チームの健康診断「レトロ」の進め方

毎週の振り返りで、早めに問題を発見しよう!

Erika Ito
Product Run
Mar 27, 2023

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チームの「健康」ってどうやって測ってますか?アジャイルでは頻繁に「レトロスペクティブ」という言葉がでてくると思います。これは、イテレーション毎に行う振り返りの時間のことですが、定期的にチームの健康状態を確認することでスムーズに開発が進められるようになります。

Tanzu Labsでは、略して「レトロ」と呼び、毎週金曜日に好きなものを食べたり飲んだりしながら進めます。飲み物はアルコールもアリで、一見するとただ楽しんでいるだけにも見えますが、あえてゆるい雰囲気になるようにしています。今回はそんなレトロの目的や進め方を詳しくご紹介します! レトロにも様々なフォーマットがありますが、今回は私たちが一番よく使う、シンプルな形を紹介します。

リラックスした雰囲気で、チームの健康状態を診断するレトロ。

レトロは、チームの健康状態を可視化し、必要があれば改善策を決めることが目的です。良いことがあればみんなで喜び、悪いことがあればみんなで改善策を決める、そんな時間です。冒頭でも触れましたが、お酒を飲んだり、好きなおつまみを食べたりしながら、リラックスした雰囲気になるようにしています。

それは、レトロの場で緊張してしまったり、萎縮してしまうと、問題があっても共有しにくくなってしまうからです。レトロを開催するときには、参加者ができるだけリラックスできる場になるように気を配りましょう!

ステークホルダーはまたの機会に、チームメンバーだけで何でも言える雰囲気に。

Tanzu Labsのプロジェクトでは、チームを管理する役割する立場の方々から「チームの様子を知るために、レトロに参加させてください」と頼まれることがあります。そのようなケースは、基本的にはお断りしています。これは、管理者のような「偉い人」が参加してしまうと、開発メンバーが本音を言いにくくなってしまったり、意図せず報告や共有の場にすり替わってしまうこともあるからです。

レトロではプロジェクトの進捗や成果の発表はしません。あくまでもチームの「健康状態」について話し合う場、ということを大切にしています。

プロジェクトの進捗や状況ついて共有が必要な場合や、管理側とチームの距離を縮めたい場合は、別途情報共有や交流の時間を作ることをオススメしています。

用意するもの

対面の場合:
・チームメンバーが入れるくらいの部屋
・大きめのホワイトボード
・ホワイトボード用のペン(1人1つ)
・大きな紙(アクションアイテムの保存用)

オンラインの場合:
・チームのメンバーがコメントを追加できるツール

このツールは、同時編集が可能で見やすいものならなんでもOKです。Miro、Figjamのようなホワイトボードツールは使いやすいのでおすすめです。そのほか、最近はRetro専用のツールもいくつか出てきているようなので、気になるものがあれば試してみてください🙂

進め方

ステップ1
ホワイトボードに下の写真のような3つのセクションを作ります。
😀=よかったこと
😐=良くも悪くもなかったこと
😫=悪かったこと

対面の場合
Miroを使った場合

ステップ2
10〜15分ほど時間をとって、各々シェアしたいことをに書いていきます。他の人がすでに同じことを書いていたら横に「+1」を書いて、意思表示をします。オンラインの場合は、投票にスタンプ等を利用しましょう。

シェアしたいことをホワイトボードに書き込む参加者

◆ステップ3
みんなが書き終えたところで、その回のファシリテーターを1人選びます。毎週違った人がファシリテーションをすると、負担が1人に偏ることがないのでオススメです。また、プレッシャーが少なくフォーマットが固定されているレトロは、ファシリテーションの練習にも適しています。

ステップ4
ファシリテーターはまず、前回のレトロで作成した「アクションアイテム」を確認します。そのタスクが完了していればOK、完了していなければ、簡単にその理由を担当者に共有してもらい、必要があればタスクをさらに細分化したり担当者を変えたりします。(アクションアイテムについては、下で補足します。)

ステップ5
アクションアイテムの振り返りが終わったら、みんなのコメントを振り返っていきます。ファシリテーターは、ホワイトボードに書かれたことを一つ読み上げ、まずは書いた人に補足してもらいます。その後、必要に応じてチームで話し合います。ファシリテーターは、1つのトピックに時間をかけ過ぎないように注意しながら進めます(最大3分程が目安)。「良かったこと」アイテムはみんなで喜び、「どちらでもないこと」はみんなの心に留め、「悪かったこと」に書かれたことは、それを改善する為にできることをアクションアイテムとしてタスク化します。

読み上げる順番に決まりはありませんが、投票が多いアイテムは興味を持っている人が多いものなので、優先して話すことが多いです。ただ、投票が少ないものの中にも重要な気づきがあるケースもありますので、時間が許せばできるだけ多くのアイテムを話し合えるように気をつけてください。

カテゴリの進め方は[よかったこと→どちらでもなかったこと→悪かったこと]の順にすると、偏りがなくなるのでオススメです。また、一週間をいい気持ちで終えられるように、最後は「よかったこと」で終われるように調整しましょう!

「アクションアイテム」についての補足

「悪かったこと」に上がったことは、次週にやることとして、アクションアイテム(Todoリスト)に追加します。その際、そのアクションに責任をもつ人をアサインするようにします。そうすることで、忘れられたまま改善されない、、、という状況を出来るだけ避けられるようにしています。

アクションアイテム化したのに誰も対応しない、、という悲しいことが起こらないように、みんなの目に留まりやすいところに置いておくことをオススメします。(オフィスの場合は人がよく通る壁、オンラインの場合は共有のMiroボードなど。)

このように、アクションアイテムを作成し、毎週進捗を確認することで、チームをいい状態に保てるようにしましょう。

以上、毎週のレトロ進め方でした。ぜひ試してみてください!

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Erika Ito
Product Run

Product Designer at VMware Tanzu Labs (former Pivotal Labs) in Tokyo. Ex Medium Japan translator. | デザインに関すること、祖父の戦争体験記、個人的なことなど幅広く書いています😊