なぜ学習なのか?本来のビジネスは最高の国際協力

発展途上国での取り組み

Kenji Nakamura
SD-LAB
6 min readDec 15, 2016

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社会の発展の基礎となるもの

途上国の発展には産業の発展が不可欠です。つまり、ビジネスの発展です。経済は社会の血液です。経済がまわらなければ、社会は機能しません。

国際協力の活動をする人の中には、経済というというだけで、悪い意味でのお金儲けととらえて、毛嫌いする人がいます。でも、経済のもともとの意味は、経世済民といって、世を治め、民を救うというものです。お金儲けが悪いわけではなく、お金の儲け方が大事なだけです。

顧客に価値を提供して報酬をもらう。困っている人を助けて報酬をもらう。顧客は自分にできないからこそ、お金を払って誰かにやってもらう。シンプルにこれがビジネスで、その集合が経済です。

良いビジネスは雇用を生みます。スタッフも家族も人生により多くの選択肢を持つことができるようになります。良いビジネスは顧客の人生を豊かにします。地域社会も豊かにします。

だから、発展途上国が国として発展し、そこに暮らす人々が物心ともに豊かになるためには、良いビジネスがどんどん増え、発展することが大事です。国際協力のプロジェクトに加えて、こうしたビジネスの発展は不可欠なわけです。この意味で、発展途上国でまっとうなビジネスをしている人たちは、立派な国際協力の担い手です。

しかし、発展途上国では、ビジネスの発展にも、国際協力のプロジェクトの運営にもかなりの困難が伴います。これが国の発展を妨げ、そこに暮らす人々の生活を厳しい状況に追いやります。それが、

マネジメントとリーダーの欠如

です。

国際協力という文脈で、このことがとりあげられることはあまりありませんが、実はここはすごく大事です。経営学の父、P.ドラッカーはこう言いました。

「先進国と途上国の違いはない。あるのはマネジメントの違いだ。」

まさに、途上国の多くの組織では、このマネジメントが機能していません。NGOか企業か、教育機関かは問わずです。ドラッカーの定義では、マネジメントとは、組織をして成果を上げさせるための道具、機能、機関です。

つまり、途上国では、組織として成果を上げるためのマネジメントが十分ではない、ということです。かなりシンプルに言えば、その結果、良いリーダー、良い仕事の文化、良い組織、良いビジネスが少なく、国としてなかなか発展できないのだと思います。

確かに、途上国の貧困問題を解決には、イノベーティブな事業は必要です。しかし、もっと基本的に必要となるのは「普通」の仕事の積み重ねです。

ここでも大切なのはやはり教育

この問題を解決するには、やはり教育が重要です。しかし、途上国への教育支援はこれまでもたくさん行われて来ました。企業でもNGOでも教育は行われてきました。これらの教育支援はとても有意義で必要なものですが、問題を解決する上で十分なものではありません。

教育支援の偏り

例えば、国際協力における教育支援は、学校建設といったハード面中心の教育支援が子どもたち中心に行われて来ました。こうした教育支援のおかげで、多くの子どもたちが初等教育を受けることができるようになりました。一方で、大人への教育支援はとても少ないです。地域の子どもたちは大人を見て育つこと、大人が子どもたちの生活環境を作ることを考えると、大人への教育支援は圧倒的に不足しています。

学習効果

次に、教育の質、内容についてです。言い換えれば、学習効果についてです。子どもに対してか大人に対してかを問わず、発展途上国では、先生から生徒への一方通行の授業が圧倒的に多いです。極端な地域では、圧倒的な権威者である先生に対して、生徒は質問することさえ許されません。

このような環境では、学習に対する自主性、創造性が生まれないばかりか、自尊心は下がり、実践にも結びつきません。第一楽しくないですし、学ぶことが嫌いと思い込んでしまいます。

これは、学校教育だけでなく、組織内部の教育においても同じことが言えます。教育の大切さを理解し、外部から専門家を招いて研修をしても、同じような学習効果が低い授業が行われることが多々あります。多くの場合、途上国の人々は、日本人のように詰め込み教育に慣れているわけでないので、これでは日本以上に研修は機能しません。

そこで、SD-LABは、こうした状況を改善するために、以下の取り組みを行っています。

発展途上国におけるSD-LABの取り組み

学習効果が高い講座設計、講座の進め方、受講者の学びを促すラーニングファシリテーションによる、学びの場を作っています。具体的には、自己啓発やコミュニケーションのワークショップ、チームコーチング、などを通して、発展途上国の企業やNGO、大学などをサポートしています。(カンボジア、フィリピン、タイなど)

ワークショップは次の成果を意図しています。

  • 学習効果が高いグループワークショップ形式
    学習効果が低い一方的な講義型ではなく、グループディスカッション、練習を通して学ぶ、アウトプットを通して学ぶことを重視
  • チームで学ぶ
    チームで学ぶことで、広い視野で学ぶとともにチームワークやコミュニケーションの基礎力の向上につながる。(チームワークが苦手な途上国は多い)
  • 考える力を身につけてもらう
    誰かに依存するのではなく、自分で問題を解決していけるような力が身につく
  • 楽しく学ぶ
    リラックスした状況でないと人は多くを学べません。創造性も発揮できません。学ぶことを楽しく探求することで、理解が上がります。
  • 自信や自尊心
    講師が答えを教えるのではなく、受講者が自ら学び取るので、自信がつく。
  • 実用性
    自ら学び取ること、練習を通して学ぶことで、職場での実践に移しやすくなる。

参考記事

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