日本企業の新事業創出とブランディングを支援ー”SCHEMA”始動!

Saori Nicole
Plug and Play Japan Blog
11 min readDec 4, 2018

Plug and Play では大企業パートナー・スタートアップの連携を支援していますが、大企業パートナーの中からも、様々な企業を巻き込んで連携を促進する動きが起きつつあります。

今まさにそうした動きを巻き起こしているのが、Plug and Play Japanのパートナーである、株式会社アサツー ディ・ケイ(以下、ADK)です。この度、2018年11月1日付けで、日本の企業の新規事業開発を支援するADK主導のプロジェクト「SCHEMA」が始動しました!

SCHEMAとは?

SCHEMAは、テクノロジー×クリエイティブの観点で、日本企業の新事業創出とブランディング、またスタートアップのマーケティングをサポートするプロジェクトです。AIやブロックチェーンなど、様々なテクノロジーを使ったサービスが世の中に生まれる中で、それらの技術をうまく事業化し、消費者の生活にどう浸透できるのかが問われています。SCHEMAでは、企業がビジネスを形にし世界へどう発信していくか、コンサルティングやワークショップ等を通して磨いていくことができます。

本プロジェクトには、Plug and Play Japanの他に、テクノロジー関連のスタートアップを多く輩出するデジタルハリウッド大学大学院(以下、デジハリ)、ハードウェアスタートアップの拠点DMM.make AKIBA(以下、DMM)、学生のグローバルマインドや好奇心・多様性を伸ばす教育を実践する広尾学園中学 校・高等学校(以下、広尾学園)がパートナーとして参画しています。SCHEMAを通して、それぞれの企業・人材ネットワークが共創できる機会づくりを目指しています。

今回、SCHEMAの発足人であるADKの寺西氏、そして同プロジェクトのパートナーとして参画するデジハリの池谷氏、DMMの上村氏、そして広尾学園の池田理事長、金子副校長、植松教諭に、SCHEMA設立と参画の背景や、目指すビジョンについてお話いただきました。

ADK エクスペリエンス・デザインセンターの寺西氏

ニコル:SCHEMA設立の背景について教えていただけますか?

寺西:ADKがPlug and Play Japanとパートナーシップを結んでいる中で、様々な大企業パートナーと意見交換する機会がありました。その中で、やはり事業部を巻き込んで新事業を起こす難しさや乗り越えるべきステップの複雑さが大きな課題として常に上がっていたんです。こうした課題を乗り越えるために、ADKとしてもっと企業に密着した新事業創出のためのサポートプラットフォームを作りたいと思いました。また、日本は、世界と比べてまだスタートアップの数がそんなに多くないですよね。革新的な事業を生み出すために、スタートアップを育てる体制を整えたり、教育から変えなければいけないと思ったんです。そこで、このプロジェクトにはADKだけでなく、日本の起業家やスタートアップを育てる Plug and Play Japanやデジハリ、DMMに協力していただき、新事業創出のための土台作りからやりたいと考えました。さらに、世界に通用するスタートアップが生まれるために、グローバルなマインドを育てるという観点で、生徒の多様性や好奇心を伸ばす教育を実践している広尾学園にも参画していただき、今回始動しました。

デジハリ 大学事業部執行役員の池谷氏

ニコル:デジハリ、DMM、広尾学園として参画に至った理由はなんですか?

池谷:デジハリは学発ベンチャーの輩出数がトップクラスの大学です。僕らとしても、これまで新事業とプロトタイプを生み出すことに注力してきました。教育機関というより、新規事業開発の装置としての立ち位置だと考えています。取り組みの一例として、企業と学生をマッチングし、新事業創出を共に考える機会を提供しています。この取り組みで面白いのは、学生だけでなく、企業側も学生を見て「自分たちでも新事業を起こしてみよう」というマインドになってくること。今回寺西さんからお話をいただいた時、このような形で、企業の新事業創出にデジハリとして役に立てることがあると考え参画に至りました。事業創出の新しいコミュニティを一緒に作りたいと思っています。

DMM.make AKIBA コミュニティマネジャーの上村氏

上村:DMM.make AKIBAは、ハードウェア系スタートアップがプロトタイプを実際に作ることができる機能を持ったコワーキングスペースです。実は先日の11月1日で4周年を迎えました!これまでIoTを軸にしたスタートアップを中心に人が集まっていたのですが、徐々に大企業の利用も増えてきて、現在では300社を超える企業に活用していただいています。大企業が集まる理由は主に3つあり、①スタートアップのコミュニティに触れるため、②自社製品のプロトタイプを開発するため、そして③一緒にプロダクト開発ができる人材探しのため、です。人材のニーズに対応するため、DMMとしても人材研修のプログラムを提供しています。DMMが日々直面している企業の新事業創出のニーズと、ADKのSCHEMAの目指すところが合致し、今回協力させていただくことになりました。ものづくりを起点にした新しい事業が増えて欲しいと考えています。

広尾学園 池田理事長

池田:日本ではまだ、偏差値の高い大学に行くことが成功者のゴールという考えがありますが、広尾学園では生徒たちが自らの興味で物事を選択できるような仕掛けをしています。例えば米国大学ツアーを実施し、米国の大学に在籍している先輩から話を聞く機会を設けています。こうした機会を持つことで、生徒たちが「なぜ自分はその道を選ぶのか?」についてよく考えるようになるんです。一つのゴールを目指すだけではない、色んな考え方や多様性を大切に。そのために外部(企業や世界)との接点を持つことを積極的に実践しています。ADKさんからお話をいただいた時、生徒たちの可能性が広がる良い機会だと思いました。

金子:広尾学園では、生徒たちから何かやってみたいという声があった時に「こんなことがあるよ」と提案できるようなネタをできるだけ豊富に持つようにしているんです。例えば学内に3Dプリンターを設けて、生徒の「試してみたい」をすぐ形にできる環境を整えています。SCHEMAへ参画することでこうしたネタをもっと増やすことができると思っています。

広尾学園 金子副校長

ニコル:それぞれの取り組みがSCHEMAの目指すビジョンに合致したんですね。SCHEMAがプロジェクトを通して大事にしているマインドのようなものはありますか?

寺西:SCHEMAと言う名前は、古代ギリシャ語のスキーム(かたちづくり)の元となる言語”SCHEMA”から命名したんです。「まずやってみる」「とりあえずプロトタイプ作ってみる」、こういう風潮を大企業間に浸透させたくて。

池谷:とりあえず「やってみた」って大事ですよね。大企業ではなかなか簡単にはできないことですが、同じような環境の人でなく、別のカルチャーや分野の人が集まるコミュニティから刺激を受けることで行動を促すことができる思います。

ニコル:SCHEMAを通して、日本の企業や人材にどのようになってほしいと考えていますか?

寺西:スタートアップやテクノロジーって、日本ではまだGeek(オタク)な印象を持たれていると感じます。でも、本来はテクノロジーは消費者に密着した当たり前のものですよね。オープンイノベーションという言葉が今ブームになっていますが、そうした連携が当たり前になる社会になったらいいなと思います。そして言語の壁も取っ払って、日本の企業や人が世界に広がっていけるようになってほしいです。SCHEMAはテクノロジーの底上げを行うプロジェクトです。ブランディングはテクノロジーや開発とは真逆の分野のものに見えますが、非常に重要な要素で、そこをこのプロジェクトでバックアップしていきます。サイエンス&アートのように、真逆に思われるものをうまく組み合わせて世界に躍進する企業を増やしたいです。

池谷:「そのビジネスは世界を幸せにしているか?」って僕がいつも問うことなんですが、他の事業開発会社の成功が自分たちにとって嬉しい、という形が大事だと思っています。スタートアップでも歴史ある企業でも、自分たちの製品をひたすら売り込むという意識より、他と連携してビジネスを成長させようとか、その連携自体がうまくいくことを楽しむ気持ちを持ってもらいたいですね。人がうまくいくことを素朴に愛する。SCHEMAを通してこういうマインドが広がってほしいです。

上村:「やってみた」文化がもっと浸透してほしいと思います。「やってみた」って企業の母体が大きくなるほど難しいことです。しかし、面白いことやろうよ、という文化のプラットフォームに入ることで意識や行動を変えることができる。そういう文化自体をSCHEMAを通して伝搬していきたいですね。DMMとしては、IoTという一つの共通言語のなかで、色んなカルチャーミックス(日本×海外、大企業×スタートアップ、ハード×デジタル)を後押ししていきたいです。ハードを専門にする人にはデジタルを、デジタル専門にはハードを使えばもっといいことできる、とか。社内説得の具体的なものが必要な企業には、DMMの得意なところであるプロトタイピングの機材や人材などのリソースを活用してほしいと思います。

広尾学園 インターナショナルコース統括長 植松教諭

植松:SCHEMAを通して、生徒たちの目線をさらに外に向けさせたいですね。年齢、国籍の違う人や、様々な経験をした人とのコミュニケーションを通して学ばせたいんです。我々も教員として、生徒をリードするというより、生徒と何かをつなげる役割になりたいと考えています。つながりを続けることでそれが生徒の人生になっていく。生徒たちが学校生活を通して知ることができる職業ってごくわずかで、例えば教員という職業には日々触れることができますが、コンサルの仕事を学ぶ機会ってなかなかないですよね。外に出た方が生徒たちのつながりが増え、視野も広がっていきます。

池田:教員たちにも新しいことにさらにワクワクしてもらって、様々な外の事情を拾ってきて生徒に伝搬していってほしいと思います。

虎ノ門のADKオフィスにて

大企業、スタートアップ、起業家人材の育成も巻き込み発足したSCHEMA。企業との事例もすでに動き出しているとのことで、今後も目が離せません。

SCHEMA詳細に関して、ちょっと話を聞いてみたい、どのように活用できるか知りたい、などぜひお気軽にご連絡ください!お問い合わせは以下HPから!

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