スキルの組合せパターン別、ペアワークを円滑に進めるためのマインドセット

ペアワークを導入するときに知っておいて欲しいこと、パート2

Erika Ito
Product Run
Jul 7, 2023

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Tanzu LabsでデザイナーをしているErikaです。私たちは、ペアプログラミング、ペアデザインなど、すべての役割をペアワークで進めています。一口にペアワークと言っても、プロジェクトによって相手のタイプや持っているスキルも様々です。

今回は、ペアを組む相手と自分のスキルや経験値のバランスによって、私がどんなのことに気をつけているか?1つだけに絞るなら何を重視するか?を3つのパターンで考えてみました!

  1. 自分の方がスキル&経験値が高い↑パターン
  2. 自分の方がスキル&経験値が低い↓パターン
  3. 自分と相手のスキル&経験値が同等=のパターン

ペアワークを取り入れてみたけど続かなかった、、という方とお話ししたときに社内で「ペアワーク=新人研修の延長としか理解されなかった」という話を聞きました。適切なマインドセットを持たないままペアワークを続けると、だんだんと苦しくなっていくように思います。

パート1としてまとめたペアワークのメリットでは、スキルシェア以外のメリットも紹介していますので、よかったら合わせて読んでみてください!

フルタイムでペアワークをしている方は少ないかもしれませんが、「これから試してみよう」または「以前試したけど辞めてしまった」という方の参考になれば嬉しいです。

1. 自分の方がスキル&経験値が高い↑パターン

私自身がこのパターンのペアになったときに1番気をつけているのは「教えなきゃ!」という先生マインドにならないようにすることです。なぜなら、ペアが先生対生徒の関係になってしまうと、下記のような困難が起こりうるからです。

  • 先生の側は「常に正しくありたい」「常に正しくあらなければ」という意識が働いてしまい、柔軟であることが難しくなる
  • 生徒の側は「きっと相手が答えを見つけてくれるだろう」という意識が働いてしまい、受け身になったり必要な意見が言えなくなってしまうことがある

「相手は経験が少ないから知識も少ない」と決めてかかってしまうと、ペアがいいアイディアを思いついたときにも、柔軟にその意見を取り入れることが難しくなってしまいます。そうすると、ペアワークの利点にある「常時壁打ち」が意味をなさなくなってしまいます。このような決めつけはほとんどが無意識なので、スキルの高い側は、意識的に気をつけていく必要があると思っています。

また、自分の方がスキル&経験値が高い場合でも、ペアの相手から新たな視点が得られたり、新たなスキルを学べるチャンスもたくさんあります。プロダクト開発で役にたつ知識は、とても範囲が広いですよね。トレンドや技術も移り変わっていきます。例えばデザインだったらFigmaの使い方やリサーチの実施、スタイルの実装等まで含めると、自分は知らなかったけど相手が知っていたというケースも意外と多いものです。もしスキル差がとても大きく「全般的に自分の方が知識を多く持っている」という場合でも、相手の素朴な(初心者的な)疑問が新しい気づきに繋がることもあります。

とはいえ、自分の方が経験が長い場合、ペア相手が知らないことを詳しく説明したり、何かを教えなければいけないタイミングは来ますよね。そんなときに「先生」でいることを避けようとするあまり、教えることを諦めるのも勿体無いですよね。私は、「相手が何を考えて、どんな気づきを得たのか?」を少しずつ引き出しながら説明を進めることで「教える」が一方通行にならないように気をつけています。

2. 自分の方がスキル&経験値が低い↓パターン

自分の方がスキルが低いときに、萎縮してしまうタイプ、燃えるタイプ、通常運転ができるタイプ、、など様々なタイプの人がいると思いますが、とにかく全員に意識して欲しいのは「なんでもいいから考えていることを口に出す」ことです。

私は典型的な萎縮してしまうタイプで、ペアワークを始めた頃に先輩と組んだ時は「自分は役に立てなくて申し訳ない」と感じ、あまり発言が出来ませんでした。でも、自分の質問をきっかけに新たな可能性が開けたり、自分が普通に使っていたショートカットを先輩が知らなかったり、、という機会が意外と多いことに段々と気がつくようになりました。

何も言わずに聞くだけ、見ているだけ、になってしまうと自分も相手も、ペアワークのメリットを享受することができません。「何が役に立って、何が余計な情報か分からない!!」そんな風に思ったときほど、感じたことや考えていることをとにかく口に出すように頑張って欲しいなと思います!

どうしても発言が難しいときは、下記のようなテクニックを使って、少しずつ発言のハードルを下げていけるといいなと思います😀

  • 「間違っているかもしれませんが、、」などの前置きをして、自分のハードルを下げる(相手のハードルではなく、あくまで自分のハードルを下げる目的で使いましょう!慣れてきたら段々と前置きはなくしていけるといいですね。)
  • ここ違うなと感じたり、気になったところは、質問の形で聞いてみる
  • リアルタイムで意見を言うのがどうしても難しかったら、気づいたことをメモにまとめておいて、1時間ごと、半日ごと、など区切りのいい時にペア相手と振り返りをする時間を取る

3. 自分と相手のスキル&経験値が同等=のパターン

個人的には「ペアワークの良さを一番体験できる」のがこのパターンだと思っています!なぜかというと、ペアワークを進める中で教えることも教えられることも同じくらい経験できるのがこの組み合わせだからです。

これは私の感覚ですが、経験年数やスキルが近い場合、作業のスピードをとても速く保つことができます。これは、持っている知識やコンテキストが近いので、説明しなくても分かり合えることが多いからだと思います。作業を高速で進められることで、2人の間で議論を深掘りする時間的な余裕ができ、踏み込んだ意見交換をする機会を多く持つことができます。自分の意見をぶつけることで得意分野が強化されるし、逆に相手の意見を深く知ることで新たな発見を得ることもできます。

ペアワークが新人研修の延長だったり、スキル継承を目的に導入されていると、スキルや経験が同じくらいの人と組む機会は少ないかと思いますが、ぜひ「楽しもう!」というマインドセットで挑戦してみて欲しいなと思います。

以上、ペアの組み合わせ別オススメマインドセットでした!個人的にはどんな組み合わせでも、悩んだり学びを得る機会があり、それぞれの面白さがあるなと思っています。色々な組み合わせを試して頂けたら嬉しいです。

是非ペアワークをするときの参考にしてみてください🙌🏻

ペアワークをするペアーズ(梨) オリジナルはこちら

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Erika Ito
Product Run

Product Designer at VMware Tanzu Labs (former Pivotal Labs) in Tokyo. Ex Medium Japan translator. | デザインに関すること、祖父の戦争体験記、個人的なことなど幅広く書いています😊