」を選択します。
カンバス全体を選択するようにドラッグし、対象の図形を選択します。
正しく選択できたら、以下のようにそれぞれの図形の頂点に青い点が表示され、問題なく選択できていることがわかります。このとき、片方の図形だけが選択されていないか注意してください。
この状態で Ctrl + C を押し、選択範囲をコピーします。その後、背景画像のレイヤーを選択し、 Ctrl + V で貼り付けると、以下のように背景全体が透過処理されている状態になると思います。
続けて、画面上の「パスの操作ツール」より、「前面シェイプを削除」を選択します。
背景画像がもとに戻り、一見すると何も変わっていないように見えますが、対象の図形を非表示にすると、無事図形で背景画像を切り抜けていることがわかります。
これで無事スライドとTwitterのエリアを切り抜くことができました。また、このままでは切り抜き範囲の枠線も消えてしまっているため、非表示にしている図形に対して透過の塗りつぶしを行います。
これで対象の範囲で切り抜き、枠線を描画することができました。
その他の装飾を行う
さらに画面を装飾していきます。たとえば、左下の「ON AIR」アイコン「赤い丸角長方形図形」と「テキスト」を作成しています。簡単ですね。
ざっくりと図形を描画し、「横書き文字ツール」で「ON AIR」と入力して図形に重ねました。フォントは「Segoe UI」がいい感じになりました。
また、スピーカーやセッションタイトルなどの横にあるアイコンは以下のサイトよりお借りしたSVGファイルを展開しています。PNGなどの画像ファイルでも問題ないですが、ベクター形式のSVGのほうが何かと都合が良いのでこちらをダウンロードします。
Twitterアイコンは良さげなものがなかったので、FontAwesomeよりダウンロードしました。
これらも、背景画像と同様にカンバスへドラッグ・アンド・ドロップして挿入します。また、そのままではアイコンの色が適切ではないので、レイヤーに「効果:カラーオーバーレイ」を使用して色を変更します。
対象のレイヤーをダブルクリックして「レイヤースタイル」を表示させ、「カラーオーバーレイ」にチェックを入れます。続けて、カラーオーバーレイの設定に入り、任意の色を変更すれば対象のアイコンの色が変化します。同様の手順をスピーカーアイコンやセッションタイトルアイコン、Twitterアイコンに適用します。
イベントタイトルやTwitterのハッシュタグも、ON AIRアイコンを作成したときと同様にテキストツールを用いて描画するだけです👍 各種調整をした結果が以下のとおりです。概ね目的に沿ってきたのですが、少し背景画像がうるさいですね…。特に、Twitterのハッシュタグの文字は読めません。
こんなときは、背景画像の上に半透明の塗りつぶしのレイヤーを置くことで、背景画像を暗くすることができます。背景とそれ以外のレイヤーの間に、新規にレイヤーを作成します。
作成したレイヤーを選択した状態で、「塗りつぶしツール」を使って塗りつぶします。今回は前景色は白系、背景色は黒系としたいため、黒で塗りつぶします。以下のように前面が真っ黒になればOKです。
続けて、半透明のレイヤーを選択した状態でレイヤーパネルの「塗り」の割合を変更します。100%で完全に塗りつぶしますので、今回は55%くらいまで下げました。
こうすることで背景がいい具合に塗りつぶされ、文字が見やすくなりました。
なお、このままでは透過した部分にも半透明のレイヤーが適用され、スライドなどの表示に影響するため、先ほどの切り抜きの手順と同様に、半透明のレイヤーにも切り抜きを行います。
同じ手順を行ってもいいのですが、既存のレイヤーのレイヤーマスクをコピーしてくることで簡単に適用することができます。以下のように、既存の背景レイヤーをコピーし、コピーしたレイヤーからレイヤーマスクをドラッグ・アンド・ドロップすることでコピーできます。
最後に、コピーしたレイヤーを削除することで、無事半透明のレイヤーも切り抜けました。
以上で、フレーム画像が完成しました🎉
終わりに
このように、切り抜きを使うことで簡単にフレーム画像を生成することができました。また、今回の内容はあくまで一例で、皆さんでご自由にレイアウトを作成してみてください。
また、今回ご紹介した方法は、Photoshop初心者の私が見つけたやり方であり、別の方法やより効率的な方法もあると思います。もし「こんな方法もあるよ!」というのがあれば、ぜひコメントやツイッターで教えて下さい!
次回は、コンテンツレイヤーの扱いについてご紹介します。