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【前編】大企業×スタートアップ協業のベストプラクティスとは?

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▶︎ライター自己紹介

皆さま初めまして!Plug and Play Japanのプログラムマネージャーとして2月に入社しましたHarukaと申します。

前職では、翻訳・通訳エージェンシーで、技術文書の翻訳や国際会議等の通訳をコーディネートする立場から日系・海外企業間のコミュニケーションをサポートしていました。意思決定を促進する場づくり、日本の国際競争力向上に向けたハンズオンのサポートができる環境を求めて、Plug and Play Japanへ入社しました。Plug and Play Japanでは、アクセラレーションプログラムの企画・運営や採択スタートアップの成長支援、またPlug and Play Japanコミュニティの活性化に取り組んでいきます!

スタートアップエコシステムの構築に有益な情報をお届けできればと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします!

趣味は美術館巡り、お花、お酒、シャボン玉です。週末はこの中のどれかを嗜んでいます(お酒の比率が高いです)

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さて、初稿では、Plug and Play本社監修の「大企業がスタートアップと連携するためのベストプラクティス」をご紹介します。(本記事はオリジナルの英文レポートを翻訳しています。)前編では、大企業、スタートアップが協業していく上で衝突する壁について、後半ではその具体的な解決事例について取り上げます。オープンイノベーションという言葉が様々なビジネスシーンで叫ばれるようになり久しいですが、「大企業×スタートアップ」のみならず、他部署間、グローバルオフィス、リモートワーカーとの連携など、様々なシーンでご活用いただけると幸いです!

▶︎記事はここから

はじめに

本稿は、インシュアテック(保険×テック)、フィンテック(金融×テック)、小売×テックなど様々な事業分野のスタートアップ、大企業パートナー50社以上に実施したインタビューを元に構成されています。保険業や金融業などの業種の枠を越えながらめざましい活躍をみせる新規テクノロジー企業の参入に危機感をおぼえ、大企業はスタートアップとの連携を通してビジネスアイデアや課題解決に向けたソリューションの提示、効果の検証に奮起しています。しかし、スタートアップと大企業間における新規事業アイデアや戦略をパイロット案件として進めていく上で、スタートアップが大企業や事業の存続の脅威となりうる恐れから、多くのパートナーシップにおいて様々な障壁が生じています。このようなスタートアップと大企業間の関係構築における問題提起と解決策を講じるため、Plug and Playはスタートアップとの「ベストプラクティスプロジェクト」を実施しました。インタビューを幾度も重ね、これまでの実績における共通のテーマから、大企業がスタートアップとの連携を図る際に活用できるベストプラクティスをご紹介します。今後のパートナーシップを構築されるすべての皆様に役立てていただけると幸いです。

パートナーシップにおける障壁とは?

まず、ベストプラクティスの事例を紹介する前にパートナーシップ構築の過程においてどのような課題が検出されたか、ご紹介したいと思います。パイロット前段階の初回ミーティングから事業契約締結までの段階において、大企業、スタートアップ両社は互いに双方の事業内容を脅かす恐れがあるパイロット案件をどのようにスタートさせるかという懸念を抱えています。スタートアップが協業やソリューションの提供に向けて進む中で発見した障壁をリストアップしていますので、スタートアップと大企業間の連携の最適化にご活用ください。

1. 大企業の課題が定義されていない

パイロット案件の前段階において、スタートアップ企業が抱える普遍的な課題として、大企業の課題が明確に定義されていないということが挙げられます。ディールフローの時点で、スタートアップにどのような提案を求めているのか明言できない大企業が多いようです。この場合、スタートアップは個々の大企業に対する具体的な提案や解決策の考案ができません。経営者層やイノベーション事業部の担当者はAIやブロックチェーンなどのイノベーションに関連する新しいテーマへの知見を増やさなければいけないという責務ありますが、それ以上のゴールが設定されていないことがあります。目的がないまま参画しなければならず、イノベーションの現場でただの傍観者とならざるを得ないという事態です。

2. スタートアップとのコミュニケーション不足

初回ミーティングの後にスタートアップに対してフィードバックを怠ることは、明確なゴール設定の欠如に加えてさらに事態を悪化させます。大企業との協業や立ち位置について望みがないという誤解を招きかねません。スタートアップは、 大企業が提案内容に興味を示さなかったのか、単純にうっかり連絡をし忘れたのか判断ができず、ディールフローでは前向きな意見やフィードバックをもらえたと思った矢先に、その後興味を示してもらえなかったと受け取らざるを得ません。このようなコミュニケーション上の齟齬は、丁寧なフォローアップの手段が乏しい少数メンバーで運営しているスタートアップにとっては致命的となることがあります。

3. 資金調達とセキュリティ稟議における遅延進行

次のよくある問題点は、資金調達とセキュリティ稟議に長い時間がかかってしまうということです。スタートアップはセキュリティと法務プロセスにおいて、あまり重要でないように感じられるおびただしい量の質問事項を何度も突破しなければなりません。小規模スタートアップにとって、このような書類処理には大変時間がかかり、パイロット案件始動への交渉自体を長引かせる要因にもなりかねません。事業経験が浅く、調達方法や法務分野に精通していない若いスタートアップにとっては、このようなプロセスはとくに難しいものとなります。

4. 効果的でないコネクション作り

スタートアップにとって、大企業のヒエラルキーや組織体制を理解することは容易ではありません。さらに、スタートアップのサポートがうまくできないイノベーション事業部の担当者によってプロセスをさらに悪化させてしまうことがあります。

イノベーション事業部の担当者がスタートアップの代わりに経営者層に話をする機会が多くありますが、大企業の意思決定者との面談機会に繋がらないことが多くあります。このように無駄の多いプロセスは、スタートアップの効率を下げることになります。このような傾向にある組織内のメンバーは、スタートアップを大企業のヒエラルキーの渦に巻き込んでしまうという事態を招きます。

5. スタートアップカルチャーを理解していない

イノベーティブであるという体面を守るためだけにパイロット案件を実施するというケースがあります。契約を結ぶ気のない大企業に対して、パイロット案件を進行させるために貴重な時間と労力を割くことは、スタートアップにとって大きな損害です。パイロット案件をスタートさせた後になって、他部署や他のチームからスタートアップとの協業への反対を受け、大企業の体制がスタートアップのカルチャーにフィットしないことに気が付くことがあります。組織内でのコミュニケーションや意思決定が統制されていないこのような状況下では、手詰まりとなりスタートアップとのパートナーシップは破談されてしまいます。

6. 製品統合におけるフレームワークの欠如

パイロット案件を無事に終了させたあとに大企業が陥りがちな落とし穴は、大企業にとって新規性が高すぎるスタートアップのプロダクトおよびソリューションを大企業の規模感に合うよう適合させるということです。既存のフレームワークや代替可能なプロダクトがない状態では、新規システムを組織内に組み込むというノウハウがない大企業にとって、実装に長い時間がかかってしまう場合があります。このような遅延が起こると、本契約等、ポスト・パイロットの進行がさらに遅れ、大企業側は広範囲にスタートアップのソリューションを活用することができず、スタートアップ側は対価を得ることができないという事態を招きます。

7. 不明瞭な予算設定

パイロット案件後、大企業、スタートアップのうちどちらかが本契約に向けた予算を管理すべきかという課題があります。大企業のマネージャーやチームの担当者がパイロット案件分の予算を負担した場合、その後の本契約の段階ではどちらか本契約以降の費用を負担すべきか、プロセスが煩雑となることがあります。それにより、実装計画が遅延し、スタートアップのソリューションをうまく活用できず、次のプロジェクトに進めないという悪循環を生みます。

以上、いかがでしたでしょうか?次稿ではこのような課題に対する解決策をご紹介します。お楽しみに!

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Haruka Ichikawa
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Written by Haruka Ichikawa

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