『アップデートする仏教』藤田 一照 , 山下 良道(著)

私が読んだ書籍を紹介していくコーナー。

金登 大典
KINTO BLOG
2 min readMar 22, 2017

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本書の中で、仏教の歴史を形骸化された日本の旧態依然とした「仏教1.0」、そして、最近流行っているメソッド化された、自分の改善法のような仏教のあり方「仏教2.0」という風に表現している。

「仏教1.0」これは、お布施の定額サービスをAmazonで展開した民間サービスに対し仏教界が組織の利益を損なうと反発して問題になった件を参考に考えると、現代の仏教の問題が見えてくるはずだ。ビジネスとして発展してしまった仏教は本来の大切な教えを忘れてしまっているようにも見える。

「仏教2.0」最近は仏教の教えを取り入れつつ、宗教色を排除した瞑想方法であるマインドフルネスというものが流行りだ。これはかつてのApple創業者スティーブ・ジョブズが傾向していた禅や、Google始め、有名IT企業が研修に取り入れているということから昨今注目を浴びている。しかし、これもまたビジネスとしての色合いが強くなってきている。エリート向けの高額なセミナーが開催されるのも違和感を感じるところだ。しかもその効果については、ほとんどの人が感じていないという問題が存在する。

つまり、仏教の目的は心の調子を整えることにあるのにも関わらず、そこにビジネスが絡むことで商業利用されてしまいお金を稼ぐのが目的とすり替わってしまったことが問題の本質ではないかと感じる。

そして、本書が継承しようとしているのが、「仏教3.0」だ。これは過去を否定しているのでは決して無く、アップデートしていくことで進化していく過程であると捉えている。著者は現在のあり方を「色々活動しているように見えても、肝心の医療行為だけは行われていない病院」という風に表現している。

つまり、本来のあり方は、高いお金を払わずとも、心の健康を手に入れることが誰にでもできるということを伝えていかなければならないのではないだろうか?アップデートしていく進化が楽しみである。

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金登 大典
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日本書紀より伝わる香木伝来の地、淡路島でお香を作っています。写真とコーヒーが好き。 www.kinto.me