Pivotal Labsって一体なに?

ペアを組んで進める、Pivotal Labsの働き方

Yui Anzai
Product Run
8 min readJul 24, 2018

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いきなりですが、Pivotalという名前、ご存知でしょうか。

よく知らない、あるいは開発管理ツールの「Pivotal Tracker」だけ知っている、という方が多いのではないかと思います。私自身、転職する前まではその1人でした(笑)

私が所属するPivotal Labsでは、ちょっと変わった方法でクライアントのソフトウェア開発プロジェクトを行っています。この記事ではPivotal Labsのプロセスについて簡単にご紹介していきたいと思います。

Pivotal Labsで目指しているもの

Pivotal Labsのミッション

Pivotal Labsはクライアントから依頼を受けて、ソフトウェアを開発しています。しかし、受託開発を行っているわけではありません。私達のゴールは、案件終了時にはクライアントが自分たちのみで持続的に良いプロダクト開発のプロセスを継続することができ、かつ新しいメンバーにその手法を教えることができる状態になっていることです。

そのためにクライアントチームはPivotal Labsのオフィスにフルタイムで出向し、Pivots(Pivotal Labsメンバーをこう呼んでいます。笑)と一緒にチームを組み、数ヶ月かけて実際の案件に取り組みながら手法を学んでいきます。

端から見ると誰がクライアントか分からないほど、一つのチームとして働きます!

ペアプログラミング(Wikipedia)とは2人の開発者が同じワークステーションを使い、共同でソフトウェア開発を行う手法です。
Pivotal Labsではエンジニアのみではなく、全ての役割において同じようにPivotsとクライアントメンバーが1:1でペアを組みます。

Pivotal Labsは1980年代にサンフランシスコで創業したアジャイル開発のパイオニアで、現在はPivotalという会社の一部になっています。
Pivotal自体はPivotal Cloud FoundryというPaaS(Platform as a Service)など、企業のデジタル変革を支援するプロダクトの提供も行っている会社です。

(ちなみに、2018年4月に上場しました!🎊🙌🎂)

2015年に設立されたPivotal Labs TokyoではANAYahoo! JAPANラクスル富士通など、様々な業界のクライアントとご一緒してきました。
プロジェクトの内容もBtoCのモバイルアプリやウェブサービス、BtoB新規事業、社内向けシステムなど、本当に多岐に渡っています。

Pivotal Labsのプロセス:Lean XP

Pivotal Labsで行なっている開発プロセスは全く目新しいものというわけではなく、既存の手法を組み合わせています。

  • ユーザー中心設計
  • リーンスタートアップ
  • エクストリームプログラミング/アジャイル
3つの手法を組み合わせたプロセスで開発しています。

基本のチーム構成はデザイナー、プロダクトマネージャー、エンジニア2〜3人といった感じになります。クライアントも同数のメンバーがチームに参加するので、大体8〜10人(4〜5ペア)ぐらいのチーム構成ですね。
プロジェクト期間中は兼務をせず、Pivotsもクライアントも全員フルタイムでの参加が基本になります。

各役割はそれぞれ、プロダクトの違う部分に責任を負っています。

デザイナー:
「ユーザーはこのプロダクトに価値を見出すか?」

(ユーザー中心設計)

プロダクトマネージャー:
「このプロダクトを作ることで、ビジネス上の成果が生まれるか?」
(リーンスタートアップ)

エンジニア:
「このプロダクトを最も技術的にシンプルに実現させるにはどうしたらいいか?」

(エクストリームプログラミング/アジャイル)

それぞれの視点がお互いを補完することで、良いプロダクトが生まれます。

それぞれが自分の視点から意見をぶつけ合うことにより、ユーザー・ビジネス・技術の視点どれもを常に取り入れることが、価値のあるプロダクトを作る鍵だと考えています。

具体的な進め方や期間は案件によりますが、ざっくりとした流れとしては4〜6週間ぐらいのリサーチ期間で「解決すべき課題は何か?」「適切なソリューションはどんなものか?」を検証し、その後2〜4ヶ月ぐらいかけて開発を行い、その間も並行してリサーチを続けていく、ということが多いです。

ソフトウェアは常に進化していくものであるという前提の下、Pivotal Labsでの案件期間が終わってからもクライアントが検証・開発し続けていけるよう、この数ヶ月の中でLean XPのノウハウを伝えていきます。

Pivotal Labsの特徴

ホワイトボードの前に集まってディスカッション

ここまでPivotalのプロセスについて書いてきましたが、

「そうは言ってもよく分からないな…」

と頭をひねった方も多いのではないかと思います。私たちも日々、自分たちの仕事を説明するのに苦労しています😂

受託開発のようでもあり、デザインファームのようでもあり、コンサルティングや研修のような側面もあるけど、一言にまとめてしまうとどれも違う…
私が個人的に思うPivotal Labsの特徴を3つ挙げてみました。

1)プロダクトのアイデアはクライアントが持っている

Pivotal Labsは開発プロセスのエキスパートですが、金融・物流・自動車など、事業の専門知識を持っているわけではありません。
クライアントの課題に対して「そもそもどんなアプローチを取るべきか?」を0から考えるのは、その課題に対して深い知識と経験を持つクライアントが強みを持っている部分です。

私達がお手伝いできるのは0からアイデアを出すところではなく、クライアントが持っているアイデアの可能性を素早く検証し、間違っている部分を一緒に軌道修正することです。
例えアイデアが上手くいかないことが分かったとしても、実際に作るための沢山の時間やお金をかけずに失敗に気づけるのは、大きな価値だと考えています。

2)実際に作って検証する

Pivotal Labsではリサーチ、デザインだけの案件は基本的に行っていません。クライアントとリサーチを行って得られた学びは、そのまますぐ開発を行い、実際のソフトウェアに変換します。
リサーチで仮説に対しての裏付けを得ることはできますが、動くモノを実際にエンドユーザーに届けてみるまでは、本当に想定した価値を提供できているか分からないからです。

また、開発を始めてみると様々な技術的ハードルがあり(特に既存のシステムとの連携が必要などの場合)、思っていたようなものが作れないということは頻繁にあります。
その場合でもデザイナーとプロダクトマネージャーが同じチームにいることで、すぐに細かい軌道修正ができます。素早く学習を繰り返しながら、なるべく短期間で目指す価値を達成するためには、リサーチから開発までを一貫して行うことが重要だと考えています。

3)案件を通して実地で学ぶ

単体のワークショップなどの提供は、基本的に行っていません。実際のプロダクト開発を行うことがもっとも効果的なトレーニングだとPivotal Labsでは考えているためです。
また、今後も開発を続けていくプロダクトを学習の題材にするので、案件期間が終わってからの応用に繋がりやすいのもポイントです。

このブログではプロセスの詳細やテクニックなど、私達がプロダクトを作る上で大事にしていることを共有しています。みなさんのプロダクト開発に、少しでも参考になれば嬉しいです。

興味を持たれた方は、ぜひオフィスに遊びに来てください!

Pivotal Labsの愉快な仲間たち
オフィスからの眺め

Pivotal Labsでは、定期的にワークショップ型イベントを開いたり、ブログでプロダクト開発やチームビルディングなどについて紹介していきます。

イベントの最新情報:
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公式ブログ:
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Yui Anzai
Product Run

Product Manager at Pivotal Labs Tokyo. プロダクトマネジメント、デザイン、アジャイル、ユーザーリサーチなどについて書きます。