食事に合うチューハイ

倉下 忠憲
Re:style
Published in
4 min readSep 12, 2016

つい先日、キリンの氷結ストロングシリーズに新商品が登場しました。

最初「グルメ」という表記を見て、一体何味なんだと首をかしげましたが、どうやらこれはミニシリーズの名前のようで、実際は「レモン&ライム」テイストのようです。

フレーバーのバリエーションに困ったメーカーがよくやってくる、「合わせ技」だなと思いつつも、購入して飲んでみると、どうやらそんな単純な話ではないことに気がつきました。

すべてが0になる

パッケージをよく見ると、「食事をおいしく」とあります。そして、糖類0、プリン体0、甘味料0の表記。そうです、最近では糖類とプリン体0のチューハイは増えてきていますが、このグルメシリーズは甘味料すら0なのです。

当然甘さはまったくありません。ウォッカにレモンとライムを搾ったようなワイルドなドライな味わいです。ははぁ、と納得しました。ようやく気がついたのか、と。

たしか、このストロングシリーズがスタートしたのは、景気がちょっと悪かったときで、「同じ値段でより多く酔える」みたいな文脈で一定の人気がありました。「お金のない大学生じゃないんだから」というツッコミは湧いてくるのですが、私は一貫してこのストロングシリーズを支持しています。それは、私がお金がないから、ではなく、このストロングシリーズが必要以上に甘くないからです。

普通のチューハイであれば、どうしても「チューハイ」感があり、飲み会で盛り上がるならばともかく、夕食で白ご飯とおかずを食べながら、というシチュエーションには合いません。その辺はビールの出番です。

が、ストロングシリーズは比較的ドライなので、食事の場面でも合うのです。なので、私はビールかこうしたストロング系を好んで飲んでいました。結果的に摂取アルコール量が増えてしまうのですが、他のチューハイだとどうしても甘さがまとわりついてくるので仕方がありません。

そんなとき、サントリーの196℃シリーズから、新シリーズが登場しました。「極キレ」シリーズです。

アルコール度数は通常ぐらいに抑えられていながらも、テイストはドライにまとまっています。これであれば食事に合います。実際、先日リニューアルされたパッケージではデカデカと「食事に!」と書かれています。

僕たちが本当に欲しかったもの

氷結ストロングの人気を受けて、いくつかのメーカーがアルコール度数の高いチューハイを数々送り出してきましたが、その大半は消えていきました。それらのチューハイは基本的なことを分かっていなかったのです。

別に、高アルコール度数のチューハイを飲みたかったわけではありません。食事のときに合うような、スッキリしたチューハイを飲みたかったのです。妙な味付けのひねりは必要ありません。むしろ、ストレートでほんの少しのさわやかさがあればそれで事足りるのです。

とは言え、かなりスッキリテイストな「極キレ」ですら、味を調えるために甘味料(アセスルファムK、スクラロース)が添加されています。氷結の「グルメ」はそれすらありません。

「ライム果汁、レモン果汁、ウォッカ、酸味料、香料」、以上。実に男らしい。でもって、こういうのを個人的には待ち望んでいました。そうです。これでいいのです。メーカー的には手抜きみたいに感じられるのかもしれませんが、こういう王道でガツンとこれらた方が実際は満足感は高まります。

だいたい私は家で飲むときは、ジンにライム絞って、氷と炭酸水注いで飲む、みたいなことをやるわけですが、まさにそういう味です。そういうシンプルな味って、何杯でもいける気がしてくるんですよね。あまり体には良くないかもしれませんが。

ともあれ、このグルメシリーズが期間限定とかで終わってしまないことを祈るばかりです。あと、極キレも売っているお店をあまり見かけないので、営業さんには頑張って欲しいところです。

--

--

倉下 忠憲
Re:style

物書きです。R-styleというブログを運営しています。ビジネス、経済、政治、投資、為替、麻雀、アニメ、ゲーム、ガンダム、iPhone、ライフハックなどに反応しやすい性質をもっています。