違うから争うのではなく、違うから学びあえる
在タイ日本人起業家と、タイ中小企業経営者との間の、異文化コミュニケーションとビジネスマッチングのワークショップ
1、ワークショップの経緯と背景
2017年、タイ中小企業協会(The Federation of Thai SME) から依頼を受け、2018年3月10日、やっと実現させることができました。タイと日本の事業家をつなぐワークショップ。
昨年できた、タイの中小企業協会 との良いつながり。最初は、東南アジアの事業家をつなぐハブとなりたい、そのためのワークショップを考えてもらえないか?という依頼でした。また、日本の事業家ともつながりたいと。
それなら、いきなり大きなイベントをこちらが開催するよりも、小さい交流で出会った事業家たちが、そのプロセスそのものを一緒に作っていくほうが、今後のより有意義なつながりになるはずです。日常的に相談しあえるような関係を国境を超えて事業家が持つ。そのうえで、それぞれが「良いビジネス」を展開する。その積み重ねは、それぞれの国の発展を確実に促し、その他の地域にも波及していくはずです。
そんな想いを持っていたため、志を持っている日本の経営者たちと、もともとの依頼をしてきてくれたタイ中小企業協会を「良い形で」つなげることができれば、もっと大きな社会的価値になると思っていました。そんな時、海外の日本人起業家をつなぐWorld Association of Overseas Japanese Entrepreneurs (WAOJE) のバンコク支部の皆さんに一緒にやってもらえるよう協力を依頼しました。。WAOJEのミッションにも合致する活動だったため、参加へのお声かけはじめ、多大なるご協力をいただきました。
2、ワークショップの内容と意図
a. 流れ
9時から18時までの長丁場のワークショップ。事業家どうしをつなげることが目的でしたが、あえて、ビジネスマッチング的な要素を前面に打ち出すことはしませんでした。はじめからそれを打ち出すと、どうしても、短期的な利害関係になりがちです。そして、そうした関係はいちばん脆い。
だから、まず人としてつながる、共感を持てる関係になる、話せるようになる、その上でビジネスの話をする、応援し合う、という流れを作りました。そうすることで、たとえ直接的に取引にならなくても相談に乗ったり、人を紹介したりできるようになり、結果としてビジネスマッチングよりも大きなベネフィットがあると信じていたからです。
おかげで、休憩時間に話し込んでなかなか再会ができないぐらい(笑)、良いつながりがたくさんできました。その後は、LINEグループやFacebookグループをつくり、継続的に情報交換や応援が生まれています。「情報」は「情け」に「報いる」と書きますが、やはり人として繋がることで本当に必要な情報ってあつまりますよね。そして、情報は自分が出すことによって、もらえる、というのも、あらためて今回の学びの場で痛感しています。
b. アイスブレーク&関係づくりのコミュニケーション
まずは人として繋がることが大切なので、アイスブレークをしっかりとやりました。特に、自分が今緊張している、など自由に発言できる雰囲気を作りました。ファシリテーターである私自身も緊張していることを告白しました。
アイスブレークの延長として、様々なゲームを通して、お互いに体を動かしたり、言葉を介さないコミュニケーションをしたり、学んだことをシェアしたりすることで、お互いの理解を促し、距離を縮めていきました。
こうしたゲームを通じたコミュニケーションは、どこでやっても盛り上がりますが、大事なのは、きちんと何を学んだかを振り返ること。振り返り無くして学びなし、です。
c. 異文化コミュニケーション
お互いの文化の違いを感じたエピソードをそれぞれの国のチームから発表、質問し、それについて相手国のメンバーが説明をするワーク。これは、予想をはるかに超えて盛り上がりました。とてもシンプルなワークですが、こういう場があるだけで、海外に進出する日系企業の人たちはずいぶん楽になるはずです。(広義に言えば、外国人と仕事をする際にとても役にたつ、不要な衝突やストレスが激減します)
※また、社内の人間同士でやるよりも、外部からプロのファシリテーターをいれることで、ゲーム感が生まれ、参加者がより抵抗なくワークにはいっていけるようになります。
本当は1つのゴールを目指すべきだけど、対立していたり、なかなか相互理解がすすまない、というチームやコミュニティでも使ってもらえる内容です。
d. ビジネストーク
ここまでやって、はじめてお互いのビジネスの話をしてもらいました。とはいえ、お互いさすがに経営者。予想通り、休憩時間にお互いのビジネスの話をしていました。ここでは、チームに分かれて、自分のビジネスのプレゼン、解決したい課題、まわりからのフィードバックをしっかりとやってもらいました。
3、今回学んだこと
日本、カンボジア、フィリピンに引き続き、タイでのワークショップ。日本人とタイ人という異文化のバックグラウンドを持つ参加者、そして、言語はお互いに取って母国ではない英語。とてもチャレンジングで学びになりました。
もともと、私がカンボジアワークショップをする時にも、現地語であるクメール語ではなく英語でワークショップをします。そして、カンボジア人に通訳兼共同ファシリテーターになってもらいます。事前打ち合わせから当日の経験(OJT)で、一気にファシリテーションを理解してもらいます。これによって、その人はファシリテーションを実践で一気に学べます。また、こうすることで、同じ国の人同士(ファシリテーターと参加者)が母国で教え合える環境も生まれます。
次に、多くのワークは、4〜6人ぐらいのチームに分けて、チーム学習をしてもらうわけですが、その中には英語ができる人が1人はいます。そして、英語ができる人の多くはマネジメント層、つまり上司です。
その人たちに、チーム内で私が言ったことをわかりやすく母国語で説明してもらいます。そうすることで、その人はLearning by Teachingで一気に加速学習します。また、教える練習にもなりますし、チームワークの練習にもなります。
この経験から、今回のワークショップでも、英語が苦手な人がいたら、まわりで教え合うことを促しました。それがまた良い勉強になり、良いチームになるきっかけとなるからです。
これもよく機能することがわかりました。参加者の出身が複数であっても、ワークショップができることがわかりました。早速、他国でやる話も出てきているので、とてもワクワクします。
追伸:
僕のライフワークは「国際協力」です。でも、「国際協力」という言葉を使うと、すごいバイアスをかけて見られてしまい、物事の本質や、イノベーションの源が見過ごされてしまいます。国際協力はボランティアであるべきだ、だから利益はだしちゃいけない、そもそも国際協力で利益は出せない、富めるものが貧しいものを支援するものだ、「国際協力」とは何か?をそもそも自分で考えて定義していない、など。
そんな中、こうしたつながりを創ることは、僕にとっての大事な「国際協力」です。ともに学び、ともに成長、発展していくことを目的とした「国際協力」です。今後、それを実践を通して証明していきたいと思います。
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