涼しい香り
今年に入ってから知った、お気に入りのバーがある。
通勤で使用している駅から徒歩5分。バーテンダーと年齢が近いこともあって本当に気兼ねなく過ごせる空間。
そこには何人かの常連客がいる。毎日、べったり居座るというわけじゃないのでいつでも会えるわけじゃないけど、それでも遭遇率は高い。僕もそんな常連の一人になりつつあるわけだけど…
今日はそのうちの一人、アルちゃんとの話。
フランス人のドレスデザイナー
アルちゃんはフランス生まれフランス育ちのドレスデザイナー。音楽家の演奏会用やウェディング用のドレスをオーダーメイドでデザイン&製作をしている。
これまでも世界を周りながら、様々なコレクションにも出演してきたそうだ。何者なんだろう…よくわからんけど、すごい人。
僕もレコーダーエンジニアとして、音楽を作っている人間ではあるので少しではあるけれど彼のアート感覚は理解できる。そして、その微妙なニュアンスの話でよく盛り上がるんだ。
色彩だったり、音像の話。色と音は似ていると僕は感じる。この辺りの話をすると本当に面白い。
先日、僕が麦焼酎をロックで飲んでいる時にアルちゃんがやってきた。
カウンターに並んで座った。そして、いつも通りペペロンチーニのダブルを注文。その後に何を飲もうか迷っていた。
いつもなら赤ワインなんだけど、この日は迷っていた。
仕事はどう?みたいな話をしながらペペロンチーニの完成を待つ。アルちゃん曰く、ここのペペロンチーニは日本で一番美味しいらしい。確かに美味しんだけど、日本一なのか?は僕ごときでは計り知れない。でも、美味しい。
結局、この日はビールを注文した。珍しい(笑)ビールってなんかビンボー臭いって言ってたのに!
ペペロンチーニが届くと、小皿に分けて僕にもくれる。これ、いつもの流れ。会うたびにご馳走になっている。
よーへいくん、それ何?
僕が持っているグラスの中身の話。
「おう、今日はSho-chuだよ。」
芋?
「麦!」
麦?ちょっと、貸して。
グラスを渡すと香りを嗅いで一言こう言った。
涼しい♪涼しい香りがするね。夏にはいいね。
「!!!!確かに。」
僕は麦焼酎の香りの「涼しさ」を求めて頼んだわけじゃない。でも、確かに涼しいと感じる。
「本当だね、これは涼しい。僕、そんな風に考えてなかったよ。」
改めて、
Santé!!(乾杯)
と言ってグラスを合わせた。
香りと季節感
お酒の楽しみ方を一つ覚えさせたもらった。もちろん、季節によって飲むものは変化する。ワインだったら、赤よりは白やスパークリングが増える。
でも、どちらかというと「口当たり」や「のどごし」という観点から見てきたように感じる。その中に香りも自動的には含まれているんだろうけどね。
「香り」の季節感。季節感というよりは体感かもしれないな。なんていうんだろう。
それにしても「涼しい香り」って素敵じゃない?