【投資メンバー対談】サムライインキュベートが投資したい起業家と事業領域

皆さんはじめまして、Samurai Blog 編集部 の坪田と申します。

サムライインキュベートは2009年からベンチャーキャピタルとして投資事業を開始し、国内外含め累計142社のスタートアップに投資をしてきました。(2018年4月時点)

今回はサムライインキュベートがどういった人や事業に投資をしたいのかという話を、投資チームへのインタビューという形で皆さんにお伝えできればと思います。

この記事を通して、私達がどんなことを考え、投資をしているのかを知ってもらい、興味を持っていただければ幸いです。


- 過去に行ってきた投資について

坪田:今日はサムライインキュベートの投資について色々と聞いていきたいなと思っています。

早速ですが、サムライインキュベートは今までどういうところに投資をしてきたんですか?

代表取締役 榊原 健太郎

榊原:これまで142社に投資してきて、基本的には「世の中の課題」を解決する事業というのを意識してきました。

テレビとかで同じ問題が何度も報道され続けているのに、ずっと解決されない、誰もが手を出すことを拒むような領域を意識して投資してきましたね。

坪田:具体的にどういった事業ですか?

榊原:例えば「落とし物」という課題を解決しているMAMORIOという会社があります。

ここは投資した当時は、市場がない、お金にならないって周りにも散々言われていたけどサムライでは投資しました。なぜなら「落とし物を見つけたい/なくしたい」って課題として世の中に絶対あると思っていたからです。

他にも「空いてる部屋を貸したい」という会社(軒先)や「山登りの遭難者を減らしたい」という会社(YAMAP)など、世の中にある課題を解決したいという熱意を持った会社に投資してきました。

個人的な感覚だと、日々困っていて「あったらいいな」と思うものには投資をしてきましたね。


- どんな「人(起業家)」に投資をしたいか

坪田:ちなみに起業家って色々な人がいると思うのですが、投資に関わる皆さんはどういう基準や判断軸で「人(起業家)」を見ていますか?

じゃあ、まずは最初に岩田さんから教えてください!

Capitalist 岩田 諒祐

岩田:僕は「人(起業家)」としての部分でいうと「ロジカルに説明出来るか」というのと「継続して熱い気持ちを持ち続けられる人か」というのを面談などを通して見ています。

坪田:経歴や経験は気にしますか?

岩田:経歴や経験も一応見ますが、それだけで判断はしません。投資してからの方がむしろ付き合いは長くなるわけですから「一緒にやりたい」と思えるか、もっというと「自分と合う人かどうか」というのを僕は気にしていますね。

坪田:ありがとうございます。長野さんはどうでしょうか?

共同経営パートナー & Chief Strategy Officer 長野 英章

長野:僕は3つのポイントを見ていて、1つ目は徹底的に顧客目線で考えられるか。2つ目はその中でも自分の芯を持てているか。3つ目は素直さ、フィードバックを受け止めて自分のやり方を修正していけるか。というのを見ています。

立ち上げ間もないシード期の起業に投資しているので成功もモチロンありますが、失敗もたくさんあります。サムライは過去約10年、142社に投資したきたから、それこそ具体的な失敗例は蓄積されてきています。

避けたほうが良いことが分かっていて、それを起業家に伝えたときに、頑なに受け入れずに失敗する人を見てきました。

というか昔の僕がそうでした(笑)。まったく素直じゃなくて失敗だらけでした。

その節は本当にすみませんでした榊原さん(笑)
※注:長野は Samurai Incubate Fund 3号 投資先

榊原:いやいや、まあ。そうだね(笑)

昔を思い出し笑う榊原と元投資先の長野、それを真摯に受け止める岩田

長野:僕の例で言うと「ターゲットをもっと明確にしたほうが良い」って言われ続けたのに「全員ユーザーです」って今だったら考えられないことを頑なに主張してました(笑)

もう少し人の意見を素直に聞けたら良かったなと反省してるからこそ、3番目の「素直さ」はとても重要だと思いますね。

坪田:自分が失敗したからこそ、新しく起業家として付き合う人には求めたい部分ですよね。


- どんな「事業」に投資をしたいか

坪田:『どんな「起業家(人)」に投資したいか』、という話はいま伺いましたが、『どんな「事業」や「市場領域」に投資したいか』で考えていることはありますか?

岩田:個人的には「具体的にこの領域」というよりも、一度業界を知った人が選ぶ領域がいいなと思っています。

例えば「製造業で勤めていた経験から、その業界の課題を解決したい」といったような、ボトムアップ型の業界課題の解決領域は投資したいです。

長野:僕はレガシーな産業においてはデジタルと繋ぐことでユーザーが恩恵を受けられる領域ってまだまだ残ってると思っています。

個人的には農業、医療はまだまだデジタル介入の余地があるなと思っているので、そこは起業家の方々と一緒に挑戦したいですね。

榊原:僕の場合、今までは数年後に来るトレンドを考えて投資をしてきました。色んな人にたくさん会って、そこで得た情報を基に、トレンドを早めにキャッチアップするということに意識を向けてきたんです。

その中でも今は、ブレインテックに興味がありますね。

イスラエルで知った技術なんですが、例えば目が見えない人に映像を見せられる技術の研究も進んでいます。人の記憶を貯めたり交換したりっていうのもできたら良いなと思っていて、そういう生まれ持った障がいを取り除く可能性がある領域は、今後ぜひやっていきたいなと思っています。

坪田:ちなみに「課題性は強いけど、ビジネスとしての市場性はない」って判断されてしまうような事業案もあると思うのですが、そういった領域は投資しづらいですか?

榊原:いや、そういった領域をビジネスに繋げることがサムライの役割かなと思っています。

例えばさっき言った落とし物サービスのMAMORIOも「落とし物市場なんてない」って言われたけど今はしっかりと事業になっている。

なので、世の中に課題があって、解決してほしい人がいて、起業家と僕らがその解決策を考え抜けば必ずビジネスになると思っています。

うちの色んな投資先は「マーケットがない」って言われ続けてきていましたからね(笑)

でもちゃんと各社伸びている。まさに「できるできないでなく、やるかやらないか」精神かな、と。

岩田:その話で言うと、課題解決したいって思いが先行するのは良いですがそれだけだと危ないと僕は思っていて、「課題解決したい」の「その先」まで、考え抜くことが出来るのも大事だと思っています。


- 投資する際の「人」と「事業」の割合

坪田:ちなみに投資を考えるときに「人」と「事業内容」の見る割合ってありますか?たとえば人が良いなと思ったらすぐにでも投資するとか。

岩田:僕は人が7割、事業3割で見ています。シード期のスタートアップは事業をピボットすることがほとんどですし、それでも熱意を持って頑張れる人が大事かなと。

長野:結構難しい質問ですね。結論は「人」で見ていて、それをどう見るかというと出てくるアウトプットの総量と質で見ています

人が良ければ自然とアウトプットは良くなってくると思っていて、それがやりとりの中で見ることができれば、ぜひご一緒したいなと感じて投資を決めます。
 
最初の面談でフィードバックしたことを、二回目の面談では仮説検証してアウトプット見せてくれるような人は一番良いです。

というのも、起業家が考える一番最初の仮説が合っていることってほぼ無くて、その仮説を検証して修正できるか、というのを見ています。

榊原:時代によって「何を重視するか」は変わるなと思っていて、昔は事業やアイディアを重要視してたけど、今は人を見てるかな。

時代によってどっちをちゃんと見るべきか気にしていて、今は人柄が重要だと思って見ています。人柄が事業にでますから。

特に「なぜ起業しようと思ったのか」って理由が、その会社のミッションに紐付いてる起業家には投資したいですね。

長野:それは大事ですよね。ミッションと自分のやりたいことが紐付いて無いと、途中で事業成長が止まることも珍しくないですから。

岩田:何を見て投資するかは投資家によって全然違うと思うので、起業家も自分に合う投資家を選んだ方が良いなと、僕は思いますね。

自分の中で解決したい課題が明確で、サムライと一緒にその事業アイディアをブラッシュアップしたいと思う人はサムライが合うのでないかなと思います。

坪田:じゃあサムライの投資を担当する皆さんは基本的には「人」を見るってことなんですね!その判断方法が、皆さん個性が出ているような気がします。


- 投資後のフォロー体制について

坪田:投資基準の他に、投資後のフォローって具体的にどういうことを今までしていて、今後どういう風にしていきたいのかってのを教えてほしいのですが。

榊原:投資を始めた頃は「サムライハウス」で一緒に住んで、ハンズオンというより「リブオン」くらい生活も事業も一緒にしていた。

そこから投資先が増えるにつれて、起業家に必要なイベントの開催や専門家の紹介、ツールの提供なんかを充実させていきました。

あとは起業家同士をつなげて経験のシェアができる仕組みも作ってきましたが、これはまだまだ弱くて、もっとやれることがたくさんあるので今後もっと強化していきたいと思っています。

最近だと、オープンイノベーションの取り組みによって大企業とのつながりが強まってきたので、大企業のトップや事業責任者の方々へつなげることも意識的にしています。

坪田:支援を受けていた側からも聞いてみたいのですが、長野さんどうですか?

長野:そうですね。僕は支援されていた側で、もちろんさっき言ったイベント(例えば投資家を見つけるための「Demo Day」)をしてくれたり、情報をもらったりという機能的な面は色々支援してもらえて良かったです。

でも個人的に一番は、支えてほしいときにメンタル面を支え続けてくれたのはすごく助かりました。

事業って上手くいってないとき本当に苦しい。そういうときに榊原さんは「なんとかなるよ」って言ってくれるし、言われたらなんとかなる気がしてくるのが実は一番良かった。

坪田:なるほど。ちなみに今後はこういう支援を取り入れていきたいなとかって考えてることはありますか?

榊原:コミュニティとしての強化はさっき言ったとおり今まで以上にやっていく予定で、そのための方法論もだいぶ明確になってきてるので、あとはこれのブラッシュアップを岩田を中心として進めているところです。

それと、いま自社にある「事業立ち上げフレームワーク」はかなり良いものになってきているので、これを使って今まで以上にスピーディかつ確実に事業立ち上げを起業家と一緒にして行きたいと思っていますね。

長野:サムライインキュベートは他と違って大企業とのコラボレーションも促進できるので、その強化はしていきます。

あとは、さっき榊原さんが言ったフレームワークは140社以上に投資してきたノウハウから作られたものなので、事業の成功確度を高められると信じています。

起業家は「仮説を検証するための方法の仮説検証」をしていることもある。でも時間は有限だし、事業の最大化のために最短でPDCAを回す必要があります。

サムライのフレームワークを使えば、そういう無駄なことを省いて本当に大事なことに起業家自身が時間を割けます。このフレームワークの作成とブラッシュアップは引き続きやっていきます。


- どんな状態で面談に申し込めば良いか

坪田:ちなみにサムライへの相談ってどの状態から受け付けていますか?アイディアの有無や、法人設立の有無、チーム組成の有無など。

長野:全然イケてなくてもいいし、いま仕事してても、してなくても良いんですけど、「こういうことがしたいです」っていうアイディアを1つでいいから持ってきて下さい。

なんとなく起業したいですって言われてもブラッシュアップ出来ませんが、起業の意思とブラッシュアップできるアイディアがあれば、一緒に良くしていけるので。

岩田:本当にどんな状態のものでも良いので、アイディアがあれば大丈夫です。ぜひ気軽に問い合わせをして、会いに来て下さい。

榊原:補足すると、他で断られた回数が多い人ほどぜひ来てほしいですね。チャンスがもらえなかった人にチャンスを与えるのが僕らサムライの役割だと思っているので。

坪田:なるほど。では「アイディアがあればとりあえず来てください。ブラッシュアップは一緒にします」ってことですね!

岩田:はい。僕が一緒に根気強くブラッシュアップします!

最後に

今回はサムライインキュベートで起業家への投資を行っている3人へのインタビューを通して、私達がどういった人や事業に投資をしたいか、今後どういう支援をしていきたいかという話を伝えさせていただきました。

サムライインキュベートは一人でも多くの起業志望の方とお会いして「できるできないでなく、やるかやらないか」精神で、一緒に世の中にある課題を解決していきます!

少しでも興味がある方はこちらからご連絡ください!


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