Shogo Ieda
ProductAnalysis
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6 min readDec 17, 2016

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女子高校生に人気のアプリ、『minimo』。ホットペッパー・ビューティーをディスラプトできるか

日本国内外のProductを取り上げ、その展望を考察する、不定期連載。名前はProductAnalysisとでもしときます。

ProductAnalysis No.1は東洋経済の『女子高生が「節約できるアプリ」に夢中なワケ』でも紹介されたmixiが運営するminimo。

https://minimodel.jp/

実際に使ってみて、美容師さんに話を聞いたが、驚きだった。

・新規顧客獲得の経路がminimoとホットペッパー・ビューティーで半々

・minimoのユーザー層は10~20代

・ホットペッパー・ビューティー利用者は30代が多い

「ホットペッパー・ビューティーは若い女性にリーチできていない・・・?」

媒体の変化 (紙->PC->スマホ)の中で、ホットペッパー・ビューティーがリーチできていないスマホユーザーに特化して、事業展開をしている(と思われる)minimoの可能性を調べた。

概要

・国内最大級の美容師発信メディア|ミニモ(minimo)

・ビジネスモデル:成果報酬型の広告掲載

・デザイン:直感的な検索機能とチャットUI

・運営会社:mixi

・サービス開始日:2014年1月

日本国内マーケットと競合

市場規模

2012年度の美容市場は1兆5,575億円(前年度比99.5%)と大きい。メディアやマッチングサイトはこの内のマーケティング費用が最大の市場規模となる。

カッタロカ

カットモデルのマッチングサイト。

美容師さん は、無料でカットモデルがみつけ、
カットモデルは、500円で髪を切ることができる。

ホットペッパー・ビューティー

皆さんご存知のリクルートが運営するサロン予約サイト

何が肝なのか

ユーザー:直感的な検索機能とチャットUIをスマホを通じて提供。

少ないタップで、自分の欲しい情報を直感的に選択することができ、LINEに慣れたユーザーに、チャットによるサロンとのコミュニケーションを提供している。

ホットペッパー・ビューティーの検索方法はカテゴリー階層遷移のみで、スマホには相性の良くない検索方法である。

(ホットペッパーにはこだわり条件というフィルター機能があるが、その条件の種類が凄まじく多い。リクルートのメディア企業としての凄さを感じた。)

https://beauty.hotpepper.jp/

美容師(サロン事業者):ホットペッパーに代わる成果報酬型の圧倒的コスパの高い集客方法を提供。

まずホットペッパーの掲載料金を見てみる。

新規顧客数が月間20名で、広告予算約10万円を目安として設定している。

1人あたり5,000円の獲得コストがかかっていることになる。(もちろんリピートもあるが、一旦考慮していない。)

一方のminimoは、掲載料金が無料で、マッチング1人あたり最大700円と大変安い。ホットペッパーの約10分の一で新規顧客を獲得できる。

この安さは、サロンにとって相当嬉しいだろう。

展望

カットモデルのマッチングからサロン予約へ

当初、カットモデルのマッチングアプリと聞いて、mixiはまたマニアックな領域を攻めると思った。当時のインタビューからも、カットモデルのマッチング領域を攻めていたと思われる。

しかし、アプリのバージョンアップを経ていく中で、スナップ機能がタブから消えるなど、予約サロンアプリに変化していく。

2015年2月にはネイルなどビューティーの全領域に進出。カットモデルのマッチングサイトから脱却し、ビューティー系店舗のアプリ特化型の予約アプリに大きく舵を切った瞬間だろう。

その1年半後の2016年11月には、「サロン予約」と銘打って、テレビCMを打っている。

「サロン予約アプリ」として、プロダクト・マーケット・フィットを達成し、ユーザー獲得コスト、CVR、単価、サロン獲得コストがほぼ読め、回収コストに目処がたった上での、経営判断ではないか。

ビジネスモデルとある程度のサービス設計(ユーザーにとっての最適なUI)が確立しているのなら、後は投資の世界だ。

サイバー・エージェントなど上場IT企業が同じビジネスモデルで参入してくる可能性は高い。市場規模が大きいだけに、競争は激化するのではないだろうか。

人材獲得支援などの領域にどこまで食い込めるか?

しかし、ホットペッパー・ビューティーを本当にディスラプトしようとするなら、勝負はここからではないか。

ホットペッパー・ビューティーの強みは、新規顧客獲得を含む、サロン経営支援である。

顧客獲得における紙からスマホへの媒体の移行をminimoがディスラプトすることはあっても、サロンが抱える他の悩みのマーケットまでを取ることは難しい。

minimoは店舗の予約管理システムの開発を進めるだろう。(既に行っているみたいで、「minimo SALON TOOL」をローンチ予定のようだ。)

そして、人材確保の支援として、自社でメディアを展開するのではないか。mixiはSNS企業としての印象が強いが、元々人材サイトの会社でありノウハウは十分持っているはずだ。

成果報酬型モデルで市場に切り込んだ「リジョブ」など、成功事例も出ている。(じげんが既に買収している。)

minimoはインターネットに特化したコスパの高いサロン経営支援ツール提供企業を目指すだろう。

まとめ

・minimoはホットペッパー・ビューティーがリーチできていない若い女性にリーチすることに成功

・直感的な検索UIとチャットを提供

・サロンには圧倒的コスパの高い集客方法を提案

・ホットペッパー・ビューティーを本当にディスラプトするには、予約管理や人材メディアなど多角が必須。

参考サイト

mixiはカットモデルになれるアプリ「minimo」でホットペッパーが握る巨大マーケットを狙うのではないか、という話

美容師も“店から人へ” 株式会社ミクシィ発アプリ『ミニモ』インタビュー

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Shogo Ieda
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