成長の喜び、働く楽しさをカンボジア人と共有できた時の話

仕事の本質はどこの国でも変わらない?

Kenji Nakamura
SD-LAB
5 min readJun 17, 2017

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シェムリアップで僕がサポートしている書店(本、文房具、おもちゃなど、いろいろ売ってます)での話。この仕事がコンサルなのか、コーチングなのか、現場でのスタッフトレーニングなのか、もはやよくわからないぐらいコミットしています。おかげで、カンボジアで良いビジネス、良い組織、良いマネジメンを増やすためには何が必要かを考えることができ、とてもありがたいです。

まずは短期間で成果を出すこと

クライアントはカンボジア人で、僕は日本人です。言葉も文化も違います。物事を1つ伝えるだけでも大変です。当然、相手目線で見たら、「この日本人いったい何者?」となります。ここをとっぱらわないと、クライアントのビジネスに貢献することはできません。そこで、まずは大切なのはわかりやすい成果を出すことです。ここを突破しないと、クライアントの会社の人たちの学ぶ力を引き出すことなんてできません。というか、その機会さえもらえません。

ということで、最初に取りかかったのは売り場をコンセプトごとに整理すること。カンボジアは、最近まで、とにかく商品を並べたら売れる時代でした。今では近隣諸国との物流がスムーズになり、ただ商品を並べるだけでは売れません。お客さん自身が多様な購買体験をするようになってきたので、なおさらです。

いきなりコンセプトとは何か?を説明しても、カンボジアではなかなか通じません。それよりも、最初はまずやってみせる、一緒にやってもらう、お客さんの行動という結果を見てもらう、一緒に改善する、というプロセスを経て、コンセプトを理解してもらいました。

コンセプトごとに売り場を分けて、わかりやすくする。たったこれだけでも、売り上げが前年同月比35%アップでした。成果が出ると、みんなもやる気になりました。さあ、ここからが本番。

何人かのスタッフが成長ループに突入

さあ、売り場のコンセプトの整理はできたので、次のミッションはスタッフがディスプレイを通して成長できるようサポートすること。最初は、とにかくお店がごちゃごちゃしていたり、掃除が行き届いていなかったり、ディスプレイもただ空いてるスペースに大量に商品を置くだけでした。

今では、まだまだ完璧ではないけれど、以前とは比べ物にならないぐらい、掃除も、ディスプレイもきちんとできるようになりました。

「けんじ、これはどうやったらいい?」
「けんじ、次は何をやったらいい?」

と意欲的に質問してくるスタッフも。

もちろん、

「あなたはどうやったらいいと思う?」
「あなたはどう思う?」
「それはなんで?」

という質問返しで自分で考えてもらってます。笑
最近では、それがわかってる一部のスタッフは、自分でやってみてから、こっちを見て、何も言わずに、

「けんじ、これでどう?」

という表情でこっちを見て来ます。笑。OKの場合はハイタッチ。もっと改善できる時は、「お客さんごっこ」をします。「お客さんの立場に立って考える」というのは言葉で言ってもうまく伝わりません。これって日本でも同じかも。だから、お客さんになりきってもらいます。そして質問します。

この商品を買うのはどんな人?どんな身長?誰とくる?あなたがお客さんだったとして、この陳列で買いたいと思う?

すると、きちんとわかるんですよね。どのスタッフも。そして、やってみる。すると、ここまで考えていたら、少しは成果が出るものです。つまり、お客さんが買ってくれます。その瞬間をそのスタッフに見せます。

「あのお客さん楽しそうでしょ?嬉しそうでしょ?あなたのディスプレイでお客さんはあの顔になったんやで。ね?仕事って楽しいでしょ?ビジネスって楽しいでしょ?」

と、僕が伝えた時の、スタッフの誇りに満ちた顔、やる気スイッチが入った目は最高です。

もう1つだけ例えを。

ここに、この価格帯のものを置いておけば、まず売れる、という場所の商品の選択をとあるスタッフに任せました。すると、僕が思っていた以上に1日に何個も売れたようで、とても嬉しそうに報告しに来ました。

「けんじ、私が選んだものが今日3つも売れたの!」

「へえ、すごいね。俺よりセンスあるよね。じゃあ、これからはここはあなたが選んでね。商品がなくなったらきちんと補充するんだよ。その時は毎回、商品を選ぶ練習もね。」

その後、この棚にはいつ見てもきちんと商品が陳列されています。

他にも語り尽くせないほどのスタッフの成長シーンを目の当たりにしています。あ、僕のスタッフじゃなく、あくまでもクライアントのスタッフですが・・・笑。

正直言って、カンボジアでこの仕事をするのは楽じゃありません。日本語も、日本人の常識もまったく通じません。一般的な仕事観もまったく違います。でも、だからこそ、仕事の本質を見ようとします。理屈だけじゃない泥臭い人間の本質を見ようとします。伝わる伝え方をどこまでも工夫します。できるようになるまで何度も何度も伝え、確認します。

そんな成長の機会を与えてくれているカンボジアに感謝。

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