給与を自分で決めてみるというのはどうだろうかという話

先日「ビズテリアフォーラム」という経営者向けのイベントで登壇する機会をいただきました。まだまだ駆け出しの会社である我々にお声をかけていただくなんて、非常にありがたい話です。今回のフォーラムのテーマが「働き方改革」だったこともありお声をかけていただけたようで、他にも面白い取り組みをされている企業の代表の方が多く発表されていました。後半には、パネルディスカッションの時間があり、長く働き方改革に取り組みをされている著名な企業の方が参加され、非常に聞きごたえのあるディスカッションとなっていました。

そのディスカッションの中で、一人のパネラーの方がご紹介されていたことで非常に心に残ることがありました。それは、成果型賃金制度を導入した企業には助成金を出すという制度を新たに厚生労働省が始めたという話でした。賃金の引き上げや離職率の低下、生産性の向上を条件に、条件を達成した企業においては1社あたり最大130万円の助成金を出すという制度のようです。

そのパネラーの方は、ようやく国が動き出したとポジティブに受け止められていましたが、私個人的にはなぜこのタイミングでこのような取り組みをするだろうかと少々びっくりしてしまいました。

必要なのは報酬制度の改革なのか

確かに、いわゆる会社に所属しているだけで給与があがるような年功序列型の終身雇用制度に問題があることは周知の事実です。優秀な人材が評価がされない、若くてやる気のある社員のチャンスを無くしてしまうなど、現代の働き方にはあっておらず早急に改革が必要であることは理解できます。

ただ、それに対するソリューションが成果型賃金制度で良いのでしょうか?

成果型賃金に関して言えば、過去にも多くの企業が様々な取り組みをしてきたはずです。古くにはいわゆる歩合給であるインセンティブ型の給与体系を採用する会社があったり、時間で縛られない裁量労働制もその1つと言えなくないかもしれません。ある程度は取り組みは実施され、企業にも労働者にも成果型賃金は浸透をしてきているのではないかと思います。おそらく現状導入できていない企業は、職種や事業の性質上なんらかのハードルがあり導入できないという企業がほとんどなのではないでしょうか?

また、もし仮にそういった取り組みを全くしていない企業があったとして、単純に助成金が支払われるからと言われてもすぐにでも成果型賃金制度を導入するという企業はほとんどないでしょう。なぜなら成果型賃金制度を実施するには、非常に大きな障壁が存在するからです。

評価を誰がするか

その障壁とは「評価」です。成果型賃金制度を導入するには、誰か労働者がその成果を達成できたかどうかを評価する必要があります。この評価は非常にくせものです。評価は必ず公平かつ誰にでも理解できるように実施される必要があります。評価をした人、評価を受けた人、その評価を見た人、その誰もが評価の内容を理解でき、納得ができるようになっていなければいけません。そのような評価を下すためには、高い視座と幅広い業務知識、それと日々のオペレーションへの理解が必要です。

そのようなスーパーマンはなかなかいないのではないでしょうか。特に人事部門が独立しているような企業の場合は、日々のオペレーションの状況を確認することができません。そうなると担当部門長の意見をベースに評価するしか術がなく、しかしその意見が公平である保証はありません。そのような状況を考慮しながら、納得感のある具合のよい評価をするのは極めて難しいのではないでしょうか?

エンジニアやクリエイターなど定量的な評価軸を置くことが難しい職種ではなおさらです。大量のソースコードを書いているが単純なルーチンを書いているだけというエンジニアと、ソースコードの量は少ないがアルゴリズムのコアを実装しているエンジニアではどちらが事業にとって有益か。単純にコアを実装しているエンジニアの方が評価は高く感じそうですが、事業の状況によっては必ずしもそうとは言えません。とにかくいち早くリリースをしなければいけないフェイズであればアルゴリズムの洗練と同じように、実装を多くすることも重要でしょう。ただ、そのアルゴリズムが今後の事業に重要な意味を持つ場合には、その限りではありません。

事業の状況やタイミング、仕事の質とその価値、そしてそれがもたらす効果まで考えて評価を下すのは誰であっても極めて困難であると言えます。

評価を自分でしてみるという発想

私が今考えている1つのアイデアは、評価を労働者自身がしてみるというやり方です。つまり自分自身で給与条件を宣言するのです。イメージとしてはこんなかたちです。まず、企業側が今企業にとって必要な職種やプロジェクトを提示します。そこにはある程度の業務内容と求めるアウトプットが記載されています。たとえば、新しい営業施策を考え売り上げをxx%あげるとか、今あるプログラムのある機能の不具合率をxx%に改善するなどです。そこに対して、労働者側は自身がその課題に対してどのような貢献ができるか、またそれを行うためにはどの程度報酬が欲しいかを提示します。

ベテランの社員であれば、社内の業務知識も豊富で他部門との協調もうまくこなせるので大きなアウトプットが出せるでしょう。しかし、新人社員はそうはいきません。でも、ベテラン社員は一人では労働力としては絶対量が足りないでしょうから、自分の手足となるようなメンバーが必要です。そのため、ベテランと新入社員はチームを形成して課題提案をするようになります。また、報酬は自分が提示します。もちろん企業側も業界水準や事業の状況、他社員との兼ね合いなどでその報酬額が高すぎるとなれば、交渉をします。たとえそれで自分が提示した金額よりも報酬が結果的に低くなってしまったとしても、自身で交渉しているので納得感があるのではないでしょうか。

この方法、いわゆる野球のドラフトと同じです。また、フリーランスの方々も常にこのような状況にさらされています。自分を高く売るためには、自分で自分を磨かないといけません。しかし、自身で目標設定をしている以上やりがいは大きいでしょうし、達成感も通常より大きく感じられるはずです。

実際に導入をするにはいろいろとハードルはありそうですし、考慮しない点は多数ありそうです。しかし、考える価値はあるように感じています。きちんと制度の昇華できるか引き続き考えてみようと思っています。