日豪カン、3つの文化の間で仕事をする時に大切にしていること

国際NGOが運営するカンボジア地鶏の養鶏場での多文化コミュニケーション

Kenji Nakamura
SD-LAB
8 min readDec 25, 2016

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異文化コミュニュケーションって難しいですよね。

文化が違うということは、仕事をする上で大切なこと、仕事の進め方、コミュニケーションの取り方など、すべてが違います。

カンボジアのシェムリアップで、僕がマネジメントやマーケティングの仕事をしているカンボジア地鶏の養鶏場があります。ここは国際NGOが運営しています。養鶏場で働いているのはカンボジア人、僕は日本人、僕たちの上司は代表のオーストラリア人。合計3つの文化が混在しています。

こうした環境で大事なのは、お互いの文化的なバックグラウンドを理解することです。それがなければ、いちいち小さいことでも衝突やミスコミュニケーションが起こります。

ミスコミュニケーションは不要な問題を発生させる

僕がこの養鶏場の仕事をし始めた頃には、ミスコミュニケーションが原因となって発生する問題が山積みでした。ミスコミュニケーションと言ってもシンプルで、オーストラリア人の上司が英語で話す内容をカンボジア人スタッフが理解していないのに、YES、YESとこたえ、結局、必要な業務が行われない、というものでした。

僕は、オーストラリア人上司には、「ゆっくり話してくれ」とお願いし、カンボジア人スタッフには、「英語がわからない時はもう一度聞き返してくれ」と何度もお願いしました。

でも、状況はまったく改善されず、僕が仕事をし始めてから、そんな時間が3ヶ月ほどつづきました。原因の1つは、両者の文化的バックグラウンドでした。

2つの文化的バックグラウンド

オーストラリア人の上司は、オーストラリア生まれのイギリス育ち。バリバリのアングロサクソン文化です。つまり、簡単に言えば、思ったことはきちんと言葉にして伝える。だから、カンボジア人に「わかった?」と聞いて、YESと応えて来たのだから、それで問題ない。わからないなら、わからないって言うでしょ?というスタンス。

他方、カンボジア人は、ちょっと日本人と似ています。わかっていなくても、YES、YESと言いがちです。わからないことをわからない、と伝えたり、もう一度言って、というのは苦手です。また、年上や上司といった権威者がいうことは絶対です。だから、オーストラリア人上司が言うことに対して、わからない、と伝えることはむしろ失礼にあたるのでは?という恐れがあります。(実際に、そういう気持ちはスタッフたちの中にあったようです)

僕の基本的な考え方は、何かコミュニケーションの問題がおこった時は、それに気づいた者から、相手を理解し、自分から変わるべきというものです。

クビを覚悟したコミュニケーション

そこで、僕はこんな風に上司に伝えました。正直、クビになることも覚悟して言いました。

日本では、思ったこと全てを言葉にする文化ではない。沈黙は金ということわざもあるぐらいだ。言葉にするよりもお互い察する努力をする、そのことに重きが置かれている文化だ。だから、すべてを言葉にすることは、自分にとってはとても勇気がいる。

あなたの文化はきっと違う。考えや思いを言葉にして伝えることがとても大切なんだと思う。だからあなたの文化を尊重して、俺は今から本音を言う。

何度もお願いしたけど、業務上の指示を伝える時、もっとゆっくりわかりやすく話してくれ。そうじゃないと、業務がまわらない。僕も含めて、スタッフが英語を話せるようになることはもちろん必要だ。

だけど、ここはカンボジアだ。本当だったら、こっちがクメール語を話さないといけない。でも、それでは現実的に難しいのはわかる。また、英語ができた方が、スタッフの人生にも選択肢が増えることもわかる。だから自分もがんばるし、スタッフにも英語を頑張ろうと伝える。大切な業務の指示は、ゆっくりわかりやすく話す努力をしてください。

また、カンボジア人の多くは、年上で上司で欧米人のあなたに、わからない、とはっきり言うのはとても難しい。それが文化だ。それなのに、わからない時はわからないと言え、とだけ言うのはフェアじゃない。それにここはカンボジアだし、そもそもカンボジア人を支援するための活動だ。

だったら、カンボジア人スタッフにもきちんと思っていることを伝えるように促し、こちらも聞き取る姿勢を見せる、察する努力をする。そうした努力があなたにも必要だと思う。

そうした歩み寄りを僕たちからすべきです。そうじゃないと、僕たちは前に進めない。僕はどうしても、このチキンファームのミッションを達成したい。あなたとスタッフとともに達成したい。

当時、今より下手だった英語の僕の言葉を、上司はうなづきながら、一言も口を挟まず聞いてくれました。そして、僕がこの話を彼にしたこと自体に感謝し、すべてに同意してくれました。

上司がめちゃめちゃいい人で良かった・・・笑

その後、カンボジア人スタッフに対する彼の姿勢が変わりました。ゆっくりわかりやすく話すようになりました。同時に、カンボジア人スタッフもわからない時はわからないと以前より伝えるようになりました。

とはいえ、お互いの文化的なバックグラウンドが根本的に変わるわけではありません。すぐに大きく変わることはできないし、それを求めるのも少し違います。ここで大事なのは、自分に何ができるのか?を考えて実践することです。しかも、僕は上司にもスタッフにも、コミュミュニケーションを変えるようお願いしてるわけですから、僕が何もしないのはフェアじゃないですしね・・・。

幸い、僕はどちらの考え方もわかります。イギリスに留学して、「雄弁は金」の文化を痛みを伴って学んだこと、英語になったらYES、YESと応えてしまうこと、どちらも。

そこで、カンボジア人スタッフがわからないことや不安なことはなんでも僕に話せるようにコミュニケーションをとりました。そして、現場の意見として僕から上司に伝えたり、カンボジア人スタッフから言うのをサポートしたりしました。

3つの文化、それぞれの文化圏の人が、相手の文化を意識する。それは結局、「相手が大切にしていることを大切にする」ということ。信頼を醸成し、そうした組織文化を作るのは簡単じゃないけど、毎日向上していきたいものですね。

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