ケニアのスタートアップシーン、シリコンサバンナは誰のもの?
世界的にも議論されているスタートアップエコシステムのダイバーシティー、多様性に関する議論がケニアでも熱くなっている。
注意) この記事を通して人種的差別、国籍による差別、個人や企業の誹謗中傷などを行う意図は一切ありません。

ケニアはシリコンサバンナ(Silicon Savannah)として東アフリカのスタートアップシーンの中心として広く知られている。スタートアップに対する投資額でも、南アフリカ、ナイジェリアと並ぶアフリカでも屈指のスタートアップ大国で、世界的にも注目を集めている。
そんな中、ある投稿が非常に大きな波紋を呼んだ。
ケニア人起業家が投げかけた疑問
この投稿の元ネタは不明だが、私が確認できたもっとも古い投稿はMuthuri氏の投稿だ。Muthuri氏はTurnup TravelというスタートアップのCEOだ。Turnup Travelはケニアでオンライン上の旅行代理店業、観光スポットのプロモーション、インフルエンサーマーケティングなどを行うケニアのスタートアップだ。
この投稿でMuthuri氏は、シリコンサバンナと言われて盛り上がるケニアのスタートアップシーンが、ホワイト(この文脈の場合アフリカ系以外のことを示す。)による非常に小さなコミュニティによって代表されている可能性を投げかけた。
結果、Twitter上で464件のいいね、608件のコメントが寄せられ、すぐにさまざまな人や組織、プラットフォームで拡散された。
他のアフリカ諸国にも広がる反応
私はFacebook Developer Circle Lagosのフェイスブックグループで回ってきてこの投稿について知った。
その投稿に対するナイジェリア人の反応は様々で、冗談に受け止める人もいれば、それを自国の鏡として受け止める人、反感を覚える人などそれぞれな反応が見られた。
この写真はケニアのみならず、アフリカ全体のスタートアップシーンに対して疑問を投げかけるものになった。
ケニアのスタートアップシーンは誰のもの?
様々な意見や憶測、強い反感まで飛び交っているが、全てや末端を取り上げることは無意味なので、様々な議論を吟味した上の私なりの考えをここに書きたい。

そもそも、ケニアにはスタートアップが数千、数万と無数に存在している。その中でもホワイトの起業家の比率は決して多いわけではない。ただ、炎上した写真で取り上げられた起業家や企業の名前はアフリカのテック系メディアではよく見る顔ぶれであることも事実である。
外国人起業家あるが故に、ケニア人起業家よりも海外メディアや海外投資家からの資金調達に対するアクセスが開かれており、露出が多いことは考えるに難くない。特に国内投資家が少なく海外の投資家が多いケニアをはじめとしたアフリカのスタートアップシーンでこういったことが発生することは容易に想像できる。
ただ、これによりホワイトの起業家がケニアのスタートアップシーンを支配している、または利益を持ち逃げしているといったことは、根拠のない浅はかな議論だと感じた。
まとめと展望
アフリカのスタートアップシーンの多様性の今後
多様性は人種だけで語られるものではない。例えば、多くのアフリカ諸国のテックシーンでは女性起業家が少ないことも大きな問題として存在する。私自身ルワンダでソフトウェア系のイベントを開催したが、参加者70人のうち女性の参加者はたった2人で大きな課題を感じた。
アフリカのスタートアップシーンでビジネスを行う一人として感じたこと
やはり私は日本人であり、日本のスタートアップをアフリカに展開する戦略に携わっているため、今回の炎上した写真には非常に考えさせられた。制度的にケニアやルワンダといった国では外国企業が進出しやすい施策が取られているが、それに対する人々の反応は制度を超えた部分に存在している。
多様性の課題はただ現地の人を巻き込めば解決するといった問題ではなく、人々の反感や共感といった感情が重要だ。こういったことをアフリカ諸国でビジネスをやる上で一つの指標に置くことは非常に大切なのかもしれない。

