『僕たちは編集しながら生きている』を読んで考える、「自分を編集する」ということ――sentenceにて読書会を開催
sentenceでは、同じ書籍をあらかじめ読んできた上で、感想のシェアやディスカッションを行う読書会を開催しています。
4月15日に行われた読書会で扱った書籍は、後藤繁雄さん著「僕たちは編集しながら生きている」。
夜型になりがちな書く仕事ですが、今回はちょっと早起きが必要な朝9時に集合し、参加者4名でスタートしました。
著者の後藤さんは編集者・クリエイティブディレクターとして、数多くの写真集、アートブックを制作。2009年からは京都造形芸術大学の教授としても活動されています。
今回の本は、後藤さんが講師を務める編集学校「スーパースクール」の講義を完全収録したもの。講義を実際に受講した人の声も数多く掲載されており、受講する前と後、参加者の心境の変化も知ることができます。
「『編集』というスキルはもはや編集者だけのものではない。雑誌や書籍の編集にとどまらず、よく生きることや、自分を変えていくことに関わらない限り、『編集』を技術として覚えても意味がない」
といった内容が述べられています。
自分を編集するということ
読んできた本は、参加者全員同じでも、印象に残るフレーズや感じたことは、それぞれ異なるのが読書会の面白いところ。その中、共通して盛り上がった部分が、「編集しながら『自分』をつくってゆく」という章。
「自分」と「仕事」を考えるとき、はたして「自分」というものがオリジナルで存在するのか、それとも、それこそ編集されて成立していると考えるのとでは、「自分をイメージする」ときに、ずいぶん違ってくると思うんです。
ここでは「編集」を、他者との関わりの中で発見する、自分の性格や、得意不得意、向き不向きといったいろいろな側面を、己の個性としてつぎはぎしていく行為と捉えています。
自分の経験を振り返ってみると、就活のときに行う自己分析がぱっと頭に思い浮かびました。当時は「自分の個性は何か」、必死になって考えましたが、今になって思えば、個性は他人との関わりの中でしか見つけることができない……そう思います。
また参加者からは、学生時代に自己分析で悩むのも、同じ大学、同じ学科といった同じ価値観の人といることが多いためという意見も。他者との違いがはっきりと見出せないと、自分の個性を知ることは難しくなるのかもしれませんね。
ただ読むだけで終わらない
今回、初参加した読書会。自分自身これまでの読書は、読んで終わりであったり、やったとしてもその本の感想をブログに書き留めるくらいでした。
ただ読書会を通じて、自分にはない視点や感じたことを共有する体験は、今までの読書では得られない濃い学びの数々。1人が発したフレーズや考えがきっかけとなって、参加者同士どんどん言葉が浮かんできていました。
1冊の書籍をもとにディスカッションを行う読書会ですが、その本に書いてあるフレーズと別の本のフレーズがリンクし、テーマ本以外の本が話題にのぼることも。こうやって、今までの読書体験が活かされていくわけですね。
「僕たちは編集しながら生きている」では、編集というものが編集者だけのものではなく、もっと広義の意味で使われているとありました。しかし今回の読書会のように、活用の仕方次第では、「本」そのものも読む以上の広義な体験が得られそうです。
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