なぜ日本郵便が2回目となるオープンイノベーションプログラムを行うのか

株式会社サムライインキュベート Enterprise Groupの富樫です。

先日7月5日(木)、日本郵便株式会社様(以下、日本郵便)と弊社にて、オープンイノベーションプログラム第2回目となる「POST LOGITECH INNOVATION PROGRAM 2018」の開始を発表しました。

早速各所からご連絡いただき、注目度の高さを感じているところです。

2回目ですがもちろん1回目そのままということではなく、内容は一層パワーアップしていると我々も感じています。そこで、日本郵便でこのプログラムの企画運営を担当している1人の福井崇博さんにお伺いしました。

なぜ継続して行うことにしたのか、1回目の振り返りも交えながら、お伝えしたいと思います。


2回目は「ラストワンマイル」から「バリューチェーン全体」へ範囲拡大

富樫:私が聞くのもおかしな話ですが 笑
あらためて、今回のプログラムについて教えていただけますか?

日本郵便 福井崇博氏(以下、福井):前回は「ラストワンマイル」、つまり郵便・物流業務の中の最後=配達の部分にフォーカスしたテーマだったのですが、今年は「郵便・物流のバリューチェーン全体をテクノロジーで変革する」というテーマに設定しました。

前回に比べ、より郵便・物流事業として幅広くスタートアップの技術・ソリューションを求めていこうと思っています。

幅広くなった理由としては、前回行ったことから社内でスタートアップと協業するイメージを持てたことや、オープンイノベーションを使って事業を作る体制ができてきた点が大きいですね。

富樫:なるほど。では、どうして2回目を開催しようと思ったのですか?

福井:1回目の採択企業とは現在も実証実験やその準備を進めているので、現時点ではこの手段が有効だと感じています。今回2回目のプログラムでさらにブラッシュアップすれば、より効果が出るのではないかと考えているので行うことに決めました。

それから、日本郵便としてはオープンイノベーションの共創プレイヤーとしての認知を広げたいという思いもあります。「日本郵便と何かできるかもしれない」ということをぜひもっと知っていただきたいです。


オープンイノベーションプログラム実施の影響

富樫:前回のプログラム実施後、外部からの問い合わせや付き合い方に変化はありましたか?

福井:スタートアップ以外含めて、すごく(少なくとも3倍以上に)ご連絡をいただくことが増えましたね。

プログラムでオープンにする「課題」に合わせて、スタートアップはもちろん、大企業の新規事業担当者から「課題」に応じたご提案や相談をいただくことが多くなりました。

富樫:3倍以上はすごいですね!
ちなみに話に出た「課題」について、自社の「課題」を外部に発信したくないという考えを持たれる方もいらっしゃると思いますが、そのあたり福井さんはどうお考えですか?

福井:どの「課題」を外に伝えるべきかそうでないかについてきちんと考えています。
基本的には、外の方々に求めたいものにしぼるようにして発信していて、先行優位性が強い取組みなどは、まずは社内で考えて進めていく方がいいんじゃないでしょうか。

富樫:出す情報のラインをきちんと意識してコントロールされているから、情報も明確なんですね。


日本郵便のオープンイノベーションの特徴と強み

富樫:外部というと、外部企業やメディアからの認知度が高いと感じることが多いのですが、その要因に関してはどうお考えですか?

福井:前提として、日本郵便という大きな組織ゆえに動きが遅いんじゃないかというイメージを持たれている方がいるかもしれませんが、そういう企業がこのような取り組みをしたということが一番の要因だと思っています。

ですが、それだけでなく、このプログラムに複数の特徴があるからこそだとも感じています。

①経営層/ミドル層/現場含め会社を挙げてコミットし、それを伝えられた
②エース級社員が担当になったことで本気度を伝えられた
③テーマを明確にした
「日本郵便は物流」だと振り切ったことで、数あるプログラムの中でも差別化することができた。
④求める技術・提供リソースを具体的に示した
⑤将来像を明確にした上で、共創の実行計画を作った
⑥スタートアップとの対等なオープンイノベーションだということを伝えた

6つ目について語弊を恐れず言えば、ベンチャーを伸ばすためにやるのではなく、日本郵便がこれからも社会的使命を果たし続けるために外との共創を行っています。そして、そのために必要なテーマに絞っていたことが結果的にも良かったんだと思います。

富樫:なるほど。

福井:日本郵便のプログラムは課題が明確です。「何でも良いから日本郵便とオープンイノベーションしましょう」ではありません。
また、解決策が決まりきっているのであれば、正直、調達や入札をした方が良いですが、自分たちが考えているより良い解決策が外にあるかもしれないという期待があるからこそ、この取組みがあると考えています。

富樫:御社の特徴である「コミット力」「協力体制」について、どうやって作り上げたんですか?

福井:まず、トップの理解があるというのは大きいですね。意思決定者にも「なぜ必要なのか」について理解してもらっていますし、キーパーソンの理解を得ている、というのはポイントだと思います。

それから、僕個人としては3年ほど前からオープンイノベーションのイベントに参加したりと草の根運動をしていました。その中で「こういうプログラムが必要だな」と感じていたんです。

けど、ボトムだけでやっても小さくまとまってしまうので、大きいことをやるには全社的にやらないといけない、という示唆を得たからこそ、オープンイノベーションプログラムを企画しました。

富樫:実際にスタートアップと相対する各事業部とは、どういう関わり方をされたんですか?

福井:各事業部には、何に困っていて解決したい課題が何かヒアリングすることから始めています。

目指している将来像、その中で解決したい課題、将来像に近づくために外に求める技術・ソリューション、その中でも特に大手ベンダーなどではなくスタートアップに期待するものは聞きます。

その上で、スタートアップの方々に日本郵便として何を提供できるのかを考えるようにしています。


サムライインキュベートのプログラムにおける役割

富樫:前回からご一緒させていただいていますが、サムライが貢献したポイントにはどんなところがありましたか?

福井:個人的には徹底的に”泥臭く”伴走してくれたところですね。また、長野さん(サムライ 共同経営パートナー Chief Strategy Officer)からのフレームワークは、シード期のスタートアップにとってあまり触れる機会がありませんし、実際に採択企業の方も有効だったと言っていました。

それから、スタートアップが何を求めているか、側にいて翻訳してくれる安心感がすごくありました。スタートアップにとってのメンターは社外メンターでしたが、日本郵便担当者にとってのメンターはサムライさんだったとも言えますかね。

徹底的に泥臭く伴走してくれて、ノウハウのフレームワークがあるという2点を持っているのはサムライさんの特長だと思います。

富樫:ありがとうございます。その2点、特に「伴走」は、弊社のミッションでも掲げているので嬉しいです。

その上で、2回目のプログラムもサムライとご一緒いただいた理由を教えていただけますか?

福井:もちろん1回目が順調にいって、プログラム後も共創を続けているという部分はあります。それは、このチームがいい関係性を築いて取組めているからだと思いますし、「協力」ではなく「共同開催」というスタイルであることも大きいと思います。
それから、PR戦略が強いところもサムライさんに期待している部分です。


プログラムを通じて日本を活性化させたい

富樫:では最後に、2回目のプログラムをやる上での意気込みを教えてください!

福井:まずは、サムライさんとのこの取組みを継続・成長させていくことが日本郵便にとって大事だと思っています。

そしてこのプログラムは、日本全体を活性化することにも繋がると考えているので、サムライさんとのプログラムによって、日本流のイノベーション創出手法として定着させていきたいです。

そのために第2回目である今回も、採択企業との取り組みをサムライさんと日本郵便のチームで1社1社丁寧に取り組んでいければと思っています。

(サムライインキュベートに対しても)今年も泥臭く、よろしくお願いします!

富樫:ありがとうございました!


インタビューを終えてみて、日本郵便社内での「コミット力」や巻き込み力の理由をあらためて感じました。

簡単に言うと「経営層・ミドル層、テーマ担当となる事業部の方が、参加したくなる状況から作り上げている」点はやはり大きいと。

また、弊社としても大事にしている「泥臭く伴走する」ことをご評価いただけたことを嬉しく思いながら、第2回目でも良い共創を生み出していきたいと思います!

撮影協力:SENQ 霞ヶ関


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