テクノロジーは貧困を無くすのか

ビジネスの未来を考える

Yu Numazaki
Road to 100 years career
5 min readNov 25, 2015

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『ビジネスモデル2025』や『未来を先回りする思考法』なんかを読んで考える。最初に弁解しておくと、これは結論も何もない、つらつらとしたメモだ。

インターネットの発達、モバイルデバイスの進化などで、世界中が繋がる時代がやってきた。加えて、IoTやAIなんかの進化で、人間の働き方や社会構造自体が変わっていくよね、という話だ。

自動車運転が自動になって、ソフトバンクがいうように、製造業はロボット化する。シェアリングエコノミーが広がって、生活コスト自体が下がっていくとする。

大量消費、大量生産の時代が終わりを告げ、コモディティーは、シェアされ所有されない時代になっていくとすると、消費は個別化に向かう。製造コストが下がり(もしくは、受注生産+仕入れの外注が容易になり)、顧客獲得コストが各種Platform(例えばメルカリ、例えばUberのような)により下がった時、極めてニッチなニーズを満たすことが出来る個人がロングテールの消費を担う時代が来るとする。

資本の格差が広がったとして、貧富の貧の方が、ホームレスや貧困層では無く、最低限の生活(新卒で20万円が貰えるからそれくらい?)が賄えて、時間や心がお金以外の部分で満たされるのであればそれは今よりは悪くない話だ。中途半端な企業は無くなり、Platformを握る一部の大企業や資本家に資本が集中しても、それが社会的なサービスとして還元されることで、多くの人の生活が支えられるとすれば、それが一番良さそうに映る未来だろう。

この世界観の中では、既存のビジネス的なスキルより、自分が本当に好きな事を追及して、ONLY ONEを目指し、それにお金を払ってくれる少しの人を世界中から見つければいい。大成功はしなくても、心満たされる人生が送れるだろう。

でもそれは先進国だけの話ではないのか

先進国は、資本の回転率が速い、金融やITなどの分野にどんどん投資する。これらの産業は、一部の天才が莫大な資金を稼ぎ、どこかにそれが集中していくゲームだ。製造業は、その過程で、材料・部品・土地など様々な投資が必要になるが、これらはそうではない。少ない投資で、ヒットすれば莫大な利益を生み出す。

在庫リスクがなく・・・と経営的には間違いなく上手いモデルだ。でも、製造業は、これまで莫大な単純労働者を生み出してきた。この成果を輸出して、より大きな経済価値に転換してきたのが、これまでの途上国の成長モデルだったはずだ。労働人口と経済成長が相関するのはこの点で、日本を見ても中国を見ても経済成長の柱は輸出産業だった。単純労働が機械化され、その周辺にある経済まで効率化された時に、途上国が経済成長する為のドライバーは、何になるのだろうか。

インドにみる危うさ

アジアに目を向けて、インドネシアの資源依存、インドやフィリピンのBPOやIT下請けへの依存は、一種の怖さを見る。後者は、英語習得が容易な社会背景が一因だが、IT産業を担うだけの教育水準に達している人口はわずかで、残りの貧困層との格差は果たして解消されるのだろうか。製造業が全て無くなるわけでは無いとして、確実に縮小していく中で、そこに経済成長を依存するわけにもいかない。IT教育に切り替えたとして、単純作業は機械化されていくだろう。マニュアル化可能なものはすべて機械化されるとした時に、単なる労働力として価値を発揮していた仕事はどんどん無くなっていく。次の途上国の経済成長モデルは何担うだろうか。

一部のトップ層に革新的な企業を作らせ、あとは、世界全体での経済効率化で生活コストが下がることで貧困層が。。という文脈になるのだろうか。

それとも、ネットが無料化され、デバイスのコストが下がり、EdTechの進化が重なれば教育コスト自体も下がり、単純労働以外の労働を担う層を生み出すこと自体が容易になっていくのだろうか。

テクノロジーが貧困を無くすことに安易に期待は出来ないが、貧困を無くすドライバーとして活用することには大きな可能性があるという現時点での結論になりそうだ。

道を創るというキャリア

先進国で暮らす我々が出来る事に何があるのだろうか。構造として解消されないであろう貧困を置き去りにしない仕組みを創るという選択肢もある。かなりの難易度に見えるが。

それ以外にも、上記で言えば、「既存のビジネス的なスキル」でも無く「マニュアル化可能」でも無い能力を身に付け、「それにお金を払ってくれる少しの人を世界中から見つける」無限にありそうで、具体化されていない選択肢を1つでも実現していく。という選択肢もある。

好きな事が仕事になる時代が来ると言いながら、今はその選択肢を次々と作り出さなくてはいけないタイミングだ。その今は見えない多様な選択肢が生まれた時に、特定の誰かが貧困を抜け出せる選択肢と繋がる事があるかもしれない。もはや数と組み合わせから来る可能性の論理だが。それでも最初の数を増やす事自体には意味があるように思える。

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Yu Numazaki
Road to 100 years career

Co-founder & COO, @CoinViewApp / tofuNFT @tofuNFTofficial