“You must be the change you want to see in the world.”

(あなたがこの世界に望む変化に、あなた自身がなりなさい。)


今から60年以上前に、ある国の、ある政治指導者によって遺された言葉だ。良い言葉はなくならない。次の世代へと受け継がれ、やがて世界がそれを知ることとなる。ではその言葉本来が持っていた本質はどうだろうか。果たして受け継がれているのだろうか。言葉という箱のみが受け継がれ、伝えられるべき中身である本質は置き去りになってはいないだろうか。

世界に変化を起こす事象の一つに選挙というものがある。現在日本においては、日本国籍を有する二〇歳以上の男女に平等に選挙権が与えられている。「大人」と呼ばれる世代の全てが、自由な思想の中で自身の生活の基盤となる、政治を執り行う代表者を選ぶことができるのだ。しかし、現在我々が当たり前のように享受しているこのシステムを確立させるまでに、払われてきた多くの犠牲があるという事実を、思い出す人は少ない。

東京都知事選挙が今週末(二月九日)にまで迫ってきた。大まかな論点はいくつかあるが、注目するべきは原子力発電に関わる各候補の主張である。東京は日本で一番電力を消費する都市である。にもかかわらず、東京に原発はない。地方がある程度の金銭と引き換えにそのリスクを引き受けていたのだ。そして大地震によって、恩恵を受けていた地域は勿論のこと、それ以外の無関係であった地域にまで放射能被害を引き受けさせることとなってしまった。

原発の実害である「放射能被害」は、しかし、決して地方だけのものではない。空気、地下水、食物、植物、あらゆる面から都民をはじめ、日本国民に関わってくる問題なのである。東京都民はこの事実を真摯に受け止め、原発というものの存在の是非を今一度問いたださなくてはならないだろう。

一部の原発推進派からは”原発がなくなれば江戸時代に生活が戻る”といった過激意見も聞こえてくるが、「東京電力が保有する原発の全てが止まっても、火力、揚水式発電等の増強によって夏の最大供給力を十分に上回る電力を確保できるとした、東京電力の試算」、そして「私たちの両親が未成年だった当時、日本に原発は存在しなかった」という事実を今いちど、冷静に考慮する必要を感じずにはいられない。

脱原発派の細川元総理、宇都宮氏。推進派の田母神氏。脱原発と主張しつつも原発推進政党の後ろ盾を持つ舛添氏。決戦は日曜日である。東京を変えようとしている彼らに一票を投じることで、私たちは世界を変えることができるのだ。


02.07.2014 柳來々乃

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