元絵は https://commons.m.wikimedia.org/wiki/Category:Sistine_Chapel_-_Last_Judgment?uselang=ja#/media/File%3ALast_Judgement_by_Michelangelo.jpg より借用

このライターさん( @shea.sherrano )が書く文がほんっとに面白くて大好きなんですけど、毎回英語で読むのがしんどいので、訳しました。原文はこちら ↓


想像してみてほしい…音を。その音はすごく大きく、地鳴りを伴い、とてつもない質量を持ち、轟きわたっている。人びとはわざわざなんの音か確かめようと首を巡らすこともせず、逃げ出す。皆逃げている。今までに走ったこともないほど速く走っている。なぜなら皆、今までにこれほど怖れたことがないほど怖れているからだ。その音は今までに聞いたことがないような音だから。

想像してみてほしい、雷鳴のようだがもっと禍々しい音を。威嚇の唸りよりもずっと重々しい。エイリアン映画の予告編に巻き込まれたみたいだ。恐怖、痛み、破壊、そして悪意を持つ音。それがあなたの周りいたるところにある。全ての大きな空間、全ての小さな隙間を満たしている。ほら、すぐそこに。響いている。大きくなる、どんどん大きくなる大きくなる。脈打っている。鼓動している。生きているようだ。君を取り巻く世界を粉砕するかのように。君は、それが君のことをも粉々にするのを、ただ待つことしかできない。

ラッセル・ウェストブルックはオクラホマシティ・サンダーとの契約を更新し、やってくる。それは全ての終わり。

想像してみて欲しい。レオニダス(※1)がスパルタを見捨て、クセルクセスの軍勢に加わるところを。バットマンがゴッサムの市民を見捨て、ジョーカーの仲間になるところを。マキシマス(※2)が剣闘士たちを捨ててコンモドゥスのもとに走るところを。オプティマス・プライム(※3)がオートボットの仲間から離れ、ディセプティコンに参じるところを。誇り高きムファサ王(※4)がハイエナの群れに加わるところを。ネオ(※5)がエージェントに降るところを。

想像してみて欲しい。ウィリアム・ウォレス(※6)が「実は前からイングランドの方が好きだった」って言ってスコットランドを離れ、イングランドに加担するところを。メリン神父(※7)が「ワオ!悪魔憑きって面白そう!」って言ってコーナーに立ち、ディフェンスを引きつけたリーガンからのパスを受け、ワイドオープンのスリーを放つところを。「テロってほんとイカす」って言ったジョン・マクレーン(※8)がハンス・グルーバーに「よう!いっちょやろうぜ、相棒」ってトランシーバーで話しかけるところを。

想像してみて欲しい。ブレイド(※9)がヴァンパイアに加わるところを。スコッティ(※10)がニーノ・ブラウンとキャッシュ・マネー・ブラザーズの仲間になるところを。ブライアン・ミルズ(※11)がアルバニア人と結託するところを。

ケビン・デュラントはウォリアーズに加わり、やってくる。それは全ての終わり。

もし、デュラントが残りのキャリア全てをウォリアーズに捧げると — — 仮に10年としよう — — 考えてみよう。その間、GSWは3回優勝するとする。同じだけの年数を、ウェストブルックはOKCで引退するまでプレーするとしよう。サンダーはプレイオフに毎年やってくるが、ウェストブルックはリングを決して得ることはできない…どちらの選手が、より懐かしく思い出されるだろう?

ウェストブルック。彼のストーリーの方が情熱的だもの。残留が100%ビジネス上のドライな決定であったとしても、それは忠誠心として捉えられるし、忠誠心は分かりやすく、簡単にもてはやすことができる。これと逆のことがデュラントに起きる。GSWへの移籍が100%ビジネス上のドライな決定であったとしても、それは臆病だと思われるし、簡単に悪者扱いできる。

その捉え方はフェアだろうか?

多分…もしくは、そうじゃない。でもフェアかアンフェアかっていうのはここでは問題じゃないと僕は思うね。ウェストブルックがOKCに残留することによって、皆が待ち望む《ストーリー》ができた。肝心なのはそれだけだ。

どういうこと?

あー、ここですでに、デュラントがOKCを離れるのはやむを得なかったってことから始まってるよね?えっと、これってほんとに前代未聞の出来事だったんだ。過去にもこういう〈優勝にふさわしいスターが全盛期にチームを離れる〉ってことはあった(シャックはオーランドを1996年に離れ、ウィルトは1965年にウォリアーズを離れ、レブロンは2010年にクリーブランドを離れ、などなど)。でも〈スーパースターが離れたチームには、相棒としてリーグでベスト5に入るプレーヤーがいた〉ってことはなかった。そして〈相棒としてリーグでベスト5に入るプレーヤーがいたチーム〉を離れたスーパースターが〈直前に彼をプレイオフで破ったチーム〉に合流するなんてことは、絶対に前例がなかった。

さらに、ウェストブルックの〈OKCに残る〉という決断が、この前例のなさを比類ないドラマに仕立て上げた。もし、ウェストブルックもOKCを離れることになったとしたのだったら「OKCのフランチャイズは内部崩壊した」ってことになっただろうし、そうだったならデュラントは結局のところ、赦されただろう。だがウェストブルックの残留は、明確な境界線を引いた。境界線を隔てて、片側には去った者がおり、残った者がもう片方にいる。デュラントの未来はこの境界線の片側に縛りつけられる。ウェストブルックがもう片側に縛りつけられるように。

(ところで、ラッセル・ウェストブルックは、慎重にしているときはいつでも、賢く洞察力に富んだ人間のように見える。僕はちょっと考えちゃうんだけど、ウェストブルックが残留するという決断に至るに当たって〈自分がOKCに残ることで、デュラントへの風当たりがより強くなる〉という洞察は、何らかの貢献をしただろうか?僕は、ちょっとはあったんじゃないかと思う。だってウェストブルックは、賢く洞察力に富んでるように見えるけど、同時に狭量な人間にも見えるから。これは僕がウェストブルックについて気に入ってるところの一つ。)

どこが一番ワクワクする?

ああ!一番面白いところ!ウォリアーズはディフェンスで、スクリーンに対しかなりの割合でスイッチする。ということは、OKC-GSWのゲーム中に、ケビン・デュラントはまず確実にラッセル・ウェストブルックを守る羽目になり、デュラントは犯した罪を懺悔しなきゃいけなくなる…って考えただけで心臓が喉から出てきそう。僕はクッソ興奮してる。ここ6年ぐらいのうちじゃ、一番楽しみにしてる。

じゃあ、この6年で2番目に待ち焦がれた瞬間は?

そうだな、レブロンが2010年にマイアミに移籍して、初めてクリーブランドに戻って試合をした時、かな。

ほとんど同じじゃん。

まあね、でもこっちの方がもっとわくわくする。少なくとも、よりパーソナルだ。レブロンにとって、あの状況での敵は形而上のものだった(レブロン対、彼自身の過失の亡霊)。他のネメシスはクリーブランドの観客(レブロン対、ヤジ)。3番目のネメシスはモー・ウィリアムス(そこをファッキンどいてろ)。ケビン・デュラントは、レブロンと同じように前の二つのネメシスと対峙しなければならない上に、まずラッシーちゃん — — 『13日の金曜日』のジェイソンが持ってるマチェーテ(山刀)が人間になったみたいなやつ — — と対峙しないといけない。僕はもう待ちきれない。

デュラントがウェストブルックをディフェンスするとしたら、何が起きると思う?

自分をディフェンスするデュラントを見たラッセル・ウェストブルックの胸は、侮蔑とか軽蔑で一杯になりすぎるから、ものすごく膨張してウェストブルックが膨張しすぎて吹き飛んで1000個ぐらいに飛び散る。そこらじゅうがラッセル・ウェストブルックだったものの破片だらけになる。

それ以外だと、僕が本当に見たいのはコレ。ステフがウェストブルックを守って、デュラントが逆サイドのカンターを守る。ウェストブルックは例のスタッター・ステップをして、ステフの前に肩を入れて、ハイパードライブでリムに向かって加速する。デュラントがヘルプにスライドしてくる。そしたらエンジン全開、全力でぶっ飛ぶ。デュラントも飛ぶ。2人はリムのところでぶつかり合う。ウェストブルックがものすごい力でダンクするので、デュラントが爆発して1000個ぐらいの破片に吹っ飛ぶ。ラスちゃんがコートを見渡すと、そこに元はKDの脛だったダッサい2Pacのタトゥ入りの肉の塊を見つける。ラスはそれを持ち上げて、ジョー・レイコブ(※12)が座ってるあたりにポイっと放り投げる…

《デュラントがOKCに来て試合する時にラッシーちゃんがやったらびっくりすること》のオッズはどんな感じなの?

  • -100…リポーターに、デュラントと対戦するのは落ち着かないものか、と訊かれたウェストブルックがものすごく怒った顔をする。
  • +100…リポーターに、デュラントと対戦するのは落ち着かないものか、と訊かれたウェストブルックがこう答える「誰?」
  • +300…ウェストブルックがアリーナに、ケビン・デュラントのウォリアーズ・ジャージーを(私服として)着てやってくる。
  • +400…ウェストブルックがアリーナに、ケビン・デュラントのサンダー・ジャージーを(私服として)着てやってくる。
  • +2000…ウェストブルックがゲーム前に左足のレッグ・スリーブを取ると…そこにはバカでかいノトーリアスB.I.G.のタトゥがある。

じゃ、大局的に見ると、みんなはどんな風にプレイするだろう?

ありそうなことが起きると思うよ。デュラントとウォリアーズは、より成功を収めるだろう。ウェストブルックとサンダーは、より愛しまれるだろう。

局地的には?

終末だよ。

終わりがやってくるんだ。

【訳者脚注】いろんなポップカルチャーへの言及。以下気づいたやつだけ。さすがにバットマンはわかると思って除外。

※1 映画『300』フランク・ミラーのやつ。そういえばクセルクセスがゴールデンだった。

※2 映画『グラディエーター』ザ・リドリー・スコット・ムービー。コンモドゥス役のホアキン・フェニックスが最高!

※3 映画『トランスフォーマー』マイケル・ベイのやつ。私はオプティマス・プライムじゃなくてコンボイ世代だけど、映画版も大好き。

※4 映画『ライオン・キング』これは観てない。ほぼ劇団四季の電車の吊り広告からの知識。

※5 映画『マトリックス』すぐ世界観って言い出すやつあんま好きじゃないけどこれはマジで世界観のパラダイムシフトを迫られた。

※6 映画『ブレイブ・ハート』メル・ギブソンがキルトスカートをめくってケツを出すとこ。全盛期のソフィー・マルソーの美貌よ…

※7 映画『エクソシスト』出、出〜!ブリッジで歩く練習奴〜!

※8 映画『ダイ・ハード』Yippee-ki-yay, motherfucker!

※9 映画『ブレイド』ウェズリー・スナイプス映画はハズレが多い。個人の意見です。

※10 映画『ニュー・ジャック・シティ』上記の理由から観てないです。

※11 映画『96時間』元ボクサー、リーアム・ニーソン無双映画。

※12 GSWのオーナー

ラッパーは調べてないけど、仲悪かったんですかね。ラッパーはしょっちゅう誰かと仲悪くなってるイメージありますね。

このライターさんはスパーズ・ファンなので、ひょっとしたらチームにずっと残るプレーヤーにシンパシーを感じる傾向があるかもしれません。そのためか、ウェストブルック及びOKCファンである私から見ても、文章がデュラントに厳しくなっていると思います。

私は、署名記事のシステム、ライターが各自の立ち位置を明らかにした(意見にはバイアスがかかっているものだけど、偏向の方向をあらかじめ明確にした)上で、バイアスのゼロ地点に向かって書く、というスタンスがわりと好きです。もしかしたら英語(文章の主語が明確)と日本語(主語が明確でない場合がある)の言語的な違いが関係してるのかもしれません。

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