外開きのドアに注意

Ichi Kanaya
Pineapple Blog
Published in
Sep 26, 2016

1980年代ごろまでは,大学の工学部に進学するというのは死に方を決めるようなところがあった.機械に挟まれるとか,焼かれるとか,感電するとか,溺れるとか,中毒死するとか(有機と無機を選べる),ウィルスに感染するとか,放射線を浴びすぎるとかだ.学科選びは死に方選びというわけだ.

実際に事故は滅多になかったが,それでも工学部に入学するときには,みんなそれなりの覚悟をしていたように思う.(保険料も文学系より高かった.)

一方,弱電(電子工学)や情報系では死に至る事故というのはまず無い.

当然,そこには文化的な違いが生まれる.コカコーラとペプシのような,IBMとアップルのような,(旧)松下電産とソニーのような関係だ.死亡事故が起こりうる研究分野の場合,どうしても厳しい管理をせざるを得ないし,それゆえ上下関係も厳しくなる.たいてい歴史も長いのでフォーマルになってくるし,その分野でのお作法というものが必然的にあるので,新規参入は難しくなる.(別に新参者に嫌がらせが有るというわけではないが,新参者はそう受け取るだろう.)

どっち系の研究室かというのは,研究室(実験室)についている扉を見ればだいたいわかるものだ.普通のオフィスのドアというのはたいてい内開き(部屋へ向かって開く)だが,もしその研究室のドアが外開き(廊下に向かって開く)なら,その研究室は事故が想定される実験をしている.緊急脱出するためだ.

--

--