組織的イノベーション促進に向けて

Saori Nicole
Plug and Play Japan Blog
8 min readJul 30, 2018

富士通株式会社インタビュー

Plug and Play Japanでは、公式パートナーとして大手国内企業14社に参画をいただいています。

今回は、Fintechプログラムのパートナー企業である富士通株式会社に、Plug and Play Japanのプログラムに参画いただいた背景や、富士通として目指すオープンのベーションの形、スタートアップとの協業などについてお話を伺いました!

(左から)チャンピオン(Plug and Play Japanパートナー企業のご担当者)の徳永さん、鈴木さん

ニコル:富士通さんにはPlug and Play Japanが発足して最初に実施したプログラムのBatch0からパートナーとして参画いただいていますね。自社でもアクセラレータープログラムを実施されていますが、Plug and Play Japanのパートナーとして参画いただいたのはなぜでしょうか?

徳永:私たちの役割はスタートアップとの協業を推進し、事業部との橋渡しをすることです。なので常に色んなイベントに出かけて行って、富士通の肌に合うスタートアップを探しています。これまで国内のスタートアップとはたくさん交流してきましたが、海外のスタートアップにはなかなかリーチできていませんでした。Plug and Playはこうした海外スタートアップとの広いネットワークを持っており、日本で効率的に多くの海外スタートアップと出会う機会が得られることから、パートナーとして参画するに至りました。

鈴木:また、Plug and Play Japanで採択されている海外のスタートアップはシリーズA以降の企業が基本なので、具体的に日本でのビジネス展開を検討しているステージが進んでいる会社と会えることも魅力的だと考えています。

ニコル:スタートアップとの協業を通して、どのようなイノベーションを生み出したいと考えていますか?

鈴木:富士通では、事業部門がかなり具体的に技術や事業の課題を書き出し、そのテーマごとに解決策を一緒に編み出せるスタートアップとの連携を目指しています。IoTだったり、AIだったり、働き方改革だったり。最終的には、スタートアップとの協業を通して世の中に「新しい価値を生み出す」ことが我々のミッションです。

徳永:そうですね、大きなミッションは同じですが、具体的な課題は事業部門ごとに様々存在します。Plug and Play Japanのプログラムでも、こうした課題解決に最適なスタートアップとの連携を目指しています。そのためには広く多くのスタートアップと会うことも大事だし、個別にスタートアップのことをじっくり知って話し合うことも大事です。

Plug and Play Shibuyaの富士通ブースにて

ニコル:スタートアップとの協業において課題に感じていることはなんですか?

徳永:事業部門との橋渡しの際に、既存の製品とスタートアップのイノベーションが競合関係になるカニバリゼーションが起こることがありますね。富士通内でも既存製品をより良くするために、常に新しい機能を付与しようとしているので、開発予定の製品がスタートアップの作っているプロダクトと重なることってよくあるんです。競合になるような製品とは組む価値を見出せない人も多いです。一方で、スタートアップ側では既に作ったプロダクトを一定の顧客に展開していて、事業が出来上がっている。イノベーションというのはプロダクトそのものを取り入れることではなく、製造して、展開して、最適化するという一連のビジネスを生み出すことと考えるのが重要です。既存製品とぶつかった時、大企業側がスタートアップのイノベーションを製品だけでなく既に一定の顧客を有する事業として捉え、その事業自体を取り込むことに価値を見いだすことができれば、スタートアップのスピード感を取り入れた新事業開発が進むのではないかと思います。

ニコル:なるほど。コミュニケーションの仕方や文化の違いという観点ではどうですか?

鈴木:日本の大企業って忖度の文化があるので、スタートアップと交渉する際に「できない」「これはうちの利益にならない」ってはっきり言えなかったりするんですよ。でも、スタートアップからしたらできないことに対して曖昧な返事で濁されちゃうと前に進めない。そこで僕たちみたいなベンチャー協業推進部が「もっと率直に話していくべきだ」と事業部門の間に入って促すようにしています。できるか、できないか、明確な話し合いをするように心掛けています。また、こうした社内の意識自体を、自社のアクセラレータープログラムやPlug and Play Japanのプログラムを通して改善していこうとしているところです。

ニコル:国内だけでなく、海外のスタートアップとも連携したいと考えている理由はなんでしょうか?

徳永:やはりまずは会うスタートアップの母数を増やしたいので、国内だけでなく海外との連携も視野に入れる必要があります。実際Plug and Play Japanのプログラムを通して多くの海外スタートアップと話してみて、彼らは顧客に対する価値提供をアピールするのがとてもうまいと感じます。ものづくりの思考だけでなく、いかにビジネスとして自社のプロダクトが顧客のメリットになるか、を見せるプレゼンが上手だなあと。私たちもこうした世界のスタートアップと交渉をして刺激を受けながら、一緒に協業できることを望んでいます。

ニコル:Batch1を通してどんなことを達成したいですか?

徳永:最終的には一緒に事業を作り上げることですが、Batch1の期間としてのゴールは、事業化に向けてまずPoC(実証実験)を実施することです。プログラムを通して知り合ったスタートアップと、ぜひ一緒に顧客に提案に行ったり、共同開発でプロトタイプを作ったりしたいです。

ニコル:最後に、スタートアップに対して何かメッセージをお願いします!

徳永:富士通はこれまで自社で研究所を持って、製品を作って、とオープンイノベーションに対して閉鎖的なイメージを持っている方も多かったと思います。しかし、2015年からアクセラレータープログラムを開始したり、Plug and Play Japanのパートナーとしてプログラムに参加したり、事業部門も含め外に目を向けるようになってきました。これからも色んなスタートアップと話して可能性を探りたいと考えています!

鈴木:僕は前職の大手複写機メーカーでも、スタートアップ×大企業のオープンイノベーションで新規事業を進めてきました。富士通でも、組織的にイノベーションを行うため様々な取り組みを行っています。一緒に世界変えましょう! イノベーション!!

(右から)

徳永奈緒美さん:データベースエンジニアとしてキャリアを積んだ後、コーポレートベンチャリングを推進する部門に異動。その後、ビッグデータ関連の事業開発にも携わる。現在はマーケティング戦略本部にて、スタートアップ企業との連携推進を行っている。

鈴木智裕さん:大手複写機メーカーにて製品を3ヶ月でリリースし社内表彰受賞、新規事業に異動後リーンスタートアップを実践、オープンイノベーションにて広告事業へ参入させた。組織的にオープンイノベーションを行うために富士通へジョイン。

Plug and Play Japanでは、9月5日、6日にBatch1の採択スタートアップと参画パートナー企業が3ヶ月間の成果を発表するデモデイを開催いたします!採択スタートアップやパートナーと話せるブースも設置予定です。チケット先行販売中ですので、ぜひお早めにご予約ください!

12月からは、スタートアップとのマッチングや大企業のイノベーション促進を支援する3ヶ月間のプログラム”Batch2"を開催いたします。

プログラムへの参画に関するご質問・ご相談等、ぜひお気軽にご連絡ください!

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