Research Manager Meetup #2を開催しました

piqcy
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9 min readAug 10, 2019

2019/8/9に、レトリバさんのコラボレーションルームをお借りしてResearch Manager Meetup #2を開催しました。

Research Manager Meetup #2のテーマは、ずばり「今の研究開発、点数をつけるとしたら何点ですか?」です。どれくらいの点数を付けたのか、点数を付けた対象と評価の理由はなんなのか、についてディスカッションを行いました。イベントの詳細は以下の記事をご参照ください。

では、当日の模様をお届けしたいと思います。なんと、今回は参加率100%というアツい回でした。

How was the Meetup?

まずは皆さんに着けてもらった点数です。5点~80点までと幅がありました。計算してみたところ、平均は45.5点でした。結構辛めな点数です。

当日のスコア

では、どんな点をどんな風に評価したのか。同じテーブルの方とシェアしていきましょう!

点数シェアの様子

ここでは、以下のような評価対象、評価内容、また意見が出てきました。

事業への貢献
+: 自社のプロダクトが売れるようにな
+: 売上につながる
研究成果がプロダクトに入る=売れるではない?

研究テーマ決定のプロセス
+: スピード感を持ったテーマの決定
- : 先を行き過ぎている
アカデミアの研究か、事業への応用研究か。
何を研究したらいいのか?
そもそも何が研究に求められているのか?
みんなで考えて決めているけどそれでいいのか?

研究をアウトプットするプロセス
-: 研究の時間軸に応じたマネジメントができていない。
-: 研究をマネジメントする人がいない
開発か論文か、アウトプットが決め切れていない
外部との連携の仕方(いわゆるオープンイノベーション)

研究へのリソース配分
-: 普通の開発が忙しくて研究できない
人が少ない
研究者の副業はありか。
今研究にリソースを割いた方がいいのか?

研究によるプレゼンスの向上
+: 論文が出ている
公開する単位とタイミング

研究の定義
研究の価値がビジネスをけん引すべきでは?
論文を読んだりして調べるのは研究と言えるのか
そもそもなぜ研究するのか。

企業規模が大きい場合は研究専門の部署がある一方事業貢献への仕方に悩んでおり、小さい場合は研究が事業に直結している一方長期的な視野に立った研究ができていない・・・という悩みがあるように感じました。

研究者の副業は個人的には面白いテーマだと思いました。上で述べた通り企業や事業のフェーズによって取り組める研究テーマに差があると思うので、それを選択できるのはいいことなのかなと。

この議論を基に、後半ディスカッションするテーマを募集しました。その結果、以下6つのテーマについて話していきました。

  1. Research Manager育成問題
    採用・育成など
  2. 研究開発組織の体制
    研究開発に適した組織構造とは?
  3. 研究とビジネスをどう分けるか?
    どこかに境界線がないとリソース配分ができない?
  4. 研究に対する経営者の理解
    経営者はどこまで研究を理解しているべきか?
  5. 研究のアウトプットをどう出すか?
    論文/OSSなど、どういうアウトプットを出すためにどういう力を高めるか
  6. 事業貢献「できた」とは?
    何をもって事業貢献できているといえるのか?

いずれも話がいがあるテーマだと思います。そんなわけで後半戦スタートです。

後半のディスカッション

前半もなのですが、もう時間になっても議論が止まらない感じでした。議論の結果をまとめたのがこちらです。先に言っておきますが、ボリュームがすごいです。

  1. Research Manager育成問題
  • 大企業の場合
    キャリアパスとしてマネージャー職があり、目指さざるを得ない。
    外からよりは、中で育ててなるしかない。
    マネージャーにならないと給料が上がらない
  • ベンチャーの場合
    一気に組織が立ち上がり、急激に人が増える。
    人ががっと集まるので、マネージャーが不足しがち。
    ほんとはやりたくないのに立場上やらざるを得ないことが多い。
    プレイヤーでも給料が上がる。プレイヤーでいたいからマネージャになりたくない。
  • Research Managerにも楽しさがあるのでは?
  • 研究チームとして大きな成果を出している所もある。
  • マネジメントにやりたい人が向いていない問題。

2. 研究開発組織の体制

  • 業績によって組織変更されがち。
    安定的に研究をするには?
    ある程度できてから(見通しが立ってから)テーマを上げる。
  • 社外に研究を評価してくれるスポンサーを見つける。
    会社が評価してくれなくても、外から研究資金を調達できる
  • 開発と研究を同時にやると概ね開発が優先になる
    期間で区切るとよいのでは?
    (人によるかも?)

3. 研究とビジネスをどう分けるか?

  • 研究開発組織を作るべき時とは?
  • 大企業
    研究開発はOKだが、ビジネス貢献に対するプレッシャーが大きい。
  • ベンチャー
    成果をどうビジネスにするか繋がりにくい(よくわからないけど研究している)。
  • バックアッププランが必要
    事業貢献できなかったら?のバックアップ
    実験結果のプレスリリースなど・・・
    研究でもポートフォリオを組む(短期・長期、効果が線形/階段/非線形など)。

4. 研究に対する経営者の理解

  • 経営者の理解がないと・・・?
    目標設定、スケジュールに影響が出る
    時に敵に回る(研究の評価、育成より外注etc)
  • 人依存の問題
    経営者が変わると・・・
  • 育成
    Research Managerが経営者となっていくとよい
    研究開発プロセスに対する理解と、技術理解は別なのでは?
    前者: 評価のレンジ(長期で見る)やポートフォリオ
    後者: 技術の目利き
  • 経営者の資質は会社の規模によって変わる?
  • 研究開発の評価をどう行うのか?
    獏知的。
    ゲームの開発では、スキル面での評価も行ったりする。
  • 成果が出ている研究開発組織の経営者とは?

5. 研究のアウトプットをどう出すか?

  • そもそもアウトプットを公開すべきか?
    解析ソフトとかだと、研究成果(新しいシミュレーション方法)がそのままビジネス価値になる。その場合公開してしまっていいのか?
    特許で秘匿するなどの戦略も必要・・・だが、特許と論文のタイミングは難しい。
    機械学習の場合、SOTAを出したら論文にする。また、OSSで出さないとそもそも通りにくい。
    ビジネス上の判断で成果が出せないとなると、研究者のモチベーションも下がる。
    ビジネスを意識してもTop Tierに通るとは・・・
  • インターンの活用
    インターンでは、アカデミックに集中。
  • アウトプットの目的
    会社としても個人としても、プレゼンスの向上になる
    ただ、プレゼンスを出すならコンペやOSSなど色々な方法があるのでは。
  • どうアウトプットを高めるか?
    論文にまとめるのめんどくさい問題。学会によって様式が違うし・・・
    結果をまとめて出す意識が重要。
  • 研究の自動化の仕組みも必要。
    ハイパーパラメーターチューニングなど

6. 事業貢献「できた」とは?

  • 研究開発に求められること
    事業を立ち上げるところまで求められることもある。事業を立ち上げて利益が出るまでを考える。
    アカデミアと事業の橋渡しが求められる役割では?
    研究と事業を繋ぐ部門がないと、必然的に研究開発側がビジネス側までけん引することになる(その場合ビジネスサイドの仕事は?)
    トップに技術理解がないと厳しい。逆にあれば、上手く取り込めている。
    事業貢献に振っていると、短いスパンのテーマになりがち。
    一方、長すぎると大学でいいのでは、となる。
  • 事業貢献への評価
    そもそも数値化困難
    製品に組み込めたら評価しても良いのでは?
    数値評価を重視しすぎるとハックが発生する
    事業貢献しやすい研究しかしなくなる
    大きく失敗したものこそ評価せよ!という会社も。
    研究するときに事業計画まで出している。
    プレゼンスの向上は評価対象となるが、話題性の評価は難しい。
    市場に徐々に出していく手もある(α版からβ版など)
  • 顧客ドリブンの研究はスピードが遅い
    投資先をまず探す必要があるため。
  • プロトタイプを作って顧客に見せていく。
  • 何が上手くいくか分からない前提を立てるのが重要では?

それぞれの議論の内容が深くて、書き留めるのに四苦八苦でした。普段研究をされているせいか、とにかく考察が深くて表面的な議論に終わっていない気がしました。ちなみに私も議論にも加わりたかったのですが、進行とまとめるので精一杯でした。

社外のスポンサーを見つける、ポートフォリオを組む、バックアッププランの作成などは個人的にも考えていたことで、やっぱり必要だな~と感じました。それ以外にもうなずけることが多くて、短い時間ですごい知見が得られた気がしました。

最後はテーブル間でも意見が飛び交い、いい感じで議論ができたと思います。終わった後もいろいろ話していましたが(1時間半ぐらい・・・)、やはり企業での研究とは悩み深い仕事であります。

次回の開催も検討中です。会場を貸していただける方、ご連絡をお待ちしております!

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All change is not growth, as all movement is not forward. Ellen Glasgow