デザインフィードバックを効果的に得る「デザインクリティック」

3つのルールとレビュー範囲を設定して効果的なフィードバックへの近道をしよう!

Erika Ito
Product Run
7 min readFeb 27, 2019

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Pivotal Labsでは毎週1時間、デザインのクオリティアップとデザイナーのスキルアップを目的とした「デザインクリティック」というフィードバックの会を開いています。デザインフィードバックは、慎重に行わないとただの粗探しになってしまったり、当たり障りのないコメントになってしまったり、、意外と難しいですよね。
Pivotal Labsでは、レビューの際に3つのルールとレビューの範囲を設定することで、お互いに適切なフィードバックができるようにしています。

レビューをもらう側は、フレッシュな視点を入れて改善点を見つける機会に。レビューをする側は、人のデザインからテクニックを学んだり、フィードバックをする際に必要な視点や効果的な伝え方を練習する機会に。

そんなデザインクリティックを紹介します!

「デザインクリティック」はどんな人におすすめ?

「デザインの幅を広げたい!」と思っている人や「もっと上手にフィードバックできるようになりたい!」と思っている人におすすめです。

これから紹介するフォーマットに添えば、社内外関わらず取り入れられるのもデザインクリティックの良いところです。(以前Pivotal Labsにてデザインクリティックmeetupを開催しました。)

初めてデザインクリティックを取り入れる際は、興味のあるデザイナー少数(4人程度)で試してみるのがオススメです。Pivotal Labsでは、デザインのプロセスに深く関わるプロダクトマネージャーも参加しますが、デザイナーではない人の参加/不参加は、デザイン知識の有無やデザインへの興味度合いによって判断をするといいと思います。

フィードバックをするときに守る、3つのルール

ルール1:否定せず、質問をする
→建設的に意見交換をする場にしたいから。例えば「ここの色、変だな」と思ったら、ストレートに伝えたい気持ちを抑えて、「ここはなんでこの色にしたの?」と質問の形にして問いかけるようにします。一度質問をしてデザインの経緯を知ると、「好き嫌い」以上の意見交換をすることができるようになります。もしかすると、ブランドガイドラインによって使える色が制限されていたり、アクセシビリティに気を使った上での選択かもしれません。

ルール2:改善案は出さない
→経緯を知らずに改善案を出しても、あまり参考にならないから。(例えば、「ここはタブじゃなくてドロップダウンにした方がいい」といったような改善案。)改善案を出すのではなく、今のデザインのどんな所に改善の余地があるのか?と考えを広げるようなコメントを意識すると、より良いデザインにするための助けになります。

ルール3:(忘れずに)良いところも指摘する
→担当のデザイナーが修正する際に、良かった部分は(自信を持って)残せるようにするため。レビューというと、改善ポイントばかりの指摘になりがちですが、「ここイイネ!」ポイントも積極的にコメントするようにします。

事前に「レビュー範囲」を決めておく

デザインクリティックでは、レビューするデザインの完成度は問いません。各デザイナーが「フレッシュな視点が欲しいな〜」と思った段階でレビューに出せるようになっています。そのため、デザインは簡単なワイヤーフレームから実装されたアプリまで様々です。

そこで、デザインクリティックに出す際は、事前に担当デザイナーが
1. デザインが今どの段階にあるのか
2. レビューが欲しいのはどんな部分か
の2つを決めるようにしています。

この2つが明確になっていることで、レビュアーは何に気をつけて見ればいいかが分かるので、より的確なフィードバックが出来るようになります。

レビュー範囲は毎回様々ですが、いくつか例を挙げると、、
◆ワイヤーフレーム段階の場合
・ インタラクションに不整合はない?
・(初見で)なにをするページか分かる?

◆実装前/完成度が高まっている段階の場合
・デザインのトンマナがおかしいところはない?
・アイコンの意味は分かる?
・ジェスチャーに違和感は無い?

◆実装済/リリース直前段階の場合
・アラインメントがズレているところはない?
・文言がおかしいところはない?

、、このようなレビュー範囲が多いです。デザインの段階が進めば進むほど、細部に関するフィードバックになる傾向があります。

用意するもの:

・ポストイット(人数分の色があると便利)
・ペン
・ホワイトボード or 広い壁

役割分担:

・ファシリテーター:1人
・担当デザイナー:1人または1チーム(毎回交代する)
・レビュアー:4〜8人(レビュアーの人数が多い場合は、1人のレビュー数を3つまでに抑えるなどして工夫します)

事前の準備:

<ファシリテーター>
3つのルールを見えるところに書き出すか、印刷して貼り出しておく

<担当デザイナー>
①レビューするプロジェクトの概要を一言でまとめておく
②レビュー範囲を決めておく
③プリントアウトしたデザインを壁に貼っておく

<レビュアー>
特になし

進め方(60分)

  1. 全員で簡単にルールの確認をする
  2. 担当デザイナーがプロジェクトの概要を共有する
  3. レビュー範囲を共有する
  4. レビュアーにポストイットとペンを配る
  5. 15分間レビューの時間
    →レビュアーはデザインを見ながら、ポストイットコメントを書いて張り出されたデザインに貼る(1枚につき1コメント)。このとき、口頭での質問や意見交換はせずに静かに進める。
  6. ファシリテーターが、ポストイットを1枚読み上げる
  7. ファシリテーターが、レビュアーに補足を仰いだり、担当デザイナーに意見してもらうように促す。
    →このとき、全員での意見交換になってもOKです。但し、一つのコメントに時間をかけすぎないように注意です。長くても3分くらいまでを目安にしましょう。ポストイットは色ごとに誰のコメントかがわかるようになっているとスムーズです。
  8. ~全てのポストイットが取り上げられるまで6と7を繰り返す〜
    →「ポストイットが多い画面=注目度の高い画面」と考えて、ポストイットの多い画面から始めます。ファシリテーターは、出来るだけ時間内に全てのポストイットが読まれるように時間配分に気をつけながら進めます。
  9. 担当デザイナーは必要に応じてやることリストを作る

以上、デザインクリティックの進め方でした!
ちょっとしたルールを決めることで、より効果的なフィードバックを行うことができるようになります。参考になれば嬉しいです🙌🏻

以前meetupで開催したデザインクリティックの様子

Pivotal Labsでは、定期的にワークショップ型イベントを開いたり、ブログでプロダクト開発やチームビルディングなどについて紹介しています。

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Erika Ito
Product Run

Product Designer at VMware Tanzu Labs (former Pivotal Labs) in Tokyo. Ex Medium Japan translator. | デザインに関すること、祖父の戦争体験記、個人的なことなど幅広く書いています😊