投資領域「リテールテック」研究

〜デジタル・ネイティブ・ストア編〜

こんにちは!Investment Groupの岩田です! 今回は、第2回Batch Programの6領域の1つ、リテールテックについてご紹介します。 いつもは弊社の社員からブログを発信していますが、今回は出資企業として当社6号ファンドに参画いただき、今回のBatch Programでメンターとなる丸井グループさんより、出向で弊社に来ている佐伯さんに、リテール事業のご経験を持つ方の目線で紹介してもらいます!


はじめまして!佐伯さやかと申します。 (株)丸井グループから、この5月にサムライインキュベートに出向し、Investment Groupのメンバーと一緒にお仕事をさせていただいています。「さりー」と呼んでもらえたら嬉しいです。

今回は、「リテールテック」を取り巻く業界理解の一助としていただけるよう、丸井グループがどのようにこの業界の潮流を捉え、どのようなことを実現していきたいと考えているのかを、一例としてご紹介させていただきます。

こんにちは!さりーです!

まず、丸井グループの紹介を簡単にさせてください。 丸井グループは創業以来、金融・小売一体の独自の事業を行っており、現在「マルイ」「モディ」の名称で関東を中心に、東海、関西、九州に26店舗を構えています。またVISA付きクレジットカードの「エポスカード」を発行しています。

そのため、Batch Programにおける6つの領域の中で、金融・小売に関わる「フィンテック」と「リテールテック」に特に注目しています。両方とも重視しているのですが、今回は、「リテールテック」に注目している理由や背景などをご紹介します。


リテール業界全体において、消費動向における「モノからコト」へのシフトは顕著になっており、単にモノを購入するだけではなく、飲食や体験などのコトがより重視されるようになってきています。

こうした変化に伴い、丸井グループもそれまで強みであったアパレルを縮小し、飲食・サービスなどのコトメニューの拡大を進めました。さらに、体験やコミュニティの提供を主軸とする「売らないお店」を標榜し、その象徴的な存在として、購入を前提とせず店頭で楽しく商品を試すことができるアップルストアや、ヨガの体験を提供するルルレモンを、日本の商業施設としては初めて誘致しました。

(丸井グループ 2019年3月期第2四半期決算説明会資料より)

そして今後はさらに、「デジタル・ネイティブ・ストア」が求められると考えており、丸井グループはこの方向に進化を目指します。「デジタル・ネイティブ・ストア」とは、小・中学生の頃からスマホに慣れ親しんだデジタル・ネイティブ世代がお客様の、D2Cブランド(※)や、シェアリングサブスクリプション・ビジネスなどのデジタル・ネイティブ・ブランドをイメージしており、リテールテックはこうした戦略に深い繋がりのある領域であると見ています。

デジタル・ネイティブ・ブランドは、これまでの既存の流通の仕組みとは大きく異なり、店頭ではなくEコマースで売ることが前提のブランドです。デジタルを前提としたリアルの場を、丸井グループは今後さらに積極的につくり、国内外のデジタル・ネイティブ・ブランドを誘致していきたいと考えています。

※D2Cとは 「Direct to Consumer」の略で、消費者に対し商品を直接販売する仕組み。自社で企画・製造した商品を、他社を通さずに自社のEコマースサイトなどで販売するモデル。


FABRIC TOKYO(ファブリックトウキョウ) 店頭では採寸だけを行い、注文・購入はネットで行うオーダースーツブランド。Eコマースが前提で、店頭では販売せず、オンライン上では難しい採寸や、生地の色・質感の確認などの体験の場に特化しています。

衝撃的なのは、リテール業界では従来常識であった、「店頭で販売し、売上をつくる」といった発想がない、という点です。売上を作るのはあくまでEコマース上であり、リアル店舗はネット上で叶わない部分を補完するための場です。こうした、デジタルを前提としリアルを位置付ける捉え方は、まさにデジタル・ネイティブ・ブランドです。

既存のリテール業界の常識だと、どれだけ「売れる店なのか」が重視され、例えば商業施設の売上ランキングなどが打ち出されたり、そうした実績が出退店の交渉などに使われたりもします。実際、他の百貨店やショッピングセンターとの出店交渉は難航していたそうです。幸い、現在の丸井グループの「売らないお店」というコンセプトとはぴったり合致したため、現在3店舗に出店いただいています。(新宿マルイ本館、渋谷モディ、池袋マルイ)

こうした、デジタルを前提としたブランドが求めるリアルの場を提供できているところはまだまだ不足していると思います。デジタルを前提とした発想とともに、デジタルとリアルをシームレスにつなぐためのテクノロジーやサービスの要望は、今後も拡大していくと見ています。

(丸井グループ 2019年3月期決算説明会資料より)

② b8ta(ベータ) アメリカ・シリコンバレー発のIoT商品に特化したショールーム型の出店プラットフォーマー。プロダクトを店舗に出すことが難しかったスタートアップのほか、大手企業とも組み、お客様が直接プロダクトを試すことができる場を提供しています。b8taショップ内のスペース・期間を細かく区切り月額サブスクリプション方式で提供しており、出店者は少ないコストで商品を出品することができます。

特徴的なのは、B8taショップの天井に設置されたカメラ等から、来店客の行動や商品を手にした時間などのデータを収集し、出店者に提供している点です。出店者はこうしたフィードバックを受けることで、商品の改善や入れ替えなどを迅速に行うことができます。また、来店客にとっても、まだあまり知られていない新しい商品を試すことができる場になっています。

この、「リアル店舗でのお客様の動向をデータ化する」という発想が、まさにデジタル・ネイティブの発想と言えるかと思います。従来リアル店舗で把握できるのは、売上数・金額などと限られていました。しかし、b8taが提供しているのは、顧客の動向などの売上以外の情報で、まさにネット上での閲覧状況や時間などに相当するものです。

リアル店舗を「売る場」と捉えてきたこれまでの常識とは全く異なる、かつテクノロジーによってもたらされた、新しいリテールのあり方であると見ています。

これら2つの事例にもあるように、お客様に向けてのB2Cと、出店者やお取引先様に向けたB2Bの、両方のリテールテックに注目しています。

参照:b8ta公式HP, ABOUT USより(https://b8ta.com/about-us)

丸井グループは様々なステークホルダーの方との共創、その中でも特に「お客様との共創」を非常に重視しています。商品開発やサービスのみならず、2016年にオープンした博多マルイは、のべ15000人のお客様との600回以上のお客様企画会議を通じ集めたお客様ニーズにも基づき、マルイ史上初のライフスタイル型店舗としてオープンしました。

ディスカッションWEEKでは、こうしたこれまで培ってきたお客様ニーズの視点と、創業80年以上リテール業界に携わってきた企業としての知見をふまえ、皆様の企画のブラッシュアップのための対話をさせていただけるのではないかと思います。

リテール業界はまだまだ旧態然としており、お客様にも出店者にとっても負の多い業界だと思います。デジタル化が進む今だからこそ、テクノロジーや新しいアイデアで、これまでの常識を覆す未来のリテールを作っていけると考えています。今回は今後のリアル店舗のあり方のお話がメインとなりましたが、店舗だけに限らず、幅広い視点で未来のリテールに向けてのディスカッションができたらと思っています!

なお、「フィンテック」領域にも非常に注目しています。こちらの領域についても、ぜひ対話させていただきたいと考えています!ご応募、心よりお待ちしています!


以上、さりーちゃんでした!

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