みんなの意見を引き出し、スピーディに結論を出す!効率的な会議の進め方

ポストイットの「色」がポイント。3人以上の話し合いをうまく進めるコツ。

Erika Ito
Product Run
Mar 28, 2016

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話し合いで、特定の意見ばかり目立ってしまい、居心地の悪い思いをしたことはありませんか?自分だけが話して周りが意見してくれないな〜、と感じたり、逆に、偉い人の意見に反対しづらいな〜、と感じた経験はないでしょうか。

また、参加者が自由に意見交換ができるような雰囲気でも、なかなか結論がでず長丁場になってしまう会議もありますよね。私自身、今まで色んな会社で働いてきましたが、もっと効率的にできないものかな?🤔と思う会議がたくさんありました。

Pivotal Labsに入ってすぐの頃は、会議のスピード感にとても驚いたことを覚えています。そして気が付いたのは、ちょっとしたコツを掴めば、大人数でもフラットに意見交換ができて、短時間で結論が出る会議にできるということです。そこで今回は、私たちがどのように会議を進めているか、を紹介します🙌🏻

事前に準備するものは次の3つ:

  1. 同じ色のポストイット(人数分)
  2. 同じ種類のペン(人数分)
  3. ホワイトボードまたは壁(大きいほど◎)

◉この方法は、アイディア出しや意思決定など、意見を引き出して決断することが目的の会議向きです(=゚ω゚)b

1. 制限時間を決めて、意見をポストイットに書き出す

口頭で意見交換をすると、役職の高い人や、話が上手な人が有利になってしまいます。それを避けるために活躍するのがポストイット。これでフラットに意見交換をすることができます。3〜10分程度の制限時間を設けて、参加者各自、ポストイット1枚につき1つの意見/案を書きこみます。ここでは、書く前に内容の評価はせず、思いつく案はなんでも書き出すようにします。

ポイント1:
必ず全員が同じ種類のペン同じ色のポストイットを使うこと。
同じ色のポストイットと同じ種類のペンを使うことで、「誰の意見か」が分かりずらくなり、発案者の役職や経験値など、意見交換に不必要なバイアスがかかりにくくなります。さらに、自分の意見を客観的に捉えやすくなり、口頭での話し合いよりも意見が柔軟になりやすくなります。

ポイント2:
意見やアイディアを書き出すときに、手を止めないこと。
逆説的ですが、深く考えずに手を動かすことでテンポ良く考えが浮かんでくるようになります。思いついたことはどんどん掃き出して、「次!次!」と進めると、どんどん質の高いアイディアが浮かんでくるようになります。

2. ポストイットを絞る

制限時間がきたら、書くことをやめ、それぞれ個別に書き出したポストイットを絞る作業に入ります。参加人数にもよりますが、書き出したポストイットをキープする半分と、捨てる半分に分けましょう。

ポイント:
全てのアイディアをキープしないこと。
思いついたアイディアの中には、相対的に質の高いものと低いものが必ずあります。この後の工程で、チーム全体にアイディアをシェアしますが、その際に質の低いアイディアが混ざることは時間の無駄にしかなりません。その時の状況とお題に、より合っているアイディアや優先度の高いアイディアだけをキープするようにします。

3. 各自のポストイットをホワイトボードまたは壁に貼る

意見を書き出し、絞ることができたら、全員で立って、各自のポストイットをホワイトボードか壁に貼っていきます。

ポイント:
同じ人の意見を近くにまとめて貼るのではなく、適当に貼る。
ランダムに貼り、あえて人のポストイットと混ぜることで、どのポストイットが誰の意見か、より分かりずらくなります。

4. 静かにポストイットを読む

ポストイットの数にもよりますが、1〜2分程度時間をとって、静かにポストイットを読む時間を設けます。立ったままです。質問等がある場合は、「この後に時間をとって話し合うので少し待ってください」と伝えてください。

ポイント:
必ず、「静かに読む」こと
このステップを挟まずに質問や意見交換を始めてしまうと、また声の大きい人の意見ばかりに気が向いてしまいます。バイアスがかかることを避けるために、各自、発言の前に壁に貼られた全ての意見を吸収するようにします。

4. 質問の時間を取る

全員が全てのポストイットに目を通し終えたところで、質問をする時間をとります。文字が読みにくいポストイットや、文章が省略されて意図が分からないポストイット等があれば、書いた人に補足してもらい、必要があれば新しいポストイットに書き直しましょう。この時も、全員立ったままです。

5. 同じ意見、似ている内容をグルーピングする

重複する意見があれば、ポストイットを重ね合わせて一つにまとめます。さらに、似ている案はポストイットを近くに動かしてグルーピングしてください。(このように、貼って剥がせるポストイットを使うことで、意見を整理しやすくなります。)この作業は、参加者全員で話し合いながら動かしてもらうとみんなで全体像の把握ができるようになります。

ポイント:
立ったまま行うこと。
立って一緒に作業を行うことで、参加者同士の距離が近くなり、座っている時よりも協力しようという気持ちが強くなるそうです。また、ずっと立っていると疲れるので(笑)、早く終わらせようと頑張り、会議時間の短縮にもなります。

◎良い例:

次の写真は、複数人で作業しましたが、どのポストイットが誰の意見か分かりません。

×悪い例:

次の写真は、ダメな作業例です。緑のポストイットと水色のポストイットがあり、どれが誰の意見かわかってしまいます。仮に水色の人の方が経験値が高かった場合、緑の人の意見が押されてしまったりします。

結論の出し方

グルーピングをして意見の全体像が見えたら、その会議の「結論」を出しましょう。せっかく会議をしても、その場で答えが出せなければ、その話し合いは前に進みません。答えの出ない会議は、時間の浪費ですよね。。

議題や目的によって、結論の出し方も様々ですが、今回は2つの方法を紹介します。

余談ですが、Pivotal Labsでの「結論」の定義は、『今日、分かる範囲のベストな選択』です。もしかすると、来週になればもっと多くの情報が手に入り、今日出した結論は間違っていたと分かるかもしれません。それでも結論を来週に伸ばすのではなく、「今」結論を出すことを大切にします。そうすることで、常にプロジェクトが前に進むようにしています。もし間違いに気づいたら、そのときに修正しよう、とみんなで共有しています。

結論の出し方1:投票して、絞る

これは、アイディアの数が少なかった場合、またはネーミング決めなど、ある程度「答え」がシンプルな議論に役立ちます。

一人につき3枚のシールを持ち、いいと思う意見のポストイットに貼りつけます。一つの意見がすごく気に入ったら、手持ちのシール全てを同じポストイットに貼るのもアリです。全員が手持ちのシールを貼り終えたら、シールの数が多いポストイットを順に並べます。あとは、上位の中から答えを選びましょう。

ここでのポイントは、投票タイムに入る前に参加者全員の理解が一致していることです。全員が合意している、という意味ではなく、全員がすべてのアイディアの意味を理解し、疑問がない状態という意味での一致です。モヤモヤしたまま投票をすると、納得感が得られず、後々チームやプロジェクトへの不信感へ繋がってしまうかもしれません。

シールを使って優先順位をつけたポストイット

結論の出し方:「2×2マトリクス」を作成して、優先度を可視化する

これは、より複雑な議論の時に役に立つ方法です。ソフトウェアの機能案、オフィス環境の改善案、マーケティング施策案など、結論を出すのにいくつもの要因を考慮する必要がある場合に使えます。

まず、マスキングテープで壁に大きく十字を作ります。そして、縦軸と横軸を決めます。例えば、[ 縦:ユーザーにとっての価値(高→底)/ 横:ビジネスにとっての価値(高→底)] 等の軸が考えられます。そして、グルーピングしたポストイットをその2つの軸に配置し直します。これは、会議に参加している全員でバーッと動かしましょう。あまり考えすぎないことがポイントです。イメージとしては、4分かけて動かして、2分で振り返る。これを何度か繰り返せば参加者全員が納得するマトリクスになるはずです。

例えば新機能のアイディアであれば、「ユーザーにとっての価値が高い×ビジネスにとっての価値が高い」となる、右上エリアにあるポストイットが、一番優先度の高いエリアになります。ここまで整理ができたら、このエリアにあるポストイットをさらにランクづけをすると、厳密な優先順位を決めることができます。

ここで注意したいのは、できるだけ4つのエリアに均等にポストイットを割り振ることです。私自身、何度も経験があるのですが、優先度について考えていると、「すべて優先度高」な気がしてきます。そして、気がついたら全てのポストイットが右上のエリアに・・・なんてことが(笑)もしその罠にかかってしまいそうになったら、「2択だったらどちらの方が上か?」と考えて、相対的に判断するようにしてください。

また、マトリクスの線の上にポストイットを貼るのも避けましょう。線の上にポストイットがあると、あとで見返した時に分からなくなりますし、どちらに入れるべきか?とさらに議論の種になり時間が長引いてしまいます。優先度をつけるときは、キッパリと高か底か振り分けてください。

ちょっと長くなってしまいましたが、フラットな意見交換を実現する方法と結論の出し方を紹介しました。この方法を学ぶ前は、「なんでソフトウェア界隈の人はポストイットが好きなんだろう、、」と思っていたのですが、理由を知って納得しました。

実際にこの方法で会議をすると、その場で参加者みんなの意見が交換され、その場で結論も出すので、あとから不満が出ることもほとんどありません。意見交換でお悩みでしたら、是非試してみてください〜

Pivotal Labsでは、定期的にワークショップ型イベントを開いたり、ブログでプロダクト開発やチームビルディングなどについて紹介していきます。

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※「結論の出し方」の部分を追記しました(2016.5.8)
※ Pivotal Labsのパブリケーション「Product Run」へ追加するに当たり、追記&編集しました(2018.5.29)

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Erika Ito
Product Run

Product Designer at VMware Tanzu Labs (former Pivotal Labs) in Tokyo. Ex Medium Japan translator. | デザインに関すること、祖父の戦争体験記、個人的なことなど幅広く書いています😊