一介の大学生起業家がDAOに賭ける理由
こんにちは、大阪の近畿大学に通っているOkaTakashi(岡崇)といいます。学業の傍ら、PHIという会社でDAOのフレームワークとそれを応用したDappsを開発しています。
僕のことを知っている方々は少ないと思いますので簡潔に自己紹介を。
・物質主義が嫌いです。
・ペテン民主主義が嫌いです。
・生物が苦しむのを見るのが嫌いです。
・嫌いなことをするのが嫌いです。
とまぁこんな感じで、物心ついた頃から感覚的に、誰が作ったかも分からないお金というツールが、あらゆるものの物差しになり、それを必要以上に追い求めている人がいる世の中が嫌でした。
自分が死んだ時にあの世に持っていけないような物の為に、自分の人生の大半の時間を割くんですよ?しかも、ハマればハマるほど欲深くなっていく。
普通に何かおかしいと思いませんか?
まだまだ話したいのですが、個人的な人生観を他人に押し付けるのがあまり好きではないのでこの辺でやめておきます。
とりあえず僕はそんな感じの人間です。
さて、この記事では大学生起業家である僕が何故DAOを渇望しそれに賭けているのかを以下の項目に分けて書いていきたいと思います。
・そもそもDAOとは何か?
・なぜDAOに賭けているのか?
・開発中のDAOフレームワークについて
・最後に
その前に本記事は、ブロックチェーンの簡単な特徴や知識があることを前提としていますので、よく分からないと言う方は、他人様のですがこちらのよくまとまった記事をお読みの上読んでいただけると理解が深まると思います。
それでは、本題に入っていきます。
そもそもDAOとは?
そもそもDAOという単語を聴き慣れない方が多いと思います。最近ようやく組織論を研究する方々からもチラホラ耳にするようになってきたぐらいのレベルです。
Decentralized Autonomous Organizationの頭文字を取ってDAOといいます。
日本語に訳すと「分散型自律組織」ですね。
未だにちゃんとした言葉の定義がないみたいなので、僕なりの解釈で定義をしてみました。
DAOとは、あるVisionに共感する個々人が規模を問わず自律的に協働しながらVisionに到達するまでのガバナンスの過程をブロックチェーン上で可視化し、巧みなインセンティブ設計で統制するためのシステムのこと。
堅苦しいですが、ひとまずこんな感じでどうでしょうか??
※違うだろ。とか他にも提案あれば是非コメントください!
難しく考えず、簡単に考えると以下のシンプルなステップでDAOは運用されていきます。
DAO運用のSTEP
1.VisionとIncentiveが提唱される。
2.人が感化され集う。
3.協働し解決に向かう。
※上記ステップは基本的に参加者によって自律的に行われます。
ん?それ今までの組織と何が違うの?
ってなると思うんですが、その通りでここまでの過程は対して変わりません。
ここで大事なのはVisionに向かう過程の話ではなく、もっと根本的なところです。
DAOの特徴を掘り下げると主に以下のものがあります。
・実質的支配者(代表)がいない
・ブロックチェーン上に組織のガバナンスが記録されており全世界に公開されている。
・誰でも望めばDAOに参加できる。
・DAO参加者、全員に議決権がある。
一ついい例があるのでここで紹介します。
はい、その例とはBitcoinです。
Bitcoinといえば、未だに怪しい投機対象だとか、ブロックチェーンすげぇとしてみられていますが、この記事を読んで少し印象が変わるかもしれません。
分かりやすいように上で説明したDAO設立のステップに沿ってBitcoinでは何が起きてきたか見ていきましょう。
- Bitcoinには、Satoshi Nakamotoという提唱者がおり、2008年に「非民主的な現銀行システムの解体」というVisionを匂わせる論文を発表しました。
- 1を受けて、世界中の不特定多数の人々は、世を支配する金融が民主化されれば波及効果的に他の分野においても、よりリベラルな世界を実現できるんじゃないか?という夢を魅せられ、吸い込まれるようにブロックチェーンという技術にのめり込んでいきました。
- 2で感化された人々がオンライン上集い、各々が自律的にあれこれ提案をしたり意思決定をしたりして、Vision達成に向けて日に日に最適化されていきました。
結果、Bitcoinは10年もの間、一度も止まることなくオンライン上で非中央集権的に、開発者、マイナー、ユーザーが自律的に協働し合い、代表がおらずともそのエコシステムを今日まで稼働させています。
これがまさにDAOという組織なのです。
凄すぎてなんと形容していいか分からないぐらいです。
ここでもう一つ説明しておきたいのが、DAOにも種類があるということです。
上には僕が大好きな焼き鳥のイラストを載せましたが、焼き鳥という括りの中には皮やハツ、つくねなどたくさん種類が存在しますよね。
一般的に、組織といっても会社や企業、家族や学校があるようにかなり広義的な意味合いになってしまいます。それと同じでDAOにもたくさん種類があります。
ここからは僕が個人的に勝手に名付けて言っているだけなのですが、
- 会社=DAC(Decentralized Autonomous Company)
- 学校=DAS(Decentralized Autonomous School)
- 国家=DAN(Decentralized Autonomous Nation)
といった具合に、Organizationの部分はあらゆる組織に代替可能です。
全然イメージ出来ないって方がほとんどだと思いますが、ここからは僕の妄想ベースで簡単に説明してみます。
- DAC(Decentralized Autonomous Company)
DAO化された会社、これに関しては、実質代表者がおらず、Visionベースで人々が自律、分散、協調的に動くティール組織という会社がオフラインの世界で現れ始めました。このティール組織を構成する人々をオンライン上で地理に縛られず世界規模でリクルートできるとなればかなり面白い世の中が来そうです。
- DAS(Decentralize Autonomous School)
DAO化された学校?尚更意味不明だよってなるとおもいますが、イタリア発祥のモンテッソーリ教育を参考に少し考えてみたいと思います。
この教育法をとった学校では、基本的に日本の学校のように決められた教科を決められた時間の中で教えるスタイルではなく、あらかじめ用意された教材を生徒側に選ばせ、好きな教材を好きなだけ主体的に学ばせます。
これから想像するに、オンライン上のDASにVisionに応じて散りばめられた様々な学習コンテンツをユーザーに選ばせて、学習させその過程をブロックチェーン上で記録していく、勉強すればするほど何かしらのインセンティブが得られ更に学習意欲を掻き立てると言う循環をするスクールが出てきたりするかもしれません。
・DAN(Decentralized Autonomous Nation)
国家に関してもVRの世界が発達すればDAO化できるのではないでしょうか?国家の三要素はご存知の通り、領域、人民、主権ですので、VR世界に領域を設け、世界中から人民を集め、全員に議決権がある国。凄く面白そうですね。ここは突き詰めれば国の概念が大きく変えることになるかもしれません。正直DANに関しては個人的にかなり構想を練っているのでまたの機会にお話しできればと思います。
このように、あらゆる組織がオンライン上でDAOという形で現れていくのは時間の問題かと思います。
実際、Gartner Inc.が2019年に発表した最新テクノロジーが何年ぐらいかけて世の中に浸透していくかというチャートにもDAOは載っており、5〜10年で啓蒙期を超え世に浸透しだすという予想も立てられています。
※非中央集権型自律組織てやつです。
DAOに関しての説明はこの辺で終わりにして次の話に移りたいと思います。
なぜDAOに賭けているのか?
それは、僕が企業という組織、働き方を本気で変えようと心に決めたからです。
マーケット等の話は後でも書きますが、僕は企業のDAO化という分野に本気で向き合っています。
企業のDAO化の必要性を考え始めたのは日常の些細な出来事の積み重ねでした。
毎朝ゾンビのように疲れ切った人々でごった返す駅のホーム。
やる気を見いだせない仕事の数々。
仕事の悩みでストレス、鬱になり自殺をする人々の増加が社会現象化。
人生の大半の時間を割く、仕事という作業で人々は苦しみすぎていないか?
凄まじい勢いで成長する世の中で、これ以上、人間が奴隷のように機械的な労働をすることに何の意味があるのか?
世の中はこれ以上、物質的に豊かになる必要はあるのだろうか?
お金で人を計るな。
お金で人を動かすな。
もっと自分と向き合ってストレスフリーな生活で、お金に縛られず、人間らしく仕事と向き合える世の中は創れないだろうか?
こんな感じで、
「上からの指示で機械的労働を強いられる人々の働き方を変えたい」
「お金以外のインセンティブとはなんだろう?」
ということを考えて行き着いたのが企業のDAO化。つまり、DACという働き方でした。
DAOには、個人の自律的活動を助長し、内的動機を引き出すパワーがあります。
ブロックチェーンという技術、DAOによるガバナンスの可視化により、お金以外の価値の信用担保をすることが可能になります。
企業をDAO化することにより、一般的な企業の金銭や物質的な価値に基づいた信用から、個人やチーム全体の目標に向かう努力や熱意、アクティブ率などの内的な動力を会社の価値とする新しい形の企業をオンライン上でそれも世界規模で簡単に構築できるようになるかもしれないのです。
会社に従うだけの従業員としてではなく、それぞれが主体的に’’個’’として動く。
全分野を一人でこなすパーフェクトヒューマンなんていないと思います。
僕の周りには、一つの分野においては誰にも負けない特技、スキルを持つ人が沢山います。
そういった一本槍を持つプロフェッショナル、フリーランスが世界のどこにいても得意なことを活かして自分の共感するVisionにプロジェクトベースでコミットしていく。現にアメリカなどの国では、フラッシュ型組織と言われ、実際に現れ始めている働き方です。
日本の労働人口は6600万人、そのうちフリーランスで働いている人は1119万人にも及びます。
およそ日本の労働者の6人に1人がフリーランサーという計算になります。
これからも年々増加の傾向にあるのは言うまでもなく、クラウドファンディングなどの資金調達方法の広がりとともに、個人として挑戦する人もどんどん増えてくるでしょう。
そんな個々が、オンライン上で地理に縛られずプロジェクトベースで協働できる。
そうゆう働き方がすぐそこに来ていると確信しているから僕はDACに賭けてフルコミットしています。
僕は、世間の大人からはジェネレーションZと呼ばれ価値観の違いをよく指摘されてきました。しかし、21歳の僕よりさらに若い高校生は僕らの高校生時代とは比べ物にならないぐらい、優秀な人が多いと感じています。そんな彼らは幼少期からITデバイスに触れる機会があり、学びたいことをとことん深めれてきてる人達です。ビックリするぐらいの突出したスキルを持った人たちがこれからバンバン世に出てきます。そういう人たちが今の会社形態に収まれるとは当然思いません。
今こそ組織変革をするべき時が来ているのかもしれません。
開発中のサービス紹介
我々のDAOフレームワークGuildは世界中の人々が得意なことを生かして、言語障壁なく、プロジェクトベースで仕事をできる世の中を目指しそれに対してのソリューションを提供します。
現在、IOSTというブロックチェーンプラットフォームと組み、様々な分野のアドバイザーの方々と共にサービスを開発しております。
Guildの詳細は、今月からロードマップが進むにつれて少しずつ公開して行きます。
来年の1月にα版リリース予定です!
現在は、日本国内でのサービスリリースを予定しており、かなり大きな発表もできると思いますのでお楽しみに!
最後に
好きなことで生き、人間の内面を磨く。
これが僕にとっての人間らしさです。
これからの世の中では人間は感情面、 人間関係、 精神面、 あらゆる点に置いて、 豊かになると思います。
”個” の時代が到来すると言われていますが、 その真意は人々が、 ”外的動機ではなく、内的動機で行動を始める” ことだと思っています。 次のパラダイムでは、 金融、 働き方、コミュニティー、 仕事、 政治、 消費活動、 もちろん組織も、 ありとあらゆる万物が想像をはるかに超えて進化していると思いますが、 その大半が人間の内面的な部分を豊かにするべく働くシステムになる世の中を願っています。
僕達、 株式会社PHIは、 ”働き方” というレンズを通して、 そんな時代のための基盤を目指して行きます。
まだまだ始まったばかりの旅ですが、 皆さんと手を取り合って考えていければと思いますので、
これからもどうぞよろしくお願いします。
最後まで目を通していただき本当にありがとうございました。
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