OKCの『台所』事情【雑な翻訳】

2016年4月28日の記事ですけど、当時教えてもらって非常に興味深かったものです。今になって読むとさらに興味深く示唆に富んでいると思います。

オクラホマシティのロードゲームでは、毎回試合の途中、デイヴィッド・ホワースのポケットの中で電話が鳴る。サンダーのアスレチック・パフォーマンス・コーディネーターはちょっと断ってからベンチを出て、アリーナの荷捌き場に向かう。チームの夕食、テイクアウトの《ハラール》を受け取るためだ。

ほとんどのNBAチームは、このようなメニューを試合後に取ることはない。好奇心旺盛なサンダーの選手たちは、これまでのロッカールームの食事に少し飽きてしまった。今では皆、ラムとチキンのケバブの皿をつついている。

オクラホマシティの台所事情を変えたのはケビン・デュラントではない。ラッセル・ウェストブルックでも、他のスターターの誰でもない。チームの控えセンター、イネス・カンターである。カンターはイスラム教徒であり、イスラムの食事の戒律に従っているのだ。


サンダーのエグゼクティヴたちは、このトルコ生まれのビッグマン – —去年トレードされサンダーにやってきて、今年のオフ・シーズンに長期の延長契約を結んだ – —の宗教を配慮するように手配した。例えば、カンターにはお祈りのための部屋が与えられている。チームのジムがある建物の、オーナーのクレイ・ベネット氏のオフィスだ。カンターはそこでお祈りの絨毯の代わりにタオルを使う。チームはまた、カンターがオクラホマシティに到着して初めて取る食事が、ハラールの法に従ったもの(イスラムの戒律に則って育てられ、屠られたもの)であるよう念を押した。サンダーのシェフはカンターのために、チームの他の皆とは別の調理器具を使うことにした。

しかし、次に起こったことは誰ひとり予想しなかったものだった。このハラール・フードのブームは、サンダーのセンターであるスティーブン・アダムスが、カンターにゲーム後のディナーを分けてくれないかと頼んだことから始まった。「あいつが来てすぐぐらいのときだったかな」アダムスは説明する。「おれ、あいつに"おれもそれ食べたい"って言ったんだ。だから、2人分持ってきてって(キッチンのスタッフに)頼んだんだよ」

次に、ウェストブルックとサージ・イバカも、ハラール・フードのトレーの前に割り込んでくるようになった。チームはすぐに、ネットで評判の良いトルコ料理や中近東料理のレストランを、各都市で探し始めた。おかげで、ロードゲームに出た時に、皆の食欲を満たすメニューを揃えることができるようになった。

「まるで、ミニ・パーティーみたいなんだ」サンダーのメディカル・ディレクター、ドニー・ストラックは語る。「みんなイネスの皿のものを食べたがってさ」


ハラール・フードを探すことは、昔と比べると難しくはなくなった。1998年にシャヘド・アマーヌッラーが、アメリカのハラール・フード・レストラン・ガイドであるZabihahというウェブサイトを始めたとき、データベースには200件のレストランしかなかった。今では、8000件を超えるレストランが登録されている。「ハラールを食べてる人は変わってきてるし、この伝統を受け入れてくれてるよ」とアマーヌッラーは言う。「アメリカ人は、中華料理とかイタリアンみたいにこの料理にも慣れてきてるよね」


カンターがハラール・フードを食べるのは宗教上の理由からだ。アダムスの場合はちょっと違う。

「それはね、スッゲーうまいからだよ」とアダムスは言う。

カンターとアダムスは、単に《サンダーのハラール・フード好きのビッグマン・コンビ》と言うだけではない。彼ら《スタッシュ・ブラザーズ》は、この土曜日から始まるウェスタン・カンファレンス・セミファイナルの対サンアントニオ・スパーズにおいて、キーになる。サンダーはスパーズをサイズで上回る唯一のチームだからだ。6フィート11インチのカンターと7フィートのアダムスは、NBA Wowyによると、今季2人で269ポゼッションを分け合い、そのうちの23%が対スパーズにおけるもので、これは他のどの対戦相手よりも高い数値だ。

直近のスパーズ戦の後、カンターとアダムスはいつもすることを、つまりサンアントニオのトルコ料理レストランのデリバリーを食べまくった。チームはその夜、少なくとも(2人用に)6人分のデリバリーをオーダーした。彼らときたらとても大きい上に、NBAの試合が終わって腹ペコだ。チームは2人が食事をお持ち帰りしたがることも見越していた。

「これは本気で言ってるんだけど」とパフォーマンス・コーチのホワースは言う。「もしテーブルにラムが残ってたとしたら、私は絶対そのラムを食べるよ」

デリバリーは普通、ハーフタイムの後に届けられるのだが、ホワースの電話が鳴り始めるのは1Qだ。サンダーのエグゼクティヴは、配達されたものを警備員に確認してもらう。チームは前日にレストランに電話して、こちらの情況(ロードゲームの後のNBAチームが食べる食事である、云々)を説明しておく。トルコ料理のレストランの反応はだいたいこうだ。「これはイネス・カンター用?」

カンターの初めてのオクラホマシティでのフル・シーズンであった今季、チームはNBAのチームがある都市の全てでハラール・フードを食べた。その結果、皆はいっぱしの料理評論家になった。

「一番おいしかったの、どこだろ?」アダムスは言う。「オーランド?」

「ボストンじゃない?」とカンター。

「ボストンはおいしかったねえ」アダムスは言った。「ボストンは最高。トップ5で他の4つは分かんないけど、ボストンは絶対1番うまい」

カンターとアダムスが言うには、ハラール・フードの良し悪しにはセオリーがあるらしい。曰く《街がデカけりゃメシがうまい》。サンダーは今年たまたま、合衆国の北東部が数フィートの降雪に見舞われた時期にブルックリンでロード・ゲームを行なったが、カンターは雪なんかおかまいなしで、トルコ料理の屋台を探しにホテルから外出した。同じ週にニックスと対戦した後の食事は、トルコのお祝い料理だった。マディソン・スクウェア・ガーデンのロッカールームの外はハラール・フードであふれた。「みんな飛びついてたよ」アダムスは話す。「だってすっごいおいしいんだもん」


でも、全員がハラール・フード好きと言うわけではない。デュラントは頑なにハラール・フードを拒んでいる。他のみんながカンターの皿の周りをうろついてる間、デュラントはNBAの食事 – —グリルしたチキン、サンダーでは牛の胸肉やショートリブ – —を食べている。デュラントはこのハラール・フードをめぐるチームの状況を知っている。

「サイッテーだよ」デュラントは練習の後でふざけて言った。「おれはここに9年いて、ゲームの後の食事で特に頼みたいものがあったら自分でカネ払って頼んでたんだ。あいつ(カンター)ときたらどうだ、ここ(サンダー)にきた途端、チームの食事に自分専用のメニューがあるんだぜ?」デュラントのそのわざとらしい拗ね方には、彼の個人的な味の嗜好からきているのかもしれない。「おれにとっちゃ、まっずいんだよね」とデュラントは言う。


カンターが「1番いいレストランはチームのキッチン」と言うオクラホマシティではあるが、カンターはいろんなハラール・フードが食べられることに満足している。サンダーのGMサム・プレスティはスタッフと一緒にハラール・フードのレストランにランチを食べに行った。他のプレイヤーたちはカンターの家で食事をした。カンターは自宅でウェストブルックをトルコの料理『マクルーバ』(伝統的な肉とライスの大皿料理)でもてなした。「あれマジでカッケーよ」とウェストブルックは話す。

全ての街がオクラホマシティのように《ハラール・フレンドリー》と言うわけではない。「サクラメント…はあんまり良くない」とアダムスは言う。サンダーがサクラメントでプレイした後、ノーマルな食事をしたかもしれない、とアダムスはしぶしぶ認めた。だが、どちらにしろアダムスはカンターの食事を食べたがった。単にサクラメントでは(アダムスの考える)「ハラールの水準」に足りてないだけだ、とアダムスは説明し「それでも試す価値はあるよ」と付け加えた。

【追記】ハラール・フードについて調べてて面白かった記事。中でも最後の段落の、

イスラーム教の基本中の基本は、人間一人一人が最後の裁判にアッラーの前に立って、自分のこの世でやったことの一つ一つを答弁しなければならないのです。「人に言われたからだ」という答弁は通用しません。もちろん言う学者本人も、故意に人を惑わしたとしたら、その行為をアッラーの前に裁かれます。イスラーム教では人間は、アッラーと直接つながりがある預言者たちを除き、一人一人が平等で同じ能力を持ち自分で物事の判断が出来るのです。

と言うところが非常に興味深かった(フードと全く関係ないけど)。

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