インタビューをもとに誰かの人生をドラマチックに描き出す — 『sentenceゼミ』第二回開催

Mariko Yurimoto
sentence
Published in
5 min readMay 27, 2017

「書く理由」を模索し、一歩踏み出すライティング講座『sentenceゼミ』の2回目の講義が5月11日に開催されました。

『sentenceゼミ』は全8回・約4カ月間かけて、ライティングに関する講義・レクチャーを行うプログラムです初回では“どんなライターになりたいか”を言語化し、自身の目標を定めました。

2回目の今回は「自分の過去を振り返り自己理解を深める/ペアインタビューを通じてインタビューの技法を学ぶ」をテーマに、質問事項を考え参加者同士で実際にインタビューをし合いました。

今回は、その模様を受講者の百合本がレポートしていきたいと思います。

他者からの『問い』を通じて自分を知る

まずは前回の宿題だった、モチベーショングラフをペアになって交換しました。モチベーショングラフとは過去の自分の体験からテンションが上がったできごと、下がったできごとを曲線で表すものです。

前回は様々なワークを通して、自己理解を深めていきました。モチベーショングラフは改めて深めたことを可視化するための宿題でした。

自分と似ている部分や違う部分があるのももちろんのこと、相手からの質問で「そういえばあの時自分はこんなことを思っていたな」と振り返ることも。また、モチベーショングラフの書き方も人それぞれという発見もありました。モチベーショングラフはテンションの上がり下がりを一本の曲線で表すことが一般的ですが、より濃密に過去を振り返り時系列毎に2つの曲線を書いている方もいらっしゃいました。

相手のストーリーを掘り下げるための3要素

つづけて30分間のインタビューを行います。

取材をする上では、事前に質問事項を考えインタビューに挑むことは大切です。相手のストーリーを掘り下げるために、以下の3要素を教わりました。

1. 「Whyを繰り返す」

1つのできごとに“なぜ”を繰り返し聞いていくと、相手の原点や人格が見えてきます。先ほどのモチベーショングラフに書かれていることは事実や単純な感情がほとんど。“なぜ”あなたはそう思ったのか、“なぜ”あなたはその行動をしたのか、を深掘りしていくと紐づいている過去の体験が見えてきそうです。

2. Befor/Afterの変化に注目

きっかけに注目することは相手のいまを知るためにとても重要なことです。例えば、画家を志している人だとすれば、志したきっかけが必ずあるはず。変化の前後に着目し質問をすることで、より人物像が鮮明に浮かびあがりそうですよね。

3. 感情の揺れを見逃さない

事実のみが書かれていたとしても、その事実にはたくさんの感情が含まれています。“なぜ”そうしたのか、また、その時「どう感じた」を聞いてみると、その人がその後どういう行動をしていったかの思考や意識にも繋がってくるかもしれません。

質問事項をさらにブラッシュアップ

先ほどの3要素をもとに、相手のモチベーショングラフを見ながら質問を考え、質問事項に優先順位をつけていきます。より具体的に相手が返しやすい質問を考えるのは中々大変で、私はかなり悩んでしまいました。はじめにどんな質問があると話しやすい環境が作れるか、どう聞けば自分が望む返答が返ってきそうか。また、想定できる内容からはどんな記事ができそうか。もんもんと連想したら、今度はペア以外の人と発表し合い磨き上げていきます。

他の方の質問事項の流れを見て取り入れたり、この返答が返ってこなかったらどうする?など作戦会議をしました。

相手ありきだからこその難しさ

完成した質問事項をもとにいよいよインタビューへ。

ただ、想像以上に難しかったです。なかでも相手の話を聞きながら内容をメモすると同時に、新たに浮かんだ質問や疑問点も残していくのは至難のわざでした。用意した質問や流れも思ったようにはいかず、結局全く想像していなかった話が広がり、広がりっぱなしで収集がつかないまま30分間が終わりました。ほかの皆さんも「メモと質問、話を聞くことどれに意識を置けばいいのか分からなかった」「予想と違う返答で深めることができなかった」など、苦戦したことが伝わる感想が多かったです。

ただ、どれも相手がいるからこその難しさだなと実感しました。質問時間の配分やペース、最終的に何が知れれば記事を書けるのか、そのためにどこまでシュミレーションしておくのか、という学びになります。

また、インタビューをされる経験もとても貴重でした。一つ一つの質問にただ答えるのではなく、相手が何を見て『問い』を投げかけているのか。話し方や引き出し方などを学ぶ機会となりそうです。

「対話」と「『問い』を持つ」

初回の講義では、「書く理由」を模索する上で大切な「継続すること」「自分と他者と対話すること」「『問い』を持つこと」を今回は「対話」と「『問い』」について深く掘り下げることができたと思います。

事実だけを聞くのではなく、相手のストーリーを書くために「『問い』」を用いて深掘りする。また、インタビューを受けることで自分についてより深く理解し、新たな「『問い』」を自分に持つ。インタビューもただ質問をするだけではなく、相手を見ながら進めていく形はまさに「他者との対話」だと感じました。

次回は作成したインタビュー記事を受講者同士で校閲、編集の観点からフィードバックを実施予定。インタビュー相手との「対話」をどう表現していくのかを磨いていきます。

--

--