1/3 スケール三田式 3 型改 1 製作記

12部シリーズの第11部

Norimichi Kawakami
The New RC Soaring Digest
21 min readJan 19, 2022

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If you prefer you can read the English translation of this article, which was provided by the author. この記事に進む前に、このシリーズの 第10部 を読むことをお勧めします。

製作その49 計器盤の完成

既に製作済の計器のケースに目盛図を取り付けて計器盤として完成させます。

計器目盛図の製作

本1/3模型の原型機であるJA2103の計器は時代によって変化しているようです。鮮明な計器の写真が欲しかったので静岡航空資料館にお願いしてその写真を撮って頂きました。

しかし、同資料館の現有機に付いている計器は現役時代のものと異なるようで、資料館に機体が寄贈されたときに取り付けたもののようです。更に後席計器盤には計器が取り付けられていません。

このような事情から、資料館の機体の計器を基本として適宜修正した計器の目盛図を描きました。

これがCADで描いた図です。

図面63 計器目盛図

この図を写真用紙に印刷して計器ケースの中に貼りつけます。前席計器は大型が4つ、小型が2つです。上段の大型計器は左が速度計、右が高度計で、下段のそれは共に昇降計です。左側がft/min単位で右側がm/sec単位です。小型計器は上が姿勢指示器、下が方位指示器です。後席は大型計器が2つで左が速度計、右が高度計です。

私の使用している2次元CADは塗りつぶしが円と4角形しかできないので先が尖る針は描けません。それで針だけは別に切り出して貼りつけることにしました。尚、高度計に気圧補正つまみが無いのでおかしいのですが、取り敢えず資料館の実機と同じ形状に製作しました。

出来上がった前席計器盤

画像252が出来上がった前席計器盤です。艶消しの黒色で塗装しています。感じはでていると思います。当初、針はピンで目盛より浮かして留めようと思い、ケースにそれ用の穴も開けてあるのですが、幅1㎜にも満たない針にピンを挿すことは容易では無く諦めました。針は貼りつけてあります。

画像252 完成した前席計器盤

計器盤の機体取付

早速計器盤を機体に取り付けました。

画像253 取付完了した前席計器盤

後席計器盤です。

画像254 後席計器盤

全体はこんな感じ(画像255)に仕上がりました。計器を取り付けるとグッと実機らしくなりました。

それにしても速度計のレッドラインが190Km/時に引かれているのは何故でしょうか?

この速度計目盛図は静岡航空資料館の展示実機と同じに作ったのですが、後で判ったことですが実機の超過禁止速度は180Km/時です。展示機の速度計がおかしいということになりますね。

日光東照宮陽明門の柱も敢えて一本を逆さまに建ててありますので、本件もこのままで可とします。

画像255 計器全景

製作その50 水平尾翼の完成

プランクが完了していた水平尾翼にオラカバを貼り、塗装を施して完成しました。

完成した水平尾翼

一年前に木地完成していた水平尾翼ですが、カバーリングの絹目調オラカバ(オラテックス)の手持ちが切れていたためにそのままになっていましたがオラテックスを調達して完成させました。早速完成した水平尾翼を既に完成していた垂直尾翼及び尾翼フェアリングと共に機体に取り付けました。

画像256 完成した水平/垂直尾翼

塗装は艶消しの白です。右側エレベータの後縁側にあるのはダミーのトリムタブです。実機は人力操縦の為に、飛行ごとの微妙な重心位置変化に合わせて前席右側にあるレバーを上下することでタブ角度を調整して、定常飛行中の操舵力がゼロになるようにしますが、RC機はFBW(フライ・バイ・ワイヤー)の機力操縦であるために不要です。しかし実機に存在するのでダミーとして取り付けてあります。

反対側から写した写真です。

画像257 左側水平尾翼

中々良い感じです。次いでエレベータ操縦系統と繋いで作動と各部の当たりを確認しました。

画像258 エレベータの作動確認

後席操縦桿が後座席に当たる事が判明したので調整しました。調整後どこにも当たらないことを確認しました。しかし調整時点では気が付かなかったのですが、この写真を見て上げに対して下げ舵角が若干大きすぎるのが気になります。これはエレベータサーボの取りついた胴体下部構造の面と、サーボが動かすエレベータ操縦ロッドの傾きに差があることが原因です。

図面64 エレベータサーボと操縦ロッド

舵角の感度に上下差の無いようにサーボホーンをロッドに直角に取り付けたために、サーボの中立位置からずれているためです。後日修正しました。

続いてラダーを左右最大に振った状態でエレベータとの当たりが無いことを確認しました。

画像259 ラダーの確認

これらの状態でエレベータを上下して当たらないことを確認しました。これで水平尾翼が完成しました。因みに重量は3本のM3取付ボルトを含めて346gで、目標より54g軽く仕上がりました。

エレベータマスバランスの搭載

エレベータが比較的大きいので、その重量によってヒンジ周りにエレベータダウンのモーメントが大きく、サーボに負担が掛っていました。常にジッター音が生じて耳触りでした。

エレベータホーンの先端は実機と同じようにマスバランスを取り付けられるように作ってあります。しかしフラッターの心配は少ないので重量軽減の為に錘は付けない積りでしたが、後日完成状態で重心位置を計測したところ若干前過ぎでした。そこで、ジッター音対策も兼ねてマスバランスを取り付けることにしました。

これがマスバランスを取り付けたエレベータホーンです。

画像260 エレベータマスバランスの搭載

ホーン先端に38gの鉛を付けました。この量ではエレベータとのバランスが完全には取り切れていませんが、スペース上これ以上の搭載は無理なので諦めました。これでもサーボへの負担は随分軽減されてジッター音も消えました。尚、このマスバランスの搭載で重心位置が2%弱後退して34%MACとなりました。丁度良い重心位置と考えています。

製作その51 主翼の完成

主翼のカバーリングを行ってから塗装を済ませて完成させました。

外翼

外翼本体とエルロンにオラテックスを貼ってから艶消し白色に塗装しました。その後、既に完成しているカウンターウェイトと翼端を取り付けて外翼として完成しました。

画像261 完成した外翼 上=上面 下=下面

下面にはカウンターウェイトが見えます。ディファレンシャルを持ったエルロンの舵角調整に若干手間取りました。

中央翼

外翼と同じようにカバーリングと塗装を行いました。スポイラー調整が面倒でした(画像262)。

画像262 完成した中央翼

中央翼と外翼を並べてみました。これが主翼の構成品です。

画像263 完成した主翼

因みに完成重量は右外翼1,002g、左外翼988g、右中央翼866g、左中央翼850g、両中央翼結合金具55g、カンザシ163gで、合計して3,925gです。右翼が1,977g、左翼が1,947gで右翼が30g重くなりました。左翼にウエイトを積んでバランスを取る必要がありそうです。

翼胴結合

早速胴体に搭載してみました(画像264)。大分感じが出てきました。中央翼にJAナンバーを貼りつけなければなりませんが材料不足なので後日にしました。

当初は主翼を組立ててから胴体に取り付けようとしましたが、大きすぎ且つ重すぎて上手く取り付けられませんでした。そこで主翼を分解して、まず中央翼を胴体に取り付けてから外翼を取り付けるとスムーズに行きました。手順が大事なようです。

画像264 翼胴結合

続いて胴体のカバーリングも行いたいところですが、胴体を被覆すると色々なところに手が入りにくくなりますので、残作業が無い状態にしてからにします。現在頭を悩ませているのは1Kgにもなる動力用LiPoの取付方法です。しっかり固定しなければならず、スケール感を損なわずにトラス構造にどのように固定するか悩ましいところです。

9次重量重心検討

水平尾翼と主翼が完成したので第9次重量重心を検討しておきます。

表12 第9次重量重心計算

第8次検討結果と大きな差異はありません。実績率が91.16%にもなりましたので、今後は大きな変化はなさそうです。

製作その52 動力用電源トレー

動力用LiPo電源を載せて機体に取り付けるトレーを製作しました。

図面

動力用電源は8セルのLiPoです。これは、5,100mmAhの5セルと3セルを直列に繋ぎます。合計で丁度1Kgの重量になりますので機体運動の加速度で動いてしまうと重心がずれてしまいます。従ってしっかり固定する必要があります。重心検討の結果搭載位置はSTA530付近です。スケール感を壊さずにどのように固定するのか随分悩みました。

2つのLiPoを前後の座席に分散して乗せると電池の重心位置はSTA530付近になるので、当初何とか乗せられないかと色々考えました。しかし、電池の固定方法に上手い方法が思いつかなくて諦めました。結局確実な固定が期待できるトレー方式にしました。

図面にすると図面65のようになります。赤線がトレーです。STA530付近の胴体側面トラス構造には山形の斜め部材がありますので、これの交点にM3爪付ナットを埋め込んだ三角片を貼りつけ、ここからトレーをぶら下げます。トレーには2つのLiPoを載せてベルクロで固定しておく訳です。

図面65 動力電源用トレー

製作したトレー

これが図面に基づいて製作したLiPoトレーです。

画像265 LiPoトレー

5.5㎜桐板、1.6㎜シナベニア、2mmアクリル板で作りました。底面には20mm厚のウレタンスポンジを貼りつけてあります。これが後席床板に接触して縮むことで、重量の何パーセントかを下部構造に分散すると共に、摩擦力でトレーの前後方向の回転を押さえています。

取付

早速機体に取り付けてみました。

画像266 LiPoト

なかなか上手く纏まりました。後席操縦桿とも干渉しないで済みました。しかしその形状や取付方式から考えて「トレー」と言うよりも「駕籠」と言った方が適切かも知れませんね?このトレー(駕籠)は通常は外して置き、飛行直前に取り付けることでスケール感を損なわないようにします。

製作その53 胴体のカバーリング

使用した羽布

画像267は今回使用した羽布と接着剤です。羽布はSIG社のKOVERALLです。これは1520mm×4500㎜の大きな薄いポリエステルの布で、熱を加えると収縮します。布には接着剤が塗布されていないので、別途接着剤のCOVER GRIPを胴体側の所要部位に塗っておきます。これは熱を加えると貼りつく接着剤です。

私はこれまで絹目調の羽布を貼る場合は常に絹目調オラカバのオラテックスを使用していました。これは裏全面に接着剤が塗布されていて大変使い勝手の良いフィルムです。

画像267 使用した羽布と接着剤

今回オラテックスに替えてKOVERALLを使用した理由は次の3点です。

  1. 胴体がトラス構造なので接着部は羽布の極一部だけで良い。全面に接着剤が塗ってあるオラテックスは無駄である。
  2. 胴体長が2mを超えるので通常2m長さで販売されているオラテックスでは足りない。特注しなければならない。
  3. 非常に軽く(42g/m2。オラテックスは110g/m2)且つ安い。

以上の理由で今回初めてKOVERALLを使用したのですが、結果的には後で述べるように余り満足のいくものではありませんでした。

KOVERALLの貼り込み

今回の貼り方は1/5三田式と同じに、まず胴体上下面にKOVERALLを貼ってから両サイドを貼ると言う手順で行いました。最初にCOVER GRIPを筆で胴体構造の貼りつける部位に塗り乾くのを待ちます。COVER GRIPは乾燥が早く、今回のような大型機では一面の終わり付近を塗っている時に最初に塗った部分は殆ど乾燥します。

KOVERALLは貼る部位より若干大きめに裁断しておきます。しかしここで既に扱い難さを感じました。いつもはオラテックスをカッターナイフで裁断しているので、その要領でカッターナイフでKOVERALLを切るとほつれてしまい、切り口が大変汚らしいものになってしまいました。そこで良く切れる鋏に替えて裁断しましたが、裏に接着剤が着いていないのでやはり切り口が若干ほつれます。オラテックスでは胴体に貼ってからカッターナイフで正寸にカットできますが、KOVERALLではそのような訳にはいかないことが判りました。

KOVERALL自体の収縮性はオラテックスとそれ程変わりません。アイロンで同様に貼ってから皺を無くすことが出来ましたが、若干COVER GRIPの接着性がオラテックスのそれより弱く、KOVERALLを収縮させると剥がれる部位が発生しその対応に苦労しました。上下面を貼り終えてから両サイドを貼る段階でまた問題が発生しました。両サイドの羽布が上下面に被さる部分は、先に貼ったKOVERALLにCOVER GRIPを塗布して貼りつけます。これは貼りつける幅より若干幅広に塗布せざるを得ません。と、言うことは接着剤がはみ出してしまうことで、張り合わせ面が美しくありません。オラテックスではフィルムに接着剤が塗布されているのではみ出しはありません。はみ出した接着剤を石油系の溶剤でふき取ることも考えましたが、KOVERALLの縁を擦るので繊維がほつれて余計に汚らしくなってしまいます。結局接着剤のはみ出しは我慢しなければならない事になりました。

何とか全面を貼り終えて次は両サイドの余分な部分を切り取る作業です。これには良く切れる剃刀で切ることにしました。しかしこれも失敗です。真直ぐに切れません。又、部分的にほつれてしまいます。基本的にKOVERALLは繊維を引っ張ってはいけないようです。画像268が剃刀で切った羽布のエッジです。

画像268 剃刀で切った羽布エッジ

切り口が直線では無く部分的にほつれています。比較の為にオラテックスで貼った1/5三田式の側面羽布エッジを画像269に示します。

画像269 オラテックスのエッジ

遥かにきれいなエッジをしています。このようなことで、一旦KOVERALLでのカバーリングを諦めようと思い暫く放置してありました。しかし、オラテックスの特注もドイツからの取り寄せになり、かなりの日数を覚悟しなければなりません。そこで気を取り直して両側面をKOVERALLで貼り直すことにしました。今度ははみ出し部分をロータリーカッターで切ることにして少しは改善されました。

塗装

塗装は艶消しの白です。アクリルスプレー缶を吹きます。しかし、ここで又問題が出てきました。KOVERALLは非常に薄い布で裏に接着剤が塗布されていないので細かい目があって、塗料が抜けてしまいます。説明書を読むと塗装の前にドープを2度塗って目留めをする必要があるようです。ドープは入手困難なので濃い目のクリアーラッカーを刷毛塗りしてから、白色アクリルラッカーをスプレーしました。オラテックスでは軽く1~2度スプレーを掛ければOKですが、KOVERALLは薄いので3~4度塗らないと均一になりませんでした。結局これで軽かった特徴も大分目減りしたものと思われます。

完成した胴体

このような苦労をしましたが何とか胴体のカバーリングと塗装を済ませました。完成形です。

画像270 羽布貼りと塗装が完成した胴体

ロータリーカッターで切断した両サイドのエッジです。

画像271 ロータリーカッターで切断したエッジ

オラテックスで貼った場合よりかなりグレードが落ちますが、今回はこれで良しとします。先ず飛ばして不具合が無い事を確認することを優先したいと思います。将来機会があればオラテックスに貼りかえることも考えたいと思います。

製作その54 キャノピーの完成

キャノピー透明部

キャノピー透明部はバキューム製法の経験が豊富な長野県の遠山さん(ハンドルネームtkinnsann)に依頼して作って頂いていましたが、2019年8月初めに完成して送られてきました。これがその透明部です。

画像272 キャノピー透明部

1㎜厚の塩ビ板を木型にあわせてバキューム製法で製作したものです。木型も遠山さんに製作して頂きました。遠山さんの経験の中でも最大の大きさの為、木型の製作も大変だったと思います。また成形器もお持ちのものでは間に合わず、一回り大きなものを新製されました。遠山さんには大変なご苦労をおかけしてしまいました。おかげ様で透明部が予定より遥かに早く入手できて感謝です。

透明部は4個送ってきてくれました。内一個は不要部をトリミングして参考の為に送ってあったキャノピー木枠に取り付けてくださいました。

キャノピー組立の製作

遠山さんから送られてきた木枠に取りついたキャノピーを塗装して完成させようと思い、胴体に載せてみましたところ、微妙に木枠が捩じれて透明部が貼られていることが判明しました。又後部キャノピーの主翼を挟む部分が変形して隙間が生じていることも発見しました。木枠は大きさの割に剛性が少ないのでこのようなことになったものと思われます。やはり、機体に木枠を乗せた状態で透明部を貼りつける必要があるようです。

折角遠山さんに組立てて貰ったキャノピーですが、透明部を木枠から外して貼り直しました。後部キャノピーの透明部は隙間が大き過ぎるので送って頂いた予備の透明部から切出して貼り直しました。

透明部を接着する前に木枠をサンディングして内側をグレーに塗装しました。その後セメダインのSuperXで透明部を接着してから、フレーム下部の不要部材を切り取りました。その上でフレームの外側を艶消しの白に塗装し、乾燥後にキャノピー付属品を取り付けました。今回は前席のグレアシールドも製作して木枠に取り付けました。

完成したキャノピー

これが完成したキャノピーです。

画像273 完成したキャノピー

スライド式の小窓も設けました。ひっくり返して内側を見ると画像274のようになります。

画像274 キャノピーの内側

画像233にあった製作途中でフレームが折れることを防止していた円框下部部材が切り取られています。前席のグレアシールドも判ります。

完成重量は前部キャノピーが250g、後部キャノピーが117gで合計して367gでした。予定では550gでしたので183gも軽くなっています。これは予定時は透明部の厚さを全面で1㎜として重量計算しましたが、実物は随分引き伸ばされてかなりの範囲で0.4㎜厚程度になったことが理由です。

機体搭載

早速機体に搭載してみました。

画像275 キャノピーの搭載確認

後部キャノピーの胴体への取付は実機同様に3mmネジで胴体側面に取り付けています。

画像276 後部キャノピーの固定金具

ぐっと実機感が出てきました。ボリューム感も相当あります。これでキャノピーも完成しました。

完成!

2019年8月末、全てを組み上げた上で動作チェックをして問題の無いことを確認しました。重量重心も測定してOKでした。これで完成です。

最終組立

秋雨の合間を縫って全てを組み上げて完成形態にしました。

画像277 完成した1/3三田式3型改1

大きいです。私の作業小屋の庭一杯になります。後から眺めてみましょう。良い感じです。

画像278 1/3三田式3型改1の後姿

この状態で3舵を操作して問題の無いことを確認しました。

スポイラーテストです(画像279)。

画像279 スポイラーテスト

最初に記しましたようにこの時点ではこのスポイラー飛び出し量が少なすぎることに気が付いていませんでした。機能確認OKで満足していました。初飛行後にそれが発覚した訳です。モーターも問題なく回ることが確認できました。コクピット付近です。

画像280 コクピット付近

三田式3型の格好が再現できました。

折角ですからキャノピーを開けてもう一枚。

画像281 キャノピーを開けたコクピット

存在感が十分です。

重量重心

完成形で最終の重量重心を測定しました。流石にこれだけ大きいと全機状態で重量重心を計ることは困難です。そこで分解して計測しました。その結果です。

表13 完成形態での重量重心計算

動力用LiPoを含めて全備重量は9,841g、重心配置は主翼前縁から32%MAC位置でした。実機の許容重心範囲は30%MAC~40%MACですから、何も錘を積まなくても重心範囲に入っています。因みにサーマル工房製の1/5三田式は36%MACで問題なく飛んでいますから、もう少し後重心にしても良いかもしれません。

(注)「製作その48 水平尾翼の完成」の項に記したように、その後エレベータマスバランスとして38gの重りを積んだので、全備重量9,879g、重心位置34%MACとなりました。

計画当初の目標重量は7,600gでしたから実に2,241g(29.4%)の重量超過です。極めてみっともない結果になってしまいました。原因は先に記しましたように目標重量の決め方に難があったことです。重量管理以前の問題です。幸い機体強度や飛行性能に大きな不都合は出ないことを強度計算と性能計算で確認していますが、このような事態は避けなければなりません。3面図段階で最終重量を精度良く見積もる方法を開発する必要があると痛感して、第一部で紹介した統計式を作った次第です。

今後の作業

早速飛行試験といきたいところですが、そうは参りません。この大きな機体を分解して飛行場に運ぶには車の中に据え付ける治具が必要になります。又、10Kg近くなりましたので手投げ発進は無理です。滑走用のドーリーも作る必要があります。これらの関連機材の製作が残っています。

©2022 Norimichi Kawakami

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