東南アジアで広告収入っていけるの?
アドテクについてTech in Asiaで記事になっていたのでまとめてみた。
広告のインタラクティブマーケティングに関するビッグネーム揃いのカンファレンスであるad:tech ASEANが7/7–8にシンガポールで開催された。
参加企業のプロダクトはどれも素晴らしいのだが、東南アジアではアドテクは有効なのだろうか。タイやインドネシアなどよりインターネットの普及が進んでいるシンガポールでは効果がありそうだが、他の国には疑問が残る。しかし、シンガポールに目を向けるよりも、もっと儲かるインドネシアにこれからは目を向けた方がよいという。
東南アジアでアドテクが必要な理由
東南アジアとインターネットや Eコマースの歴史的に似ている中国と重ねながらみていこう。
Source: Pew Research Center, CNNIC, NECTEC, Wikipedia
上の図は、アメリカ、中国、タイのインターネット普及率の推移とwebブームの時期である。Web 1.0/1.5のブームアメリカは36%、61%のインターネット普及率であったのにもかかわらず、東南アジアも中国もWeb 1.0/1.5のブームにのらず、たったの数%である。Web 2.0に到達するまで、中国と東南アジアはインターネットが流行しなかった。
Web1.5の時期のアメリカと西ヨーロッパのような成熟市場での開発は、Google Adsenseのプレミアム広告ネットワークのような広告ネットワークを生んだBlogger.com, MovableType, WordPressのようなプラットフォームのコンテンツの仕組み作りにつながった。東南アジアでは、インターネットが市場に出はじめたときは、すでにWeb2.0ブームの終わりが見えたときであった。これは、FacebookやInstagramやTwitterのようなコンテンツに閉鎖的になる原因となる。この影響をロングテールを作る会社がいない「ノーテール(no-tail)」と呼んでいる。
中国とほとんどの東南アジアの国がロングテールがないので、オンライン広告業界は遅れている。スタートアップでもどんな企業でもEコマースやデジタル商品の販売では、広告収入ベースにしようとしていない。これは、広告収入に閉鎖的でお金をかけないために広告プロダクトも手抜きであまり儲からないという悪循環がおき、RPM(ページ収益率)が低くなる。一方、韓国、日本、シンガポールでは広告収入によるマネタイズが増えている。
東南アジアのディスプレイ広告のほとんどはLamborghiniという車の広告であるが、ジャカルタの交通渋滞中に見ているのだ。ターゲットをもっとよくするためにthird-partyのデータを利用しても意味がない。
ロングテールを作る会社が不足しているため、InstagramやPinterestのような企業が広告収入を元にしていて広告戦略が一番の企業がいるアメリカに比べて東南アジアの「広告主導型」の市場は非常に小さい。
広告のハイテク環境を揃えること、アフィリエイトマーケティング、DSP(Demand-Side Platform)の増加など、まだまだ初期段階である。
ハイブリッドと商業主導型のビジネスモデルに向けて伝統的な広告の収益化とは
ノーテールなので、アジア特有のビジネスモデルの形成や増加が考えられる。アジアは、文化もエコシステムも他とは違うので、新しい語りが生まれることもある。アメリカのSnapchat、Instagram、Pinterestを見てみると、広告が占める部分が多い。
中国のTencentは、 VAS(付加価値サービス)やEコマースから80%以上の収入を得ている。バナー広告と検索キーワードの販売は、10%にも満たない。アリババに買収される前にUS$200Mを調達して女性向けオンラインショッピングサイトのMogujie.comは、中国版Pinterestとして開いたが広告収入がうまくいかず、すぐにEコマースに移行しなければならなかった。
エコシステムが似ているので東南アジアも中国と同様に失敗する可能性が高い。例えば、タイのページ収益率の平均値に基づいてCosmenet.in.thのような人気のローカル企業はSimilarwebからページビューにおいて月US$350しかもらえないだろう。これだと、ホスティング費用を賄うことができないので、Eコマースのような収益を考えることがわかる。
このような東南アジアでのアドテク市場の違いがわかっていないと、壁にぶつかることになるだろう。Eコマースは今後確実に東南アジアで伸びていくので、Eコマースと結びついてアドテクが拡大していくだろう。
今は広告収入にする動きがないから市場が小さく見えるけど、これからインターネットの普及やEコマースが流行してきたら、大きな市場になるだろう。
参考