「その研究なあ」

Ichi Kanaya
Pineapple Blog
Published in
2 min readAug 24, 2015

と,学会会場の最前列に座った老先生は言う.

「既にやられとるで」と若い発表者に向かって,老先生が続ける.若い発表者は言葉を失ってオロオロする.

老先生が畳み掛ける.

「誰がやったんか知っとるか?」

会場に白けた雰囲気が漂う.老先生は気にせず続ける.

「僕や」

若い発表者は

「私の勉強不足で…すみません」

と答えるのが精一杯である.

研究者なら一度は遭遇したことがある場面だろう.

実際,多くの学会,研究会で,発表者の先行研究調査不足を非難する質問が行われる.まあ発表分野の先行研究ぐらいは,他者に突っ込まれない程度に網羅的に調べてから発表しろよとは思うのだが,突っ込む方も大人気ないなあと,はたから見ていて思う.

自分の過去の発表が明らかに関連するのに参考にされていなければ立腹もするところだが,限られた質問時間を有意義に使うためにも,発表で明らかにされなかった点,見落とされていた視点なんかを是非突っ込みたいものだ.

で,研究会の後にでも「これこれこういう発表がありました.僕は過去にこんな研究発表をしていますので,ご参考にしてください」とメールなりブログなりを書けば良いのではないかな.

と,学会に行くたびに思う.

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